バックアップが大切な理由
今やiOSデバイスは個人情報の塊です。いきなりのアクシデントでデバイスが使えなくなり、買い替えを迫られた場合、以前使っていたデータはどのように復旧すればよいのでしょうか?
iPhoneに保存した「連絡先」「カレンダー」などのパーソナルデータ、アイクラウド・ドライブ内のファイル、アイクラウド・フォトライブラリ内の写真などはアイクラウドのサーバに保存されているので、デバイスを買い替えても簡単に復元できます。インストールしたアプリや、購入した音楽もアップストアおよびiTunesストアから再ダウンロード可能です。
しかし、アプリの中で保存したデータや各種設定などは、バックアップを取っていない限りは復元できません。そのため、こまめなバックアップは非常に重要です。
アイクラウドにはiOSデバイスのバックアップ機能があります。一度設定すれば自動でバックアップが行われるため、iTunesでバックアップを取るよりもずっと簡単です。さらにバックアップのデータはアイクラウドのサーバで管理されるので、データの保守を気にする必要もありません。
新たにiOSデバイスを購入したときには、旧機種で取っていたバックアップを新機種に復元するだけで、以前使っていた状態を簡単に取り戻すことができます。
転ばぬ先の杖【バックアップ&復元】
写真とビデオを守る
撮影した写真・ビデオもバックアップできます。ただし、アイクラウド・フォトライブラリをオンにしている場合、アイクラウドのバックアップ機能では写真・ビデオは保持されず、アイクラウド・フォトライブラリでバックアップすることになります。
コンテンツは再ダウンロード
各ストアで入手したコンテンツの購入履歴がアイクラウドに紐付いており、一度購入したデータは何度でもダウンロード可能です。コンテンツそのものはバックアップされるわけではないので、コンテンツがストアから削除されるとダウンロードできなくなります。
細かなデータもバックアップ可能
●デバイス設定
●アプリ(App)データ
●ホーム画面と App の配置
●iMessage、テキスト(SMS)、およびMMSメッセージ(バックアップ中に使用した SIMカードが必要)
●着信音
これらの情報もバックアップされます。特にアプリの配置などは1から設定するのは面倒なのでバックアップをとっておくとよいでしょう。
iCloudでバックアップを取る
アイクラウドでiOSデバイスのバックアップを取り始めるのは非常に簡単で、「設定」の[iCloud]から[バックアップ]をタップし、スイッチを入れるだけです。
アイクラウドは毎日バックアップを自動で開始します。iOSデバイスが電源につながっていて、Wi─Fiネットワークに接続中で、画面がロックされている、というのがバックアップを開始する条件です。バックアップの所要時間はインストールしているアプリの使用データ量次第となります。
毎日こまめにバックアップを取っていると、新しいiPhoneの購入時の復元が簡単になります。以前使っていたiPhoneのバックアップを新しいiPhoneに「復元」すれば、元どおり使えるようになるからです。その際には一度新しいiPhoneを初期化することになります。
ここでは、アイクラウドへのiOSデバイスのバックアップ方法と、その復元方法を解説していきます。
初回のバックアップ方法
(1)バックアップをオン
「設定」アプリの[iCloud]を開いてスクロールし[バックアップ]をタップします。
(2)バックアップを開始
[iCloudバックアップ]をオンにするとこのダイアログが表示されるので[OK]をタップします。
(3)バックアップ中
条件が揃うと自動的にバックアップが開始されますが、[今すぐバックアップを作成]をタップすると手動で開始できます。
バックアップから復元
(1)Appとデータ画面
リセットしたiPhoneを設定し、Wi-Fiネットワークに接続し、この画面まで設定を進めたら[iCloudバックアップから復元]をタップします。
(2)iCloudサインイン
バックアップを行ったアップルIDでアイクラウドにサインインします。
(3)バックアップを選択
アイクラウドにバックアップされているデータが一覧されます。復元したいバックアップを選びます。
アプリとメディアの復元
(1)パスワードで認証
アイクラウド・バックアップからの復元が終わるとiPhoneが再起動します。アイクラウドのパスワードを求められるので入力します。
(2)iCloudキーチェーン
iCloudキーチェーンを設定するかここで選びます。バックアップとは別に管理されているからです。
(3)Appとメディアを復元中
「ようこそiPhoneへ」の画面で[さあ、はじめよう!]をタップするとホーム画面が表示され、アプリとメディアの復元がバックグラウンドで開始されます。完了するまでしばらく待ちましょう。
無料の5GBでバックアップを取る
アイクラウドの無料ストレージは5GBしかありません。対してiPhoneの容量は最低でも16GBからです。なんとかアイクラウドの容量をアップグレードせずにバックアップする方法はないのでしょうか? ここでは、最低限の容量でバックアップする方法を解説しましょう。
まずは、アイクラウドのバックアップではアプリごとにバックアップの有無を取捨選択します。データを失っても再設定すればいいアプリなどはオフにします。
それでも容量が足りない場合、アイクラウド・フォトライブラリの使用をやめ、写真のバックアップもオフにして、「写真」ソフトや「イメージキャプチャ」を使ってこまめにMacへ読み込んでおくという、ちょっと時代に逆行した方法があります。
また、アイクラウド・ストレージの空き容量を増やすアプローチもあります。使っていないデバイスのバックアップやアイクラウド・ドライブに余分なファイルがないかチェックしてみましょう。
(1)まずは、バックアップ容量を減らすところからはじめましょう。「設定」→[iCloud]→[容量]→[ストレージを管理]と辿って[バックアップ]からこのiPhoneを選び、[バックアップオプション]にあるアプリからバックアップが不要と思うものをオフにしていきます。
(2)1で[すべてのAppを表示]をタップすると、インストールされているすべてのアプリが表示されます。5GBに納まるように取捨選択します。アプリ内にデータを保存しないアプリは復元後に再ダウンロードすれば良いので、優先的にオフにしていきます。
(3)[iCloud]の[写真]をタップして[iCloudフォトライブラリ]をオフにします。[iPhoneから削除]か[写真とビデオをダウンロード]はストレージ容量次第で選びます。前者を選んでもアイクラウド上には写真が残ります。その後、再びバックアップの設定で[フォトライブラリ]をオフにします。これでかなりのバックアップ容量を確保できるはずです。
(4)「設定」→[iCloud]→[容量]と辿って[ストレージを管理]をタップし、使っていないiOSデバイスのバックアップが残っていないかチェックします。デバイスの情報を開いて[バックアップを削除]をタップすれば、バックアップを削除できます。同様に、[書類およびデータ]でも不要なファイルがあれば削除します。
アイクラウド・バックアップのトラブルシューティング
アイクラウドはインターネット上のサーバから提供されているので、ネットワークの混雑やサーバ自体の負荷状況によってバックアップがうまくいかないことも考えられます。そんなときは、アップルのWEBサイトでステータスを確認しましょう。
Wi-Fi接続に問題があるときはほかのネットワークを試してみたり、Wi-Fiルータの再起動も試してください。毎日の自動バックアップが機能していない場合は、Wi-Fiネットワークに接続しているか、電源につながっているか、画面がロックされているかをチェックします。この条件がすべてそろったときにバックアップされるからです。
Appleのサービス、Store、およびiCloud
このWEBページでは、過去3日間のアイクラウドなどの障害状況がチェックできます。【URL】https://www.apple.com/jp/support/systemstatus/
機種変更後にすぐiPhoneを使う
iPhoneのいいところは、機種変更しても前のiPhoneのバックアップから復元すれば、すぐに前機種と同じ環境を作れる点です。アラームやアプリアイコンの場所なども完全に復元してくれるため、非常に便利です。
とはいえ、バックアップの復元にはWi-Fiネットワークが必要ですし、復元のあとにはコンテンツの同期も行われるため、1時間程度はWi-Fiネットワークのあるところに留まる必要があります。そのため、この作業は自宅でやるのが一番確実かつ楽なのですが、機種変更後に用事がある、購入店舗が家から遠いなど、すぐに自宅で復元作業ができない状況もあるでしょう。
そんなときに覚えておきたいのが、あえてアイクラウドのバックアップからは復元せず、アイクラウドへのサインインだけを済ませるテクニック。コンテンツの同期は行われないため短時間ですし、連絡先などは同期されるので、あらためて自宅に戻ってからリセットし、復元を行いましょう。
(1)初期設定をここまで進めて、[新しいiPhoneとして設定]を選びます。なお、途中の設定でWi-Fiに接続する必要はありません。
(2)アップルIDとパスワードを入力して右上の[次へ]をタップします。
(3)あらためてバックアップから復元するときにも設定するので、ここは[パスワードを復元しない]でよいでしょう。
(4)[さあ、はじめよう!]をタップするとホーム画面が表示され、とりあえずiPhoneを電話として使えるようになります。連絡先などはLTE回線でも数分で同期されるはずです。
(5)自宅などに戻って安定したWi-Fiネットワーク圏内に入ったら、「設定」→[一般]の一番下までスクロールし、[リセット]をタップ。[すべてのコンテンツと設定を消去]を選びます。
(6)パスコードを入力します。ここはタッチIDでは認証できません。
(7)確認ダイアログが複数回出てきますので、[iPhoneを消去]をタップします。
(8)「iPhoneを探す」をオフにするためにアップルIDのパスワードを入力し[消去]をタップ。iPhoneが再起動してリセットがかかります。このあとは、73ページ下段を参照ください。