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仮想化ソフトで互換性を確認?

著者: 清水典之

仮想化ソフトで互換性を確認?

【STEP 3】実際のMacとは異なるバージョンのOS Xを仮想化する

ホストとは異なるバージョンのOS Xの仮想化には、OS Xのインストーラが必要です。最新のエルキャピタンは誰でもMacアップストアから入手できますが、ヨセミテやマーベリックスなどの旧OS Xは、アップストアの[購入済み]からダウンロードする形になります。そのため、購入履歴がない方は入手できません。

ただし、購入履歴があっても、ヨセミテがプリインストールされたMacに買い換えた場合、そのMacではマーベリックスやマウンテン・ライオンなどをダウンロードできないので注意が必要です。

手順は、まずMacアップストアから仮想化したいバージョンのOS Xインストーラをダウンロードします。新規仮想マシン作成ウィザード(パラレルスウィザード)を起動すると、自動で認識されます。インストール元に選択するとインストール用のディスクイメージが作成され、仮想マシンの作成が始まります。インストールが完了したら、最後にパラレルスツールズをインストールします。

 

エルキャピタン上でヨセミテを仮想化

(1)アップストアの[購入済み]から、「OS Xヨセミテ」をダウンロードします。完了すると、古いOS Xはインストールできない旨のアラートが出ますがそれでOKです。

(2)パラレルスを起動し、パラレルスウィザードを開始して、[DVD/イメージファイルから~]を選択し、[続行]をクリックします。

(3)?[アプリケーション]フォルダに「OS Xインストール」が存在すると、仮想化できるオペレーティングシステムとして自動的に認識されます。「インストールOS Xヨセミテ」を選択し、[続行]をクリックします。

(4)「OS Xインストール」からインストール用のディスクイメージが作成されます。保存場所を選んで[保存]をクリックします。ディスクイメージは6GB以上あるので、インストールが終了したら、ディスクイメージは仮想マシンのOS X上でイジェクトしたのち、削除しましょう。

(5)仮想マシンの名称と保存場所を決めます。保存場所は外付けストレージでも構いません。[インストール前に構成を~]にチェックを入れておくと、メモリの割り当てなど仮想マシンの構成が変更できます。

(6)ディスクイメージから仮想マシンが起動し、インストールが始まります。インストール先には[Macintosh HD]を選択します。

(7)?あとは通常のOS Xインストールと手順は同じです。デスクトップが表示されたら、パラレルスツールズをインストールします。

 

ヨセミテ上でエルキャピタンを仮想化

(1)アップストアの[おすすめ]のトップページからエルキャピタンをダウンロードします。完了後、インストールをキャンセルします。

(2)パラレルスウィザードで「インストールOS Xエルキャピタン」が自動認識されます。インストール用ディスクイメージが作成され、インストールが始まります。

 

ソフトのインストール

仮想マシンにインストールCDなどからソフトをインストールするには、ツールバーのCDアイコンをクリックし、仮想マシンに光学式ドライブを接続しておきます。

【STEP4】仮想化したOS Xの使い勝手は?

パラレルスやフュージョンといった仮想化ソフトは、OS X上でウィンドウズを利用することをメインに設計されているので、OS X仮想マシンでは一部、機能に制約があります。まず、キーボード配列がUS配列で認識されてしまう問題があり、たとえば「@」を入力するには[シフト]キー+[2]キーを押すなどJIS配列とは記号類の場所が変わります。次に、ドラッグ&ドロップによるファイルコピーができず、ホスト側と[ホーム]フォルダを統合する機能も、アプリケーション共有機能もありません。

とはいえ、以前に比べると改善されていて、USB機器を仮想マシンに接続すれば利用できます。筆者が困っている「ハッピー・ハッキング・キーボード(HHKB)」も、ヨセミテの仮想マシンにドライバをインストールして仮想マシン側に接続すれば、正常に動作しました。

また、アイクラウド・ドライブでファイル共有もできますし、表示がヘンですがコヒーレンスモードも使えます。工夫次第で意外と用途は広がるはずです。

 

Mac内蔵ハードは不可

仮想マシン上では、実際にはマルチタッチトラックパッドを使っていても、一般的なマウスとして認識されます。とはいえ、1本指クリックや2本指スクロールなど基本的なジェスチャは仮想マシン側にも反映されます。

 

USB機器の利用

(1)USB機器を接続すると、ホストか仮想マシン(ゲストOS)のどちらに接続するか聞かれます。仮想マシンに接続するとホスト側からは認識されなくなります。

(2)ヨセミテの仮想マシンにHHKBのドライバをインストールして、ツールバーのUSBアイコンから「PFUー68 USB Keyboard」を接続すると、HHKBが正常に動作しました。

(3)プリンタ共有機能は使えませんが、ネットワークプリンタは使えますし、USBプリンタも仮想マシンに接続してドライバをインストールすればダイレクトに使えます。

 

シンプルなファイル共有

デスクトップ上に用意される[Parallels Shared Folders]から、ホストの[ホーム]フォルダやアイクラウド・ドライブ、Macに接続された外付けストレージにアクセスできます。

 

Wi-Fiは使用不可

システム環境設定の[ネットワーク]を開いてWi-Fiを追加しようとしましたが、ハードウェアがホストに固定されており、ツールバーのUSBアイコンのリストにもWi-Fiは現れません。このため、エアドロップは利用できません。

 

コヒーレンス対応

OS X仮想マシンでも、コヒーレンスモードが利用できるようになっています。ただし、メニューは二段表示になり、ドックが妙な表示になります。

「ディスクメーカーX」でUSBメモリのインストールディスクを作成

エルキャピタンの不具合が致命的で、ヨセミテにダウングレードしたいという人もいるでしょう。ヨセミテをインストールするには、ディスクメーカーXを使ってヨセミテの「OS Xインストール」からUSBメモリのインストールディスクを作成する必要があります。

ヨセミテのインストール後、タイムマシンから書き戻してバックアップを継続すると、データの整合性がとれなくなります。このため、エルキャピタンは残して、別パーティションにヨセミテをインストールしてバックアップしない方式にしたほうがいいでしょう。

(1)?8GB以上のUSBメモリを用意してヨセミテをダウンロードし、ディスクメーカーX(http://diskmakerx.com)を起動して[ヨセミテ(10.10)]をクリックします。[このファイルを使用]をクリックします。

(2)容量8GB以上のUSBディスク]をクリックし、起動ディスクとしてUSBメモリ(ここでは「USB16GB」)を選択し、[このディスクを選択]をクリックすると作成が始まります。ライオンが吠えたらディスク作成の成功。

【仮想化知識】

昔からMacを使っていれば、アップストアの購入履歴にかなり古いOS Xも出てくるかもしれませんが、Macの場合、プリインストールされたOS Xより古いOS Xはインストールできないので、Macを買い換えてしまうと購入履歴にあっても、そのMacではダウンロードができなくなります。

【仮想化知識】

ちなみに、ヨセミテやマーベリックスの仮想マシンを作成してから仮想マシン上でエルキャピタンにアップグレードすることも可能です。アップグレードによる不具合も事前に検証できるというわけです。