【STEP 3】バーチャルボックス5でウィンドウズ10の仮想マシンを使う
VB5で新たにいくつかの機能が追加されています。まず仮想マシンとOS Xの間でドラッグ&ドロップでファイルを双方向にやりとりできるようになりました。ホストのOS Xと仮想マシンのウィンドウズでクリップボードの共有も可能になっています。USB3.0対応の周辺機器にも対応しました。これらは有償製品では当たり前の機能ですが、VBでも利用できるようになったのはうれしい限りです。そのほか、安定化をはかる改良が施されています。
さらに、最新ビルドではホストOSおよびゲストOSの双方でOS Xエルキャピタンに対応し、ゲストOSとしてウィンドウズ10に正式対応しています。
一方、“最後のウィンドウズ”となるウィンドウズ10については、本誌でも何度か扱っているので簡単にとどめますが、まずウィンドウズ7の[スタート]メニューと、ウィンドウズ8のスタート画面が合体し、デスクトップ上でソフトの起動ができるようになりました。ただ、正直いって使い勝手は微妙です。そして、ウィンドウズ8では全画面表示でしか使えなかったストアアプリ(モダンUIアプリ)がウインドウ表示に対応しています。
ウィンドウズ10では新たに「タスクビュー」と「仮想デスクトップ」という機能が追加されています。タスクビューはOS Xのミッションコントロールとほぼ同じ機能で、仮想デスクトップは複数のデスクトップを切り替えて使えるようにする機能です。
また、「エクスプローラー」が改良され、ファイルやフォルダの操作がオフィスのようなリボンUIで利用できるようになり、検索窓がタスクバーに設置され、WEBとローカルの両方同時に検索できるようになりました。
バーチャルボックス5の新機能
(1)仮想マシンの構成設定の[一般]タブで、[クリップボードの共有]と[ドラッグ&ドロップ]を[双方向]に設定すると、ホストのOS Xとウィンドウズの仮想マシンの間でコピー&ペーストと、ドラッグ&ドロップでのファイルコピーができるようになります。
(2)仮想マシンの構成設定の[ポート]タブで、[USB3.0コントローラー]にチェックを入れるとUSB3.0に対応します。ただし、もちろんMac本体がUSB3.0に対応している必要があります。
(3)VBの表示モードには、ウインドウモード、フルスクリーンモードのほかに、シームレスモードがあります。ウィンドウズのデスクトップがOS Xのデスクトップに表示され、ウィンドウズとOS Xの同時利用がしやすくなります。
ウィンドウズ10の新機能
(1)ウィンドウズ10では、7以前の[スタート]メニューと8のスタート画面が合体しました。[すべてのアプリ]をクリックすればタイル表示以外のソフトを起動できます。
(2)ウィンドウズ8では全画面表示でしか使えなかった「ストア」や「ミュージック」「マップ」「ニュース」などのモダンUIアプリが、ウインドウ表示できるようになりました。
(3)タスクバーの「長方形が重なったアイコン」をクリックすると、起動中のソフトやエクスプローラーのウインドウを一覧表示できます(タスクビュー)。OS Xのミッションコントロールと同じです。
(4)タスクビューを起動し、右側の[+]をクリックすると、仮想デスクトップを追加できます。仕事や趣味など作業内容に合わせて、デスクトップを切り替えて使えます。
(5)エクスプローラーのウインドウで、右上にある[∨]アイコンをクリックすると、オフィスの「リボン」のようなUIでファイルやフォルダの操作ができるようになりました。
(6)ウィンドウズ10では、検索窓がタスクバーに設置され、ここから自分のファイルとWEBの両方を同時に検索することができます。
【STEP4】パラレルス・デスクトップ11でウィンドウズ10を使う
VBで仮想化ソフトを体験し、本格的に使ってみたいと思った場合は、やはりパラレルス・デスクトップやVMウェア・フュージョンなどの有償製品を購入することをおすすめします。VBとの最大の違いは動作速度です。仮想マシンの起動からウィンドウズの体感速度まで有償製品のほうが速く利用時のストレスが全然違います。
機能面で比較すると、有償製品は箱庭的にウィンドウズを起動させるだけでなく、ウィンドウズのソフトを使ったり、ウィンドウズ上のファイルを扱ったりするうえで、さまざまな工夫がされています。
たとえば、パラレルス・デスクトップ11では、ウィンドウズのデスクトップを消し、ソフトのウインドウだけを表示する表示モードがあり、ウィンドウズを意識せずにソフトを使うことができます。ファイルも、OS X側とウィンドウズ側のどちらにあっても、双方のソフトと関連づけて開くことができます。パラレルスは、ウィンドウズPCをMacの中で動かすというより、ウィンドウズソフトの実行環境のような姿に進化しています。
(1)パラレルスには、ウィンドウズのデスクトップを消して、ソフトのウインドウやエクスプローラーだけを表示するコヒーレンスモードがあります。ウィンドウズのソフトをOS Xのソフトのように使えます。
(2)OS X側の任意の[ホーム]フォルダをウィンドウズ側の[ユーザ]フォルダに統合し、OS X側のファイルやフォルダにアクセスできます。VBでもできますが、個別に設定が必要です。
(3)パラレルスではOS X側で利用しているアイクラウドやドロップボックスなどのクラウドサービスの共有フォルダに、ウィンドウズの仮想マシンからアクセスできます。
(4)ウィンドウズの仮想マシン側にあるファイルをOS Xのソフトで開くことができます。ファイルを右クリックして[プログラムから開く]を選ぶと、ソフトがリストアップされます。
(5)仮想マシンが起動中であれば、逆にOS X側にあるファイルをウィンドウズのソフトで開くこともできます。
(6)グラフィックスメモリを2GBまで割り当てることができ、ダイレクトX10にも対応しています。VBでゲームは難しいですが、パラレルスなら遊べるゲームがそこそこあります。
(7)コヒーレンスモードでは、ミッションコントロールでウィンドウズのソフトもOS Xのソフトと同様に一覧表示され、切り替えて使えます。
ブートキャンプパーティションの起動が帰ってきた!
かつてのパラレルスとフュージョンには、ブートキャンプパーティションを起動ディスクにして仮想マシンを作成する機能がありました。1つのライセンスで、ブートキャンプと仮想マシンを併用できたのです。しかし、マイクロソフトは2013年1月から(ウィンドウズ8から)、こういう併用には「ライセンスが2つ必要」とライセンスの解釈を変更しました。それに合わせたのか、両製品から併用機能が削除されていたのですが、両製品とも最新バージョンで復活しました。ただし、ライセンスが複数必要なのかもしれないので注意してください。
(1)パラレルスの場合、Macでブートキャンプを利用していると、新規仮想マシン作成ウィザードで、「ブートキャンプからウィンドウズを使用」という項目が現れます。
(2)ブートキャンプパーティションを起動ディスクにするので、仮想マシンのファイルサイズはたった5.0MB。もっとも、ブートキャンプは最低でも32GBは内蔵ストレージの空き領域を消費します。
【仮想化知識】
ウィンドウズ10の新機能で、目玉の一つとされていたのが音声認識機能の「コルタナ」ですが、仮想マシンからでも利用可能です。今のところコルタナ自体が日本語には対応していませんが、今後のアップデートで追加される予定です。
【仮想化知識】
ブートキャンプでウィンドウズをインストールし、それに加え、OS X上で仮想ディスクを作成してそこにまた同じウィンドウズをインストールする場合は、ライセンスは2つ必要になるので注意してください。