“振り返り”の強い味方
元来モノ好きゆえ、仕事道具のペンやノートなどの文房具にこだわりたい気持ちはあるものの、紙は濡れたり紛失したりすると途端に参照できなくなるリスクがございます。そのような理由で、ここ７年ほど愛用しているのが「ノータビリティ（Notability）」なるノートアプリ。当初はiPhone／iPad版のみのリリースでしたが、現在はMac版も用意されているため、デバイスにとらわれずあらゆるシーンで活用できるようになりました。
●Mac／iPad／iPhoneどれでも使える！
記録したノートをiCloudで同期でき、Mac／iPad／iPhodeで記録／再生が可能。なお、この機能を利用するにはサブスクへの登録が必要です。
スマホやパソコンの標準ソフトとして簡易的なテキストエディタがプリインストールされているのが常ですが、ノータビリティも手書き文字やテキスト、写真、イラストを盛り込めたりと、ノートアプリとしての基本的な機能を備えています。加えて、Webページや「ワード（Word）」「エクセル（Excel）」などのファイルまで取り込んで表示できますが、筆者が何より「便利だな」と痛感しているポイントが録音機能です。
●数多くのファイル形式に対応
テキストや手書き文字に加えて、写真やPDF、Webページ、Officeファイルなどを取り込んで、さらにその上から手書きメモを追加することも可能です。
インタビュー取材のシーンを想像していただきたいのですが、ライターは取材相手の話を伺いつつ紙のノートにペンでメモを取り、念のためICレコーダなどでその会話を録音するのが従来のスタイルです。その際に同アプリであれば、iPhoneならフリック入力、iPadならアップルペンシルによる手書き、MacBookならキーボード入力でメモを取りつつ、同時に録音まで一度に行えるのです。ここまでならほかのアプリでも代用できそうですが、さらに！ ここからはよく耳をかっぽじって聞いてくださいよ。
録音した音声ファイルは「メモを書いた時間」と同期されているのです。カラオケでいうと音楽と歌詞の関係。たとえばカラオケの練習中に曲のサビだけ聴きたいときがありますよね。同アプリではサビの歌詞の部分（自分がメモしたテキストや手書き文字）をタップすると、サビ（そのメモを入力した時点での音声ファイル）が頭出しできるのです。
これは膨大な取材メモと音声ファイルを確認しながら原稿を書くライターにとって多大な恩恵をもたらしました。これ以外の用途でも、「長時間にわたる会議の議事録をまとめる」「商談で取り決めた条件を事細かに洗い出す」「授業の重要なポイントをあとから復習する」といった作業が必要な方には必ずや役立つことでしょう。
●クリックすると録音した音声が再生
メモに加えて録音機能も搭載されています。文字をタップすれば、それを書いたときに記録された録音ファイルを再生できます（テキスト／手書きどちらにも対応）。いうなればカラオケの歌詞と曲の関係です。また、再生時点で取っていないメモは灰色で表示されます。
課金の価値アリ！
ノータビリティを使つもうひとつのメリットは、メモしたファイルをクラウドで保存できるため、アップルデバイスであれば記録／再生ともに端末を選ばないという点です。筆者の場合、主に取材はiPhoneかiPadで、原稿執筆はMacで行っており、いずれでもファイルの移動操作なしに一連の仕事をこなせています。
つまり、ちゃんとクラウド同期さえされていれば、手持ちのアップルデバイスのどれかが故障・紛失しても平気ということ。前述のとおり、オンリーワンの紙のノートはなくすとおしまいですが、このデジタルノートアプリであればデータが一元管理できるうえ、リスクヘッジまでできてしまうわけです。
先述のクラウド保存機能など一部機能を使うためには、サブスクリプションへの登録が必要ですが、課金する価値は十分あるでしょう。
●iCloud以外のバックアップ先も選択可能
iCloudによるデバイス間の同期のほか、「自動バックアップ」機能で愛用のクラウドサービスに保存することも可能です。対応しているサービスは、Dropbox、OneDrive、Googleドライブ、Box、WebDAV。なお、この機能を利用するにはアプリ内課金が必要です。
●さまざまなテンプレートも用意
プレーンな白紙のほか、罫線や格子、ドットなどさまざまなテンプレートを選択できます。珍しいところでは、レシピ帳や五線譜、スポーツシーンで利用できるプランニングノートまで揃えています。
このソフトもやみつき！
「Notability」で録音しながらメモを取りつつ、写真も撮らなければいけない器用貧乏ライターに欠かせない作業が写真のセレクトおよびレタッチです。この際に筆者が愛用しているのは「Adobe Lightroom」。取材時に撮影した写真はデジカメ上でざっと選んで、早ければ現場でiPhoneやiPadの「Adobe Lightroom」アプリに取り込んでおきます。移動中や宿などで、時間とやる気が残っている際は軽くレタッチ作業。帰宅後はMacBookの「Adobe Lightroom」を起動すれば、それらの写真がクラウドで同期されているため、ダウンロードして原稿に貼り込むだけでいっちょあがりと、業務のスピード改善に大いに貢献しております。共有アルバム機能も備えるため、デザイナーとの共同作業にも役立っています。
