面白そうなゲームアプリの広告に惹かれてプレイし始めたものの、広告で見たシーンには一向に辿り着けない…。最近、そんな詐欺のような事態が多発しているようです。果たして、ゲーム広告の内容はどこまで本当なのでしょうか。広告でよく見るタイトルをいくつか実際にプレイして、その真相を究明しました。
広告詐欺の横行、許すまじ! スマホゲームは、本当に広告どおりに遊べるか?
ゲームアプリの広告は、アプリ内広告やインターネット広告、SNS広告など、あらゆるところで目にします。しかし、そうしたゲームの中には、広告と実際の内容が大きく異なるものもあるようです。アプリレビューで「広告と内容がまったく違う!」と指摘されていたり、X(旧Twitter)の「コミュニティノート」で注意喚起がされていたりします。
広告詐欺のような状況が蔓延するのは、健全なゲーム業界の発展にとって由々しき事態です。第一、人を騙してプレイさせるようなゲームはク○ゲーに違いありません。ファミコン黎明期からゲーム沼にハマり続けた1人のゲーム愛好家として、この乱れた状況を糾弾しなければ! そんな義侠心に駆られ、真相の究明に乗り出しました。
今回、検証したのは「ホワイトアウト・サバイバル」、「ラストウォー:サバイバル」、「ヒーローウォーズ」の3タイトル。広告を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。



「ホワイトアウト・サバイバル」は、街づくりシミュレーション?
それではさっそく検証していきましょう。1本目は「ホワイトアウト・サバイバル」です。私が目にしたのは、キャラクターを操作できる「プレイアブル広告」でした。広告を見る限り、街の発展を目的にしたシミュレーションゲームのような印象ですが、実際はどうなのでしょうか。
オープニングは、雪原の中、とある集落跡に到着する4人の冒険者というシーンから始まります。木材を切り出し、火を起こし、厨房を建設して…。主人公は「よし! おじいちゃんの意思を継いで、ここに大きな街をつくりあげるぞ!」と、いきなり大きな夢を語り始めます。
やや唐突な展開ですが、街づくりシミュレーションというのは間違いなさそうです。
そのままプレイしていくと、伐採場や石炭工場、住居など建設できるものが増えていき、住民も増えていきます。
しかし、4日間プレイしても広告で見たようにキャラクターを操作して木材を切り倒すモードはまったく出てきませんでした。そもそも記事を書いていて気づいたのですが、広告で操作していたキャラクターは主人公のショーンじゃない。
アナタ、誰…?
せっかくのプレイアブル広告なのに、本編に同じ操作シーンが登場しないのは問題ないのでしょうか…。
ゲーム自体は全体的に丁寧に作り込まれており、グラフィックもキレイです。この先「同盟」という仕組みでプレイヤー同士の交流・対戦も増えていくようです。面白そうなゲームなのに、とにかく広告が残念です。




ゾンビを撃ちまくれ!?「ラストウォー:サバイバル」
続いてのタイトルは「ラストウォー:サバイバル」。広告を見ると、前進しながら敵の大群を撃破する縦スクロールシューティングのような印象。しかし、「App Store」のレビューには「広告と違う」というコメントが頻出しています。うーむ、これはいかにも怪しい…。
ところが、ゲーム開始直後のチュートリアルで縦スクロールシューティングが始まり、その後も同様の展開が続きます。
あれ? 意外と広告どおりだぞ…。
ゾンビが蔓延する世界で、プレイヤーは司令官となって基地を拡張しつつ、ゾンビを撃退していくという内容。大量のゾンビを撃破していくのは爽快感がありますね。
しかし、ゲームを進めると、シューティングゲームよりも街(基地)づくりシミュレーションの比重が高くなっていきます。兵士訓練所を建設し、科学研究を行い、施設のレベルアップを繰り返す展開に。街づくりシミュレーションとしては「ホワイトアウト・サバイバル」と似ています。こちらも同盟によってプレイヤー同士の交流や対戦があるようです。
結論として、広告にあったシューティングモードも存在し「偽りあり」とまでは言えませんが、メインは街づくりシミュレーションです。シューティングゲームを期待していた人には肩透かしでしょう。個人的にはゾンビものが好きなので、引き続きプレイして展開を見極めたいと思います。




パズルを解いてお宝ゲット?「ヒーローウォーズ」
3本目の「ヒーローウォーズ」は、特にMacでのWebブラウジング中にバナー広告でよく見かける印象がありました。ピンを抜く順序を考えてキャラクターを財宝に導くパズルゲームのようです。空いた時間に楽しめる頭の体操的なゲームなのでは?
バナーをタップすると、新しいウィンドウが開きいきなりゲームが始まりました。先ほどの2つのタイトルはiPhone用アプリでしたが、こちらはWebブラウザベースのゲームのようです。
ファンタジー風の世界観で、キャラクターが敵を倒しながら前進するゲームが展開します。プレイヤーはキャラクターの必殺技をクリックして発動できますが、「Auto」に切り替えれば自動的に発動します。基本これで問題なく、プレイヤーは画面を眺めているだけで各ステージを撃破していきます。
広告にあったパズルゲーム的は、数回の横スクロールバトルの後にミニゲームとして登場しましたが、その後4時間ほどプレイしてもわずか数回しか出現しませんでした。パズルゲーム的なものを期待した人はがっかりでしょう。
ゲーム自体は、ステージを周回してアイテムを集め、キャラクターを育成する楽しみがありますが、バトル自体は基本的に眺めているだけ。RPG風のビジュアルですが、特にドラマチックなストーリーもありません。頭の体操というよりは、頭の休憩という表現が近いゲームです。
ブラウザゲームなので、iPhoneのSafariでも楽しめます。ちょっと時間が空いたときに楽しむ育成ゲームが好きな人にはいいかもしれません。あとは絵柄が気に入るかどうかが分かれ目でしょう。




内容と違うゲームがいっぱい。どうしてこうなった?
今回3つのゲームをプレイしましたが、いずれも広告と内容が微妙にずれている結果でした。まったくの虚偽広告とは言い切れないものの、広告を見てプレイし始めた人の期待には沿わない内容です。
このような状況が起きている背景には、似たようなゲームが膨大に存在し、アピールしにくくなっていることがあるのではないでしょうか。
今回プレイしたゲームのうち2本は街づくりシミュレーションですが、街づくりゲームほかにも似たようなゲームがたくさん存在し、ユーザの取り合いが起きていると推測します。
どのゲームもある程度の開発費をかけて作り込まれているため、プレイヤー人口を増やしたい。そのため、わかりやすいミニゲームのような見せ方で誤解させ、誘導しようという考えなのでしょう。
とにかく広告をタップさせたい気持ちはわかりますが、節度を持ってアピールしてほしいものです。
著者プロフィール

小平淳一
Apple製品を愛するフリーランスの編集者&ジャーナリスト。主な仕事に「Mac Fan」「Web Desinging」「集英社オンライン」「PC Watch」の執筆と編集、企業販促物のコピーライティングなど。ときどき絵描きも。Webの制作・運用も担う。