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折りたたみ式電動バイク「タタメルバイク」試乗レビュー/変形ロボのようなトランスフォーム&iPhoneケース風の感覚の着せ替えに“ロマン”を感じた

折りたたみ式電動バイク「タタメルバイク」試乗レビュー/変形ロボのようなトランスフォーム&iPhoneケース風の感覚の着せ替えに“ロマン”を感じた

「ICOMA タタメルバイク」の試乗会が、4月12日・13日の両日に二子玉川蔦屋家電+で開催されました。その様子をレポートします。

コンパクトに変形する電動バイク「タタメルバイク」とは?

ロボットや乗り物が「トランスフォーム(変形)」する姿に胸を躍らせた記憶はありませんか? 折りたたみ自転車の「ブロンプトン(BROMPTON)」をこよなく愛する筆者ですが、今回心奪われたのは、株式会社ICOMA(イコマ)が生み出したコンパクトに折りたためる電動バイク、その名も「タタメルバイク」です。今回は、蔦屋家電+で展示中のこの製品を取り上げていきます。

Mac Fan Portalでは、蔦屋家電+で展示される注目プロダクトをピックアップして紹介中!

タタメルバイク

【価格】
49万8000円(送料別途)

【URL】  https://store.tsite.jp/tsutayaelectricsplus-futako/event/car-bike/45656-1009100214.html

「タタメルバイク」の魅力について、「まるでロボットが変形しているようなメカニカルなたたみ方と豊富な側面のデザインバリエーションで、使う人も目にする人も楽しめること間違いなしです!」と蔦屋家電+スタッフの奈良さん。

15秒で組み立て完了! ハンドルも前輪も後輪も、車体に美しく収まるのがグッド

このロマン溢れる電動バイクの開発を手掛けたのは、かつて大手玩具メーカーで変形ロボのデザインや試作開発にも携わったプロダクトデザイナー、生駒崇光さん。

2016年頃に「箱型に変形する電動バイク」の着想を得て、試行錯誤の末に2021年にICOMAを設立。さらなる改良を重ね、ついに2024年末より量産モデルが街を走り始めています。

折りたためるバイクといえば、1980年代に一世を風靡したホンダ「モトコンポ」を思い出す人も多いでしょう。しかし、タタメルバイクはハンドル周りやシートに加え、前輪と後輪までも車体側に美しく収まるトランスフォームを実現したのです。

折りたたみと展開の手順は初見では複雑に感じますが、慣れれば15秒程度で完了できるとICOMAのデザイナー・中村太一さんは話します。

走行時のモトコンポ(左)とタタメルバイク(右)の違い。走行時の車体全長はあまり変わりません。
画像:X
折り畳み時のモトコンポ(左)とタタメルバイク(右)の違い。折りたたんだ際のフットプリントは、タタメルバイクがコンパクトなことがわかります。
画像:X

「タタメルバイク」はコンパクトだから、自宅での収納もらくらく!

また、内燃機関のエンジンと電動モーターという動力の違いもありますが、想定する利用シーンも大きく異なると中村さん。「タタメルバイクはガソリンを使わないため、折りたたんだ状態でそのまま屋内に持ち込めます。玄関や机の下に収納し、家庭用電源で充電することも可能です」

実際に、折りたたんだ状態は約260(W)×690(H)×690(D)mmと非常にコンパクトで、突起物の少ない外観のため室内でも圧迫感を覚えにくいでしょう。サイズ感で言えば、Lサイズのスーツケースあるいは2012年モデルのタワー型Mac Proよりひと回り大きい程度。

自宅で駐車スペースの確保が難しいためにバイク購入を諦めていた人にとっても、タタメルバイクがもたらす新たな可能性とその価値は大きいと感じました。

折りたたんだ際に後輪部分のキャスターホイールが接地するので、63kgという車重にもかかわらずスムースに転がしながら移動できます。店内から屋外に移動する際も、ハンドルだけ出した状態で動かすことで、スロープやエレベーターの段差も抵抗なく乗り越えられました。

サイドパネルはiPhoneケースのように、気分で着せ替えられる

タタメルバイクのもうひとつの魅力は、まるでiPhoneケースのように手軽に着せ替えられる車体のサイドパネル。購入時には9種類のデザインと豊富なカラーバリエーションから選べるほか、プラス1万円でオリジナルデザインのパネルを作成できるプランが提供されています。

その日の気分や服装に合わせてパネルを簡単にカスタマイズできる発想は、「iPhoneケースのファッションカルチャーにインスパイアされた部分がある」と、ICOMAのグラフィックデザイナー・磯部凛さんは話します。

日常で使うものだからこそ、自分らしさを演出して楽しんでほしい、そんな思いに応える“粋”な仕掛けです。さらにステッカーチューンも楽しめるでしょう。

ワンタッチで着せ替え可能なサイドパネルは、ベーシックな単色デザインのほか、ポップなグラフィックやレーサー風、トイ風、寿司風などから選べます。また、既存のデザインであれば2万5000円、オリジナルパネルは単品3万5000円で追加購入が可能です。
ウインカーやサイドパネルのバンパーなど、外装部品の一部は3Dプリンタで造形したパーツを使用しています。各部の3Dモデルデータは公開されており、ユーザ自身が考案したアクセサリ的なパーツを追加できます。
サイドパネルを90度跳ね上げて固定する専用パーツを装着すれば、キャンプテーブルのようにも活用できます。アウトドアのアクティビティを自由に楽しめるのも、タタメルバイクの魅力のひとつです。

「タタメルバイク」は、バイク初心者でもすぐになじめる安定感がある!

トランスフォームする楽しさや素敵なデザインだけでなく、バイク本体の走行性能や機能についても想定以上の完成度。蔦屋家電+で行われた試乗会では、筆者以外にも多くのライダーが参加し、その安定した走りを確かめていました。

車両の操作方法以外でよく聞かれていたのは、タタメルバイクの法的な位置づけについて。定格出力0.6kWの電動モーターを搭載したタタメルバイクは、道路運送車両法では「原付一種(第1種原動機付自転車)」に該当します。つまり、運転には自動車の普通免許または原付免許が必要です。

少し注意が必要なのは、16歳以上であれば免許不要なLUUPなどの電動キックボード型「特定小型原動機付自転車」とは区分が異なること。これにより、特定小型原付の法定速度20キロではなく、原付バイク同様の法定速度30 キロで走行できます。

ハンドルにUSB-Aポートを搭載するから、iPhoneの充電もバッチリ

未来感あふれる起動方法も魅力的で、デジタルメーターにNFCカードキーをかざすだけというスマートさ。背面にカードを収納できるiPhoneケースを使えば、さらにスタイリッシュに乗車できそうです。

また、ハンドル中央部にUSB-Aポートを標準搭載しているので、iPhoneをバイクナビとして使うライダーにもうれしい配慮が光ります。

NFCカードキーをデジタルメーター部分にタッチすると車両が起動します。走行モードは3段階あり、一番上のモードでは時速45キロまでの走行が可能なスペックです。
ハンドル部分に折りたたみに干渉しないiPhoneホルダを装着すれば、USB-Aポートから給電しながら「マップ」アプリやカーナビアプリを走行中に使用可能です。画面を注視しないよう、音声案内での利用がおすすめです。

筆者は普段、中型バイクに乗っていますが、原付区分とはいえ本格的な電動バイクへの乗車は今回が初めて。アクセル操作に対する素早くリニアな走り出しに少し戸惑いましたが、数分もすると加減速は普通の原付バイクと同じように扱えるようになりました。

近所の移動や買い物など、手軽なモビリティとして重宝すること間違いなし!

また、折りたたみ機構があるため車体の剛性や直進安定性、コーナリング時の安定性をやや心配していましたが、10インチの前輪と前後サスペンションがしっかり機能しており、予想以上の安定感がありました。

身長180cmの筆者にはライディングポジションが窮屈かと思いましたが、後方へスライドするシートと前寄りのステップ位置のおかげで問題ありませんでした。

さらに電動バイクの特徴でもありますが、走行音が非常に静かで住宅街でも気兼ねなく乗れることは大きなメリットと感じました。

なお、短時間の試乗であるため正確な評価はできませんが、航続距離は最大30kmで、満充電には100Vの家庭用電源で約3時間かかります。

実際には半径10km圏内程度であれば十分問題なく利用できるため、近所の移動や買い物など、手軽なモビリティとして重宝することは間違いないでしょう。

サイドパネルを取り外した状態。車体サイズに対して十分な太さのフレームを確保し、大型のフロントタイヤとリアサスペンションによって安定した乗り心地を実現しています。
車体中央には簡易ラゲッジスペースがあり、ハーフタイプのヘルメットや買い物袋などを収納可能。また、バッテリは取り外して充電もできます。

工具不要、楽しいサイドパネルの着せ替え、そして高品質。「タタメルバイク」はAppleファンの心を鷲掴みにするはず

タタメルバイクを紹介した理由のひとつとして、工具なしで素早く折り畳めるギミック、着せ替え可能なサイドパネルなどのデザイン、そして小型電動バイクとして高品質を追求する姿勢がAppleのプロダクトデザインに通じるものがあると感じたことが挙げられます。

ICOMAはすでにタタメルバイクのコンセプトをさらに進化させ、より多くの人に利用される新たなコンセプトモデルを国際展示会で発表しており、そのクリエイティブな展開には今後も目が離せません。

ICOMAは、2025年4月にイタリアで開催された国際家具見本市ミラノサローネ・サテリテに新たなコンセプトモデルを出展しました。
画像:ICOMA

また、二子玉川の蔦屋家電+ではタタメルバイクが展示されていますので、お近くの方はぜひ実物で未来のモビリティを確かめてください! 5月13日まで展示予定です。また、5月10日、11日の10時〜17時には、同施設で試乗会が開催されますので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。なお、雨天予報で中止の場合もありますので、最新情報はICOMA社Instagramアカウントをご確認ください。

タタメルバイクの折りたたみ機構を再現した1/12スケールのカプセルトイも発売中。実車と同様に、さまざまなバリエーションでカスタマイズを楽しめます。

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蔦屋家電+(プラス)
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズS.C. テラスマーケット 二子玉川 蔦屋家電 1階
営業時間:10:00~20:00
東京・二子玉川にある、世界中のユニークなプロダクトやサービスを発見・体験できる次世代型ショールーム。最新テクノロジーを駆使した家電をはじめ、優れた技術を生かして開発された家具、雑貨、食品などのほか最新サービスなどを体験できます。
ホームページはコチラ
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著者プロフィール

栗原亮(Arkhē)

栗原亮(Arkhē)

合同会社アルケー代表。1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。

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