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AirTagより「Tile」? 全4モデルの特徴と、ちょっと複雑な「SOS機能」の使い方までまとめて整理。スマートタグは用途に合わせて賢く選ぼう!

著者: 井上晃

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AirTagより「Tile」? 全4モデルの特徴と、ちょっと複雑な「SOS機能」の使い方までまとめて整理。スマートタグは用途に合わせて賢く選ぼう!

「あれ、お店にカバン置いてきちゃったかも…」なんてタイミングで活躍するのが、スマートタグや紛失防止タグなどと呼ばれる製品。こうした製品をカバンに忍ばせておくことで、スマートフォンのアプリから位置情報を確認できるのです。

さて、Appleが提供するスマートタグといえば「AirTag(エアタグ)」ですが、碁石のような特徴的な形状ゆえに、シーンによっては使いづらいこともあります。

一方、さまざまメーカーが、形状も用途もさまざまなスマートタグをリリースしています。たとえば、カード型で財布に収納しやすかったり、ステッカーのように貼り付けられたり、とユニークな使い方が可能です。

今回は、そんな数あるスマートタグの中でも人気の「Tile」シリーズから、「Tile(2024)」の4機種「Tile Mate」「Tile Pro」「Tile Slim」「Tile Sticker」の特徴を整理し、それらの使い方、そして他社製品と比較した際の使い勝手についてレビューしていきます。

ちなみに、「Tile(2024)」は「Life360」アプリと連係することで「SOS機能」が利用できる新モデル。事前設定を行なっておけば、緊急時にTileのマルチアクションボタンを3回押すことで、指定した連絡先に通知と位置情報を知らせることができます。Tileを使う場合は、事前設定を済ませておきましょう。

Tileブランドの現行の4ラインアップ。従来モデルよりもBluetoothでの接続距離が伸びたほか、新たにSOS機能が使えるようになっています。なお、Tileの公式サイトのQ&Aによると動作温度は-10℃~60℃。AirTagが-20℃~60℃なので、大きな差はありません。

Tileは合計4モデル。機能もデザインもさまざまな個性豊かなラインアップを整理しよう

まずは、2024年秋に発売されたTile(2024)シリーズの特徴を整理しておきましょう。

Tile Mate(2024)

1つ目は、シリーズの標準モデルとなる「Tile Mate(2024)」です。SB C&Sが運営するオンラインショップの「トレテク」における販売価格は3980円。電池交換には対応せず、電池寿命は約3年間です。Bluetoothの接続距離は約105m。IP68に準拠した防水防塵性能を備えています。

ちなみに、AirTagの防水防塵性能がIP67なので、より安心して使えるのがわかります。屋外にも持ち運ぶカバンのポケットに忍ばせたり、家の鍵に装着するような用途で適した製品です。

Tile Mate(2024)。正方形に近いデザイン。鍵などに装着しやすいよう、穴が空いているのもいいところ。

Tile Pro(2024)

2つ目は、上位モデルの「Tile Pro(2024)」です。価格は5780円に上がりますが、電池交換に対応しており、コイン型電池の「CR2032」(約1年間利用可能)を入れ替えながら使うことで、長期運用ができます。

また、Bluetoothの接続距離が約150mに伸びるほか、呼び出し音もより大きいのが特徴。IP68の防水防塵性能も備えているので、ビジネスシーンで使うバッグや、アウトドア向けのリュックサック、お気に入りのカメラ、パソコンケースなど、大切なものに取り付けるのにぴったり。

Tile Pro(2024)。サイズも価格もややアップ。ただし、電池交換が可能で長きにわたって利用できます。

Tile Slim(2024)

3つ目は、カード型の「Tile Slim(2024)」です。財布のカード収納ポケットなどにも収納できる薄型のデザインがポイント。価格は5180円で、電池交換には対応しておらず、約3年間使用できます。

Bluetoothの接続距離は約105mでTile Mate(2024)と同じ。防水防塵性能はIP68でTile Pro(2024)と同じです。財布やパスポートケース、小型のバッグなどに忍ばせるには最適です。

Tile Slim(2024)。スリムなカード型で、財布などに入れにくいAirTagと明確に差別化されたアイテムです。

Tile Sticker(2024)

4つ目は、両面テープでペタッとくっつけられる「Tile Sticker(2024)」。価格は3980円で、電池交換には対応せず、約3年間使用できます。防水防塵性能はIP68です。

そして、Bluetootheの接続距離は約75m。自転車などに貼っておくのもいいでしょうし、自宅の中で失くしがちなテレビリモコン、ポータブルゲーム機などに貼り付けておくのもおすすめです。フックやカードホルダーなどを必要としないため、もっとも柔軟に使用できるモデルともいえるかもしれません。

Tile Sticker(2024)。サイズも4モデル中もっとも小ぶりです。

「Tile」と「Life360」、2つのアプリを連係させるとより便利! セットアップの手順を解説

「Tile」アプリのセットアップ

続いて、iPhoneでセットアップしてみましょう。今回は「Tile Mate(2024)」を例に試してみます。使用するのは「Tile」アプリ。App Storeから「Tile」アプリをインストールし、アカウントを作成・サインインを行ってセットアップを進めます。アプリ内の画面指示が丁寧なので、基本的に従って操作すれば大丈夫です。

Tile – Find lost keys & phone

【開発】
Tile, Inc.
【価格】
無料(アプリ内課金あり)
App Storeから「Tile」アプリをインストールし、新規登録かサインインを実行。
サインイン後に通知等の許可を行ったら、「Tileを起動」の欄をタップ。「Tileデバイス」を選択します。
続いて、[Bluetoothをオンにする]をタップして接続や位置情報の使用許諾を行うと、Tileに備わっているボタンを押すように指示されます。ボタンを押してTileからメロディが流れたことを確認し、[次へ]をタップ。
検索画面が表示され、数秒経過すると接続が完了しました。ページが遷移したら[次へ]をタップ。
たとえば「カギ」など、Tileを装着するモノなどを選びましょう。その後Tileのボタンをダブルクリックして、iPhoneから音を鳴らす操作の練習が続きます。
有料プランがレコメンドされるので、今回は[スキップする]をタップ。さらに「Life360」アプリとの連係がレコメンドされるので、今回は[今すぐリンクする]をタップしました。Tileアプリでのデバイスセットアップが完了すると、続けて「Life360」アプリとの連係がレコメンドされます。冒頭でも触れた「SOS機能」を利用するには、こちらのアプリとの連係が必要です。

「Life360」アプリのセットアップ

Life360」は、世界で6800万人以上の会員を持つ「家族の見守りサービス」です。これがTileと連係してアクセスポイントになったことで、「物の場所を示す」という製品の特徴が強化されています。ちょうど、Appleユーザは世界中にいるからこそ、AirTagの場所を正確に見つけることができる、というのと同じことです。

また、Tile(2024)に搭載された「SOS機能」を使用するには、「Life360」との連係が必須となります。

Life360

【開発】
Life360
【価格】
無料(アプリ内課金あり)
App Storeから「Life360」アプリを入手し、[さぁ、始めましょう]をタップします。
電話番号とメールアドレス、氏名を入力します。ここでは[新しいサークルを作成する]をタップし、自分が使うためのグループを設定。家族や友人などが先にグループを作っていた場合には、コードを入力することで参加できます。
新規作成した場合、招待コードが表示されます。家族などを招待したい場合には[コードをシェア]をタップ。必要がない場合には[シェアしている]をタップ。続いて、サークルにおける役割を選択しましょう。
写真の登録や権限の許可、自宅の登録といった作業が続くので、画面指示に従って操作します。それが終わると有料プランがレコメンドされるので、今回は[後で行う]を選択。
トラッキングの許可の有無を選択したら、[Tileアカウントをリンク]をタップ。Emailアドレスとパスワードを入力して[次へ]を選択しましょう。
Tileアカウントがリンクされたら[→]を数度タップ。「押下アクション」の選択肢が表示されるので、今回は[無音SOSアラート発信]を選択して[保存]をタップしました。
Tileのボタンをトリプルクリックすると、15秒後にSOSを発信する旨が表示され、カウントダウンが開始されます。時間が経過すると、グループと緊急連絡先にSOSが発信されました。

AirTagほか、スマートタグと比較。Tileの強みはどこにある?

昨今は、Apple純正の「探す」アプリのネットワークに対応したスマートタグが増えており、筆者もこれまで複数ブランドの製品を使ってきました。ただ「探す」に対応するとはいえ、AirTagでは利用できるAppleの超広帯域テクノロジー(UWB)を用いた捜索はできません。しかし、「探す」への対応によってセットアップも位置情報の確認も簡単で、複数のアプリを使い分ける必要がないところは良いところです。

一方、Tileシリーズはセットアップ手順がやや煩雑であり、捜索にも2つの専用アプリを駆使しないといけない点は、正直なところデメリットといえるでしょう。ただし、Tileを操作してiPhoneから音を鳴らせたり、SOS機能が使えたり、といった部分は明確な強みでもあります。

たとえばApple Watchを持っていない場合、家の中でiPhoneがどこにあるかわからない!などというときに役立つでしょうし、SOS機能を活かし、家族の見守り用途で購入するのもアリです。

TileからiPhoneを鳴らすだけではなく、「Tile」アプリの[見つける]をタップすると、Tileのスピーカからサウンドを鳴らすこともできます。右はサウンドを再生中の画面。

また、先述のとおりデザインのバリエーションが豊富で、さまざまな用途で使えるのもポイントです。セットアップの煩雑さは、言ってしまえば使い始めるときだけのデメリット。スマートタグを“何につけたいか”から考えることで、自ずと購入するアイテムは決まってくるかもしれません。

なお、置き忘れた際にアラートを鳴らす機能、過去30日間の位置情報の追跡、破損時の保証、共有する人数を無制限にする——といった機能は有料(月額360円)なので、そのあたりのコストパフォーマンスをどう評価するかは人によって変わってくる部分でしょう。

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著者プロフィール

井上晃

井上晃

スマートフォン・タブレット・スマートウォッチなど、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌で、速報やレビュー、コラムなどを執筆している。新製品やサービスのレビュー、比較検証記事の執筆本数は年間100本以上。

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