ボイスレコーダを使う場面。会議、取材、打ち合わせ…パッと出てくるのはビジネスシーンで、本当に必要としている職業は限られている気がする。しかし、「PLAUD NotePin」はその常識を変えそうだ。
「PLAUD NotePin」は、ウェアラブルなデザインを採用し、超高性能なマイクと最大20時間の録音が可能なロングライフなバッテリ(スタンバイ状態なら40日間も持続する)を搭載。そして、専用アプリでは極めて賢いAIによる文字起こしと要約が行える。
つまり、ユーザは1日のほぼすべてを記録することができ、それを要約したテキストをもとに、いつでも振り返えることができるのだ。コンシェルジュどころか、“記憶”担当のもう1人の自分がいるような気分になる。
本記事では、「PLAUD NotePin」のレビューをとおして、その魅力と使い方を解説していく。
PLAUD NotePin
これぞ“ウェアラブルAIメモリーカプセル”! 新コンセプトのボイスレコーダ「PLAUD NotePin」
PLAUD NotePinは、一見しただけではボイスレコーダとはわからない。小さなカプセル型の形状をしており、ボタン類はなく、マイクの位置すら不明だ。寸法は51(H)×21(W)×11(D)mm。成人男性の小指よりも短く、人差し指より細いといったところだろうか。そして、重量は25gと非常に軽い。基本的にウェアラブルで使用するアイテムなので、落下に気づけないのでは、と不安になるほどだ。
もちろん、そのままデスクに置くなどして使うこともできるが、メーカーが“ウェアラブルAIメモリーカプセル”と謳うだけあり、“ウェアラブル”するためのアタッチメントが充実している。
「ピン」:衣服の裏から磁力で固定する
まずはピン。マグネットのチップのようなシンプルなパーツで、本体とチップで衣服を挟み込むようにすれば固定できる。PLAUD NotePinは本体を長押しすると録音がスタートするのだが、その操作によってズレたり、落ちたりするようなことはなかった。磁力はかなり強力だと思う。
「クリップ」:胸ポケットやスーツの襟に挟んで固定する
クリップを使って、服の胸ポケットなどに固定するのもいいだろう。「ピン」と利用シーンが似ているようにも思えるが、いざ使うときに衣服の裏にマグネットを仕込むのが難しいこともあるはず。常に装着していないのであれば、もっともすばやくウェアラブルできるアタッチメントだ。
「ネックストラップ」:首から下げてネックレスのように
PLAUD NotePinは、カラー、デザインともに洗練された高級感がある。特に、光沢のある「グレー」は美しい。ネックストラップを使って、アクセサリのように使うのもおすすめだ。軽量ゆえに、首にかけても負担はほぼない。ちなみに、カラーバリエーションはグレー、パープル、シルバーの3ラインナップだ。
「リストバンド」:まるでスマートウォッチ。自然な動作で録音できる
最後はリストバンドだ。フレームにPLAUD NotePinをはめ込めば、腕時計のように手首に装着できる。前述のように、PLAUD NotePinは本体を長押しして録音を開始するため、手首が安定した土台となって操作しやすい。手首のデバイスを指で操作する感覚も、多くの人にとって、腕時計でなじみ深いものだろう。
超高精度に文字起こし&要約! 専用アプリ「PLAUD」はPLAUD Noteと共通です
PLAUDで録音したデータは、専用アプリ「PLAUD」で文字起こしや要約が行える。同ブランドのAIボイスレコーダ「PLAUD NOTE」とアプリは共通。余談だが、PLAUD NOTEは極薄のカード型で、iPhoneにMagSafeで吸着する、これまた優れたアイテムだ。ぜひ注目いただきたい。
一度PLAUD NotePinと「PLAUD」アプリを接続すれば、以降はアプリを開いた状態でPLAUD NotePinを近くに置けば録音データが同期される。
ちなみに、PLAUD NotePin本体にも64GBのストレージが内蔵されている。基本的に保存されるのは音声ファイルのみなので、かなり安心感ある容量だ。
文字起こしも要約も、ワンタップで実行! その精度には驚くばかり
続いて、文字起こしの手順と精度をみていこう。前章の手順で音声ファイルを取り込んだあと、そのファイルをタップして開く。すると、音声の波形や再生ボタンなどが並ぶ画面に遷移する。そのファイルを文字起こし、そして要約したい場合は、画面下部の[生成]をタップしよう。
なお要約に使用するAIモデルは、「GPT-4o」と「Claude 3.5 Sonnet」から選択できる。いずれを使用する場合でも、音声をテキスト変換するのはOpenAIの「Whisper」だ。なんと、59カ国の言語に対応する。
これまでいくつものサービスを使ってきたが、そのどれと比較しても文字起こしは最高レベルだった。AIの校正能力が優れているのはもちろんあるだろうが、マイク性能の高さもうかがえる。PLAUD NotePinは、本体に2つのマイクを備え、ビームフォーミング・アルゴリズムとAI音声拡張技術によって、クリアな録音を実現しているという。
有料のプロプランなら、月に1200分の要約に対応。超強力なアシスタント「Ask AI」も頼れます
ここまで解説してきたのは、すべてPLAUD NotePinを購入すれば無料で利用できる機能だ。それだけで十分以上だと個人的には感じているが、1つだけ懸念がある。それは、「無料で文字起こし&要約できるのは300分まで」ということ。
一方プロプランにアップグレードすると、「月に1200分まで」に拡張される。また、要約用のテンプレートが21種類以上追加され、カスタマイズも可能となる。そして目玉となるのが、強力な検索機能であるAsk AIだ。
Ask AIは、簡単にいうと対話型の検索機能。録音データの聞き直しや、“聞きたいところ”を探し出すのは非常に骨が折れる。しかし、テキストで依頼するだけで該当の内容を教えてくれる。たとえば「この打ち合わせの結論は?」「営業部が言っていた売り上げっていくらだっけ?」などと聞くと、AIが録音データから答えを提示してくれる。
PLAUD NotePinのインパクト。ビジネスシーンでも日常でも、マストハブになるかも…?
PLAUD NotePinの精度は、正直なところ驚くばかりだ。純粋にボイスレコーダ、文字起こしサービスとして質が高い。言った言わないを防止できるので、関係者間の許可さえ取れれば、医療や教育現場でも有用だろう。不動産屋保険など、個人を対象にした営業マンにとっては必携アイテムになるかもしれない。
また、そういったビジネスシーンだけでなく、日常生活でもインパクトのある製品だと思う。「録音」という行為を「記録」、いや「記憶」に変えるかもしれない。
そのポイントは、ウェアラブルだ。常に身につけておき、思い立ったらすぐ録音。そうすることで、いつでもそのときを振り返れる。あるいは、常時録音しておくのもいい(パブリックな場所ではプライバシーを考慮する必要はあるが)。自宅に帰って録音をストップし、要約して読み返せば、1日のログがいとも簡単に残せてしまう。それこそまさに「ライフログ」だ。
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_