今回紹介したいのは、旅で愛用しているTシャツたち。すべて世界トップのアウトドアブランド製で、超軽量かつ高機能を誇る。旅ではもちろん、ぼくのライフワーク、冒険でも大活躍だ。それらの機能性を語っていきたい。
まずは「速乾性」について。
自然の過酷な環境では、遭難リスクが必ず伴う。そんなとき、明暗を分けるのは「乾きの速さ」だ。
夏でも、標高が高いと夜は気温がかなり下がる。道に迷ったり怪我などで予期せぬ野宿を山で強いられる際、衣類が濡れたまま夜になると体温が奪われ、低体温症になってしまう。もしくは船が事故に遭い、救命ボートに乗り込んで救助されるまでの間、海水で濡れたままでいると速く体力が奪われる。漂流期間が長期になれば、乾かない服を着ている者から命を落としていくのは有名な話。
こんな特殊な状況に限らず、身一つで野外行動していると、大量の汗をかいたり、水際を進んだり、雨に打たれたりする。
「速乾性が高い衣類を着るべし」というのは、山や海でアウトドア活動をする人間にとっては、教科書の最初に書いているレベルの、超初歩的な常識なのだ。
ちなみに、乾きが一番遅い素材は、綿(コットン)だ。逆に、最速で乾いてくれるのが化繊素材。化繊にも種類がある。織り方を含め、アウトドアメーカーが日夜、より良い素材の開発に励んでおり、年々アップデートが重ねられている。
次に重要視する機能は「吸汗性」。
つまり、汗や水を吸い取ってくれる性能である。綿は、前述のとおり乾きが悪いのが欠点だが、一方で吸汗性はとても高い。どんなに乾きが速くても、汗を吸ってくれないと着ていて不快極まりないので、この案配が難しかったりする。
そして「防臭加工」について。
たとえば、ぼくが昨年行った2週間に渡る北アルプス完全縦断登山では、一度も街に降りず、登山道を歩き続けたため、もちろんシャワーもお風呂もナシ。そういった用途が想定されるため、アウトドアや登山用の肌着には、高性能の防臭加工がされていることが多い。
これらの機能は、大自然への冒険時に限らず、旅や移動生活においても、大活躍することは説明不要だろう。ぼくが選んでいるTシャツたちは当然、これら3機能を兼ね備えている。
最後は、ぼくにとってもっとも重要な「軽量性」について。
男性の平均サイズで、半袖Tシャツは150〜200グラム、長袖は200〜250グラムとされるが、ぼくが厳選してきた最新の相棒たちは、平均の3分の1から半分ほどの軽さだ。
写真のTシャツを右から説明しよう。まず、ホグロフス社「SPRY TEE」はわずか65グラムと、ぼくが知る限り半袖としては最軽量だ。同社「THORN SS TEE」は100グラム。同社「THORN LS TEE」と、パタゴニア社「キャプリーン・シルクウェイト」(廃盤)は、ともには120グラムと、長袖Tシャツとしては驚異的な軽さを誇る。
旅の衣類で、もっとも枚数が多くなるTシャツこそ、ぜひ軽いものを。

※この記事は『Mac Fan 2017年9月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール

四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。