愛犬の気持ちを知る
愛犬が今どんな気持ちでいるのか、その心を読み解くウェアラブルデバイスが「イヌパシー」だ。犬の胸に触れる部分に心拍センサが内蔵されており、独自技術による心拍変動解析によって、脈拍の軽微な変化から自律神経の活性状態を分析。「リラックス」「ドキドキ」「ハッピー」「好奇心」「ストレス」の5つの感情に落とし込み、首元のLEDライトがそれぞれの対応する色でリアルタイムに表現する。
たとえば、飼い主が近くにいると「ハッピー」や「リラックス」の状態になるが、「待て」と声をかけると、LEDライトが集中状態の白色に変化する。子どもが近くにいるときはどうか、散歩中の気分はどうかなど、これまで人間側がわからなかった感情が、イヌパシーによって視覚化されるのだ。
犬は感情表現が豊かで、行動や表情からある程度の感情は推測できるという調査報告もある。しかし、心拍の変化であれば常にデータが取れるうえ、より正確な精神状態が現れやすい。イヌパシーによって、まるで愛犬と会話をしているような、新しいコミュニケーションの形が実現した。
使い方は、端末の電源ボタンをオンにし、ハーネスを犬に着せるだけ。端末の重さは100グラムと軽量で、愛犬がストレスを感じにくい設計となっている。従来の犬向けウェアラブルデバイスは声紋分析型が主流で、心拍計測型であっても毛を剃ったり、ジェルを塗ったりする必要があった。その点、イヌパシーは心拍計測型だが、そのまま装着できる優位性がある。
端末にはブルートゥースが内蔵されており、アプリとの連係も可能だ。アプリ上では、感情データや心拍データの記録が確認できるので、単なるコミュニケーションツールだけではなく、健康管理にも役立つ。読み取ったデータはすべてクラウドに蓄積されていくため、デバイスが本格普及すれば、ビッグデータとして活用され、より精度の高い解析にもつながるはずだ。
散歩は楽しい? 生活は幸せ? 愛犬との新たなコミュニケーションの形が誕生
LEDライトで表現される感情のバリエーションは5つあり、感情に応じてリアルタイムにライトが変化する。興奮状態は赤、幸せを感じるときはレインボー、興味を持ち集中しているときは白、リラックスは緑、ストレスは紫で表現される。心拍センサの解析技術が進めば、将来的にはより細かい感情の分類が期待できる。
ホームIoTとの連係に期待
イヌパシーの開発が始まったのは、2011年のこと。株式会社ラングレス代表取締役CTOの山口譲二氏は大の犬好きで、愛犬であるウェルシュ・コーギーの気持ちが知りたくて開発を始めた。2016年には最初のクラウドファンディングを実施。これまでに300頭近くが体験し、改良を重ねて今回の2018年モデルが発表された。メルマガ会員限定で行った先行予約は、開始3分で上限販売個数に達し、7月に始まった先行予約販売では、早割111台分も予約開始日に完売。現在は、通常価格3万3000円(税別)にて2018年12月上旬発送予定の先行予約を受け付けている。
将来的にはモニタリング機能や、自宅のスマートデバイスとの連係機能も追加される予定だという。ホームIoTの活用が進めば、愛犬の体調に合わせてエアコンの温度を自動で変更したり、感情がネガティブに変化した際に、見守りカメラが飼い主のスマホへ通知を飛ばしたりといった未来が実現するかもしれない。ペットの長寿命化、家族化が進む現代、イヌパシーが注目されるのは必然なのかもしれない。
ハーネスのサイズはS/M/L/LLの4種類。代表的な犬種でいえば、ボストンテリアはSサイズ、柴犬はMサイズ、ラブラドール・レトリバーはLサイズ、ドーベルマンはLLサイズに対応する。散歩用のハーネスとしては使えないのが、首輪やハーネス型のリードとの併用は可能だ。