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iPad導入を成功へと導く用途と運用の両輪

著者: 福田弘徳

iPad導入を成功へと導く用途と運用の両輪

iOSを企業の現場に浸透させていく中で、大きな障壁になることがある。それが、「用途検討」と「運用体制」の2つだ。iOSを業務のどのシーンで使うのか、そのiOSはどのようにサポートされるのか、用途と運用が両輪で回る状態が、継続的なiOSの利活用につながる。

ここで言う用途検討とは、iOSをどのような業務課題の解決策として利用していくかということである。iOSを導入する目的が定まっておらず、世の中の流れに同調するかのようにiOSを導入することが目的化されている現場もまだまだ多い。成功事例を紐解けば、業務課題を理解している現場がiOSの用途を検討し、業務改善を進めている。

ここでポイントになるのがアプリの目利きだ。アップストア(App Store)に豊富にあるアプリや、ファイル共有やチャットなどのクラウドサービスなど、自分たちの業務にフィットするものがどれなのかを見極めることが重要である。

ただし、iOSの利活用を推進する現場にアプリの目利きができる人が溢れているわけではないだろう。そこで、まずはアプリを試して、用途検討を進めるための基盤が必要になる。外部のベンダーやアプリ開発会社の知見も大事だが、まず初めに自分たちの業務と照らし合わせて、どんな機能が必要なのか、何を優先するのかを決めるためのチームや体制を作ることだ。また、アップストアプリもアプリ開発会社が定期的にアップデートを行っている。利用しているアプリの機能追加や統合、削除といった変化を確認し、継続利用が可能なのか、代替アプリを探す必要があるのかも定期的にチェックしたいところだ。

業務に特化したアプリ開発を進めるうえでも、業務課題を理解した社員を募り、社内に開発チームを起ち上げるようなケースもある。この場合にも、開発したあとにサポートを継続していくかも課題になる。属人的になってしまう開発業務に対して、人事異動など組織内の人の流動性への対応が必要だ。

運用体制の課題は、iOS導入を推進する事業部門と、組織内のセキュリティやシステム管理を担当する情報システム部門との壁によって生まれる。これだけiOSが企業に採用されていても、情報システム部門ではiOSの運用やサポート経験やノウハウがないという理由で、導入後のiOSの運用も事業部門に委ねるケースも多い。こうなると、iOSの利活用を推進したい現場に対して、運用という新たな業務負荷が発生してしまう。本来情報システム部門が積極的にサポートしていくべき運用業務ではあるが、情報システム部門が対応すべきことや事業部門との役割分担、アウトソースする業務を明確にして、iOSを業務の中で使っていくうえでの体制をしっかり整えなければならない。

また、運用体制を検討するうえで大事なポイントは、誰が、何をやるのかを明確にして、業務の手順を可視化することである。たとえば、iOSのアップデートが生じた際に、いつ、誰がアップデート作業を実施するのか、追加でアプリをインストールしたい場合に、アプリの購入や配信はどのタイミングで行うのか、といったことである。運用業務の手順を一つ一つ明確にすることが、日々の業務の中でiOSの利活用を支えることになるのだ。

iOSの用途を拡大して、業務変革を実現するうえでも、運用体制を確立することは欠かせないものだが、用途検討のプロセスやその中での目利きも大事である。攻めと守りの両輪が回ることが、iOSの業務への定着化の地盤固めになるのだ。

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Hironori Fukuda

企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。【URL】www.too.com/apple