見せる人/戸田久実
2008年10月アドット・コミュニケーション株式会社設立。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の仕事を歴任。対象は新入社員から管理職まで幅広く、相互信頼をベースにした「伝わるコミュニケーション」をテーマに多岐にわたる研修や講演を実施。著者に『アドラー流 たった1分でわかる伝わる言い方』(かんき出版)など多数。【URL】https://www.anger management.co.jp
戸田久実さんのiPhoneメイン画面にあるアプリ iSmartViewPro/感情日記/ChatWork/ANA/JAL/全国タクシー
怒りをコントロールすべし!
今回のゲストは、日本アンガーマネジメント協会の理事として活躍されている戸田久実さん。さて、“アンガーマネジメント”とは一体何なのでしょうか? 早速、戸田さんに聞いてみました。
「アンガーマネジメントは米国で体系化された理論で、怒りと上手に付き合うことが目的です。“怒り”という感情自体は悪いものではないのですが、感情に任せて怒りをコントロールできないことが問題なのです。最近だと、あの『アングリーバード』たちも、映画の中でアンガーマネジメントを学んだんですよ」
2016年秋に日本アンガーマネジメント協会は映画「アングリーバード」とコラボしたそうです。あの世界的に有名な怒っている鳥までこの理論を学んでいるとは…。続けて、戸田さんはこう教えてくれました。
「怒りには何かを伝えたい想いがあるはずで、受け手側はその怒りの裏にある不安や心配といった感情に気づいてあげることが大切です。表面的には怒りが表れますが、その下に潜む感情が大事なのです」
なるほど、確かに映画やドラマを見ていても、俳優さんや女優さんが怒るシーンが映し出されるまでには、その怒りに至る“感情のストーリー”がありますよね。映像だと両者の想いがしっかり描かれますが、私たちの日常では急に相手が怒り出したと思いがちです。でも、実際はそうではないということですね。
「人はそれぞれ異なった価値観を持っています。家に上がるときは靴を揃えるべき、人と会ったら大きな声で挨拶するべき、といった小さなことがたくさんあるのです。その“べき”を設定している基準を超えると、人は怒り出します。でも、自分の基準を知っていると冷静になれるのです」
戸田さんの話を聞いてから、自分の“べき”がどこにあるんだろうと自己観察してみました。私の場合、「スピードは速くあるべき」とか「名前を間違えないようにするべき」といった私なりの基準があることに気がつきました。その基準をどこまで超えると怒るのかを知っていると、感情に振り回されなくなります。さらに、他人の基準がどこにあるのかを考えるきっかけも与えてくれますね。
出張中もペットを確認
さて、戸田さんのiPhoneを見せてもらうと、バッチリ仕事モード。戸田さんは企業や団体にアンガーマネジメントの講演やセミナーをするため全国を飛び回っているので、移動系のアプリが多いのが特徴的です。その中でも珍しいアプリは、自宅にあるネットワークカメラを制御するアプリですね。なるほど、戸田さんの場合は飼っているペットを家族で外出先から見るわけですか。戸田さんがiPhone経由でオカメインコに「ピー太郎」と声をかけると、「ピョッ」ってかわいい返事が聞こえました。外出先でもペットの様子がみれるのは安心ですね。
さらに、日本アンガーマネジメント協会でもアプリをリリースしているのだとか。その名も「感情日記」。自分の感情を日記として記録できるアプリです。使い方も簡単で、嬉しい、驚き、怒りなどのアイコンを選び、テキストを入力するだけ。それがログに残るという仕組みです。紙のノートではなく、iPhoneだったら常に持ち歩いてますし、イラッときたときにもすぐに記録できます。
このアプリは投稿に位置情報が付くのもユニークです。地図投稿という機能を使えば、日記を書いている場所の情報も付与されて、地図上で感情のプロットが表示されます。電車の線路上に怒りのアイコンが並んでますね(笑)。
日記は投稿の際に、公開/非公開を選択できますし、他人が書いた日記はアプリ上で検索できます。「息子」とか「夫」のような単語で検索すると、他人のリアルな感情が垣間見れてドキッとしますが、誰の投稿なのかはわからないように個人情報とは分離されています。他人はこう思うんだ、他人も自分と同じように感じるんだ、ということが冷静に分析できるようになれば、無闇に怒りを溜めたり、八つ当たりせずに済みそうですね。
全国各地を飛び回る戸田さんは、自宅にいるオカメインコのピーちゃんの様子をいつでもチェックできるように、ネットワークカメラとアプリを連係させて使っているそうです。
自分の感情をその場で記録できるアプリ「感情日記」。感情を記録に残すことで、自分の気持ちを整理できます。
見る人/美崎栄一郎
『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『「結果を出す人」は、エクセルをどう乗りこなしているのか?』(学研パブリッシング)が発売されました。【URL】http://www.facebook.com/a16misaki