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新MacBook Proの最良の相棒LGの4Kディスプレイ

著者: 松山茂

新MacBook Proの最良の相棒LGの4Kディスプレイ

新MacBookプロに搭載された「USB-C(サンダーボルト3)」ポートはこれ1つであらゆるデバイスを接続できる画期的なインターフェイスだ。それに対応した、いわばMac専用モデルともいえるディスプレイ「LG UltraFine 4K Display」がリリースされた。その魅力に迫っていこう。

LG UltraFine 4K Display

【発売】LGエレクトロニクス

【価格】5万2300 円(税別)

【URL】http://www.apple.com/jp/shop/product/HKMY2J/A/lg-ultrafine-4k-display

最新ディスプレイを試す

2016年10月にリリースされた新MacBookプロ。「タッチバー(Touch bar)」という新たな操作系に注目が集まるが、インターフェイスに「USB-C(サンダーボルト3)ポート」のみを搭載している点も見逃せない。このまったく新しいポートはUSBポートとサンダーボルトポートの両方を兼ねており、形状も従来のUSB(Type A)とは異なる。それゆえに対応する周辺機器はまだ少ないのが現状だが(変換アダプタを利用すれは旧来のUSB/サンダーボルト製品は利用可)、いち早くLGエレクトロニクスから対応ディスプレイが2種類発表された。21.5インチの「LG UltraFine 4K Display」と、27インチの「LG UltraFine 5K Display」だ。それぞれアップルストアのみの取り扱いとなっており、Macとの親和性を一番に考えられた、いわばアップルお墨付きのディスプレイである。今回、21.5インチを入手したので、その使用感をレポートしていきたい。

まず、驚かされたのは本体のデザインだ。直線を取り入れたシャープなシルエットのボディには、正面ベゼルにロゴがある以外には余計な装飾が一切がなく、ボタン類も電源スイッチも見当たらない。シンプルなMacにマッチするようデザインされていることがわかる。

背面も同様にシンプルで、電源コードの接続口と4つのUSB-Cポートがあるのみ。取り付けられたディスプレイスタンドでは高さの調節と角度の変更を行うことができ、前に5度、後ろに25度傾けられるが、ピポッド(回転)には対応していない。縦置きにしたい場合には別途VESA規格対応のデスクマウントやアームなどを用意して、ディスプレイスタンドの代わりに取り付ける必要がある。その際、付属のVESAマウンタを取り付ける作業が必要だが、背面左側にあるスイッチを引くだけで付け外しができるため、作業はとても簡単だ。

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背面ポートはUSB2.0

ディスプレイは、付属のUSB-CケーブルでMacBookプロと接続すると、自動的に電源が入ってディスプレイが点灯し、同時にMacへの電源供給が始まる仕様だ。また、ディスプレイの輝度や音量を調整するときはMac側から操作を行う。電源と映像の信号を1本のUSB-Cケーブルで同時に転送できること、macOSと連動した設計であることが、このディスプレイの最大の魅力といえる。ちなみに供給電力は60W、MacBookプロ(13インチ)の電源アダプタと同等の充電能力を備えている。

さらに、背面のUSB-CポートをUSBハブとして利用できる点もポイントだ。試しにUSB-C搭載のストレージデバイスをつなげてみたが、どれも問題なくデータを読み書きできたただし、背面のUSB-CポートはUSB2.0に準拠しており、データの転送速度は最大480Mbps。一方、MacBookプロのUSB-CポートはUSB3.1(Gen 2)準拠で、その最大転送速度は10Gbpsと高速だ。そのため、SSDなどの通信速度を落としたくないデバイスはMacBookプロに直接接続することをおすすめする。

文句なしの高画質!

ディスプレイ自体の品質はIPS方式の4Kディスプレイだけあって描画性能は非常に高く、また色空間(描画できる色のバリエーション)もMacBookプロと同じく「P3カラー」に対応しているため、発色が素晴らしい。4096×2304ピクセルの解像度はレティナディスプレイ同様の緻密さだ。ユーチューブの4K動画を再生するとそのポテンシャルがよくわかる。一般の用途にはもちろん、写真編集などの「色」を取り扱うような専門用途にもおすすめしたい製品だ。

なお、今回検証したのは4Kモデルだが、27インチモデル(2016年12月発売)では、背面のUSB-CポートがUSB3.1(Gen 1)に準拠するほか、フェイスタイムに対応した内蔵カメラも搭載されるという。さらに大きなディスプレイを求めるユーザは、こちらも合わせて検討すると良いだろう。

4Kモデルと5Kモデルの違い

「LG UltraFine」シリーズは、Macとの親和性の高さとそのスペックを見ても、過去にアップルが販売していたサンダーボルトディスプレイシリーズの後継機種のような製品だ。4Kと5Kの2つのモデルがあり、サイズだけでなく、ポートの仕様や搭載カメラの有無など細かな違いがいくつかある。

ピボットは非対応

水平方向の位置を調整できるようにディスプレイが若干回転するが、90度は動かない。VESA規格に対応したマウンタも付属しているので、可動域を広げたい場合は別途スタンドなどを購入する必要がある。

背面もシンプル

背面のUSB-Cポートのうち、一番右のポートがホストと接続するポートだ。MacBookプロやMacBookに付属のUSB-Cケーブルは電源アダプタ用のケーブルなので、ディスプレイの接続には使えない。

MacBookプロへの電源供給

MacBookプロと接続した状態で「システム情報」を見てみると、60WのAC充電器を接続しているように認識される。

4K動画も遅延なし

4K動画をフルスクリーンで表示すると、このディスプレイのよさが一目でわかる。ディスプレイ本体は秒間60フレームの描画に対応している。試しにストリーミング動画の再生中にアップルのデベロッパー向けツール「Quartz debug」で測定したところ、60フレームでの描画が確認できた。

「LG Screen Manager」でウィンドウを自在に配置

LGエレクトロニクスのWEBサイトで公開されているソフト「LG Screen Manager」を使うと、開いているウインドウの配置を瞬時に変更できるので便利だ。