【実践1】いろいろな変換機能を活用しよう
一度確定した文字を再変換する
OS Xの日本語変換では、変換を確定する前であれば目的の表記になるまで[スペース]キーで何度でも変換を繰り返すことができます。では、変換を確定したあとに間違いに気づいた場合は、文字を消去して入力し直すほかないのでしょうか。実は、日本語入力は再変換が可能です。
また、再変換には旧字体や通用字体などの異体字変換を行う「関連文字に変換」と漢字の部品から推測される漢字を提案してくれる「部品の共通な漢字を検索」といった機能も用意されています。
再変換は、コピー&ペーストした文字にも対応しているので、読みがわからない漢字の読みを調べたいときにも役立つでしょう。頻繁に使う機能ではありませんが、覚えておくといざというときに味方になってくれる機能です。また再変換や関連文字への変換は、キーボードショートカットでも行えます。組み合わせは、再変換が[コントロール]キー+[シフト]キー+[R]キー、関連文字への変換が[コントロール]キー+[1]キーとなります。
再変換を実行する
変換し直したい文字列を選択した状態で、入力メニューの「再変換」を選択します。
語句が変換できる状態に戻り、候補選択ウインドウが開きます。[スペース]キーを押して候補を選択し、最後に[リターン]キーで確定します。
関連文字に変換する
入力済みの文字を新字体から旧字体、またはその逆など異体字に変換する場合は、変換したい文字を選択して、入力メニューの[関連文字に変換]をクリックします。
候補選択ウインドウには、選択した文字に関連する文字が変換候補として表示されます。目的の文字を選択して変換を確定します。
部品の共通な漢字を検索
再変換の中でもユニークな機能がこちら。偏やつくりなど文字を構成するパーツから、共通の部品を持つ文字を検索します。もちろん1字から検索できますが、2字使うことも可能です。
それぞれ1字ずつ入力した偏と旁のパーツを選択し、「部品の共通な漢字を検索」を実行すると、図の「鰯」ように1つの漢字が変換候補に現れます。読みがわからない漢字の検索にも使えそうです。
日本語?英字の変換
英字を入力したかったのに、うっかり「かな」モードのまま文字を入力してしまった、逆に、英字モードのまま日本語のつもりで入力していた、といった経験がない人はいないのではないでしょうか?
私は未だによくやりますが、そんなときに便利なショートカットが「かな」「英数」キーの2度押しです。JIS配列の日本語キーボード以外では、それぞれひらがな変換、英字変換のショートカットを長押しします。
英字から日本語へは、「かな」キーを2回押します。「かな」キーがないキーボードでは、[コントロール]キー+[シフト]キー+[J]キーを長めに押します。
日本語から英字へは、「英字」キーを2回押します。または[コントロール]キー+[シフト]キー+[;]キーを長押しします。
ユーザ辞書を使いこなす
標準の変換辞書に含まれない人名や専門用語などよく使う単語は、ユーザ辞書に登録することで、よりスピーディな文字入力が行えます。登録方法は、「読み(入力)」と「単語(変換)」を入力するだけの簡単仕様。
かな→漢字変換だけでなく、記号や英単語、定型文など、アイデア次第で、自分だけの特別な辞書に育てることができます。
また、ユーザ辞書はドラッグ&ドロップで書き出し/読み込みが行えるので、定期的にバックアップしておくと安心です。
ユーザ辞書に登録する
環境設定のウインドウが開いたら、[ユーザ辞書]タブを選択し、ウインドウ左下部の[+]をクリックして変換候補を登録します。
[入力]欄に実際にキーボードで入力する「読み」を入力し、[変換]欄に変換する単語や記号などを入力します。実際に「読み」を入力すると、変換候補に登録した単語が表示されます。
読みと漢字の組み合わせ以外にも、ユーザ辞書には自由に変換候補を登録できます。例として、ここでは電話番号を登録します。これにより、「でんわ」と入力すると電話番号が変換候補に現れます。
ユーザ辞書を書き出す
ユーザ辞書の登録ウインドウを開いた状態で[コマンド]キーと[A]キーを押します。リスト全体が選択されたら、選択中のリスト部分をデスクトップなどにドラッグします。
デスクトップに「ユーザ辞書.plist」というファイルが作成されます。ほかのMacでユーザ辞書を使いたい場合には、このファイルをユーザ辞書リストにドラッグして読み込みます。
追加辞書を読み込む
自分仕様の変換辞書が作れる「ユーザ辞書」は便利ですが、専門用語や顔文字などオンラインで配布されている既存の辞書をダウンロードして利用する方法もあります。ただし、OS Xのユーザ辞書は、ヨセミテ以前と以降で仕様が変更されています。古い辞書は読み込めないことがあるので、必ず対応状況を確認してからインストールしましょう。
入力メニューの[日本語環境設定を開く]をクリックし、[入力ソース]タブの[追加辞書]に追加辞書ファイルをドラッグ&ドロップします。
【実践2】Macでの日本語入力をもっと快適にするヒント
日本語環境をカスタマイズ
日常的な使い込みによる自動学習やユーザ辞書で、日本語入力の変換効率はアップします。さらなる使い勝手の向上を図るなら、環境設定の見直しが肝心。たとえば、普段使用する入力モードを絞り込むことでモードの切り替えを簡素化したり、候補選択ウインドウのフォントサイズを変更して見やすくしたりします。
入力モードを変更する
OS標準の「日本語」では、「ひらがな」「カタカナ」「英字」などの入力モードが設定されています。普段カタカナで入力することはないので、カタカナ入力を無効にしました。
補表示のフォントを変更
「入力ソース」タブの「候補表示」で、候補選択ウインドウのフォントやフォントサイズが変更できます。ここでは「ヒラギノ丸ゴ」にフォントを変更してみました。
フォントの種類とフォントサイズを若干大きめに変更しました。なお、候補選択ウインドウの表示を設定しても、辞書ウインドウには影響しません。
ウィンドウズ風のキー操作
ウィンドウズのキーボードに慣れている人は、Macのキー操作に戸惑うことが多いのではないでしょうか。そんなときに試したいのがファンクションキーの有効化や「Windows風のキー操作」の設定です。自分のくせや環境に合った設定で、快適な入力操作を目指しましょう。
ファンクションキーの設定
かな英字の変換時に、つい[F6]や[F10]などのファンクションキーに手が伸びてしまうという人は、[キーボード]タブで、ファンクションキーを有効にします。
ショートカットを使用
ウィンドウズの日本語入力では、Macとは異なるショートカットを採用しています。有効にするには[Windows風のキー操作]にチェックを入れます。
有効にすると、日本語の文章の途中に英字を入力する際、[シフト]キーを押すとスムースに入力できます。
変換中に誤字や脱字を見つけたら、まず[デリート]キーを押して変換前の状態に戻します。この状態でカーソルを移動させて間違えた部分を入力し直します。
困ったときに確認したいポイント
変換が遅い、意図しない文字が入力されるなど、毎日使う日本語入力だからこそ気づく不具合があります。設定の見直しで解決することもあれば、原因がよくわからないままアプリケーションの終了、再起動で回復するケースも。
長年Mac標準の日本語環境を使ってきた経験から、日本語入力の動作がおかしいと感じたときは、メモリ不足などシステム自体が不安定になっていることが少なくなく、もっとも簡単かつ安全な対処法としてMacの再起動を実践しています。ここでは、よくある事例をもとに、確認すべき設定項目を取り上げました。設定では解決しない場合は、Macの再起動も試してみましょう。
変換が遅い、変換できない
タイピングと文字の表示に時差がある、変換されないといった症状が見られる場合は、ライブ変換をオフにしてみましょう。
文字入力に時間がかかる
文字の入力に時間がかかる、日本語モードにしても日本語が入力されないときには、前述のライブ変換のオフまたは「変換学習」のリセットを実行します。
キーと違う文字が入力される
「/」キーを押すと「・」が入力される場合は、["/"キーで入力する文字]の設定を確認しましょう。OSのバージョンアップ後に変更されてしまうことがあるようです。
JIS配列以外のキーボードを使用している場合、英字モードでキーと違う文字や記号が表示されることがあります。「英字のレイアウト」でキーボードにあった言語を選びましょう。
スポットライトが表示される
エルキャピタンではスポットライトに[コマンド]キー+[スペース]キーが割り当てられていることがあります。入力モードの切り替えにこのコマンドを使いたい場合は、変更しましょう。
続けて[入力ソース]のショートカットも確認しましょう。[前の入力ソースを選択]のショートカットを[コマンド]キー+[スペース]キーに変更すればOKです。
知っていると便利な変換機能
日本語環境が刷新されたヨセミテ以降、Macの日本語入力にも気の利いた機能が追加されています。サードパーティの日本語入力プログラムなどではおなじみの「日付」や「郵便番号」変換機能です。日付変換では、「きょう」と入力すると、今日の日付がさまざまなバリエーションで提示されます。また、郵便番号変換では、7ケタの郵便番号を入力すると、その郵便番号に当たる住所が変換候補に上がります。
「きょう」や「きのう」「あさって」と入力すると、変換候補に日付が表示されます。日付を入力する機会がないという人でも、「今日何曜日だっけ」なんていうときに使えます。
郵便番号を入力すると、変換候補に住所が表示されます。ルールは、ハイフンを入れずに続けて7ケタの数字を入力することです。
【日本語入力モード】
OS X標準の日本語入力環境では、ひらがなやカタカナ、英字のほかに、「半角カタカナ」「全角英字」が利用できます。これらの入力モードを有効化/無効化するには、[システム環境設定]→[キーボード]→[入力ソース]で設定します。
【英字から変換】
ユーザ辞書の「入力」は、ひらがなでの登録が基本ですが、「英字入力中にスペルを自動変換」を有効にすることで、英字入力に対して変換候補を表示できます。ただしOS標準以外のソフトでは対応していないことがあります。
【ファンクションキー】
アップル純正キーボードでは、F1~F12のキーに音量や明るさなどを調整する特殊機能が割り当てられています。通常ファンクションキーとして使用する場合は、[fn]キーを押しながら操作する必要があります。
【変換学習】
OS Xの日本語入力は、日々の変換を記録することで変換効率や精度を高めています。とはいえ、記録量が膨大になると、データの破損や読み込みに時間がかかるといったケースも。おかしいなと思ったらリセットを試すといいでしょう。