【常識1】Macは新しいほど「速い」とは限らない!
コンピュータの「処理速度」はプロセッサの性能やメモリの量によって変わります。かつては新型のMacには新しいプロセッサが搭載されており、新しいMacほど処理が高速に行える傾向にありました。
しかし、近年のMacにはその法則が通用しなくなっています。プロセッサの性能が高くなり、一般的な用途であれば、ハイスペックなCPUを使わなくても充分高速に処理できるためです。アップルが採用しているインテル社のプロセッサも、かつては高速・高性能を追求していましたが、現在はエネルギー効率を重視し、省電力なプロセッサで消費エネルギーを抑える傾向にあります。
唯一、Macプロには「インテル・ジオンE5」というハイエンドなプロセッサが搭載されており、現行のMacプロは2013年にデビューしてからモデルチェンジしていませんが、現在もMacの最高性能をキープしています。
また、新しいほど「速い」わけではないのと同様に、値段が高いほど「速い」わけでもありません。たとえばMacBookのプロセッサにはMacBookエアよりも性能の低いインテル・コアMシリーズが採用されていますが、もっとも安いモデル同士を比べても、MacBookのほうが約5万円ほど高価に設定されています。
また、ノート型Macよりデスクトップ型Macのほうが「速い」というのも誤りです。iMacの最下位モデルには、MacBookエアと同じモデルのプロセッサが搭載されています。
このように、「新しいMac・高いMac=高性能」というわけではなく、用途や価格に応じた性能が選べるようになっているのです。
(1)コア数が違うと比較が難しいため、デュアルコアの13インチMacBookプロ、MacBookエア、MacBookのクロック周波数と価格を比較しました。プロセッサの性能とMacの価格がバラバラであることがわかります。
(2)iMacには1.6GHzモデルが用意されています。これはMacBookエアと同等のクロック周波数ですが、レティナ4Kディスプレイモデルより3割安く、入門機にはピッタリです。
(3)省エネルギー化のメリットとして、13インチMacBookでは12時間ものバッテリライフを実現しています。
【常識2】「サイドバー」の見た目はシステム環境設定で変更できる!
多くのソフトのウインドウには、左側にリストなどを表示する欄があります。メールなら「メールボックス」、ファインダなら「よく使う項目」などが表示されているこの部分は「サイドバー」と呼ばれ、最近ではiTunesのサイドバーが復活してプレイリストなどにアクセスしやすくなりました。
純正ソフトのサイドバーのアピアランスは、システムで一元管理されています。システム環境設定の[一般]パネルにある[サイドバーのアイコンサイズ]のプルダウンメニューで設定を変更すると、ほとんどのサイドバーの表示サイズが変わります。確認したところ、ファインダ、メール、iTunes、メモのサイドバーに変更が反映されました。ところが、標準ソフトの1つ、サファリのサイドバーは、設定を変更しても何も変化しませんでした。これはサイドバーとは呼ばないのかもしれません。
ちなみに、サードパーティ製のソフトウェアでは未確認の挙動のため、サイドバーのアピアランスを変更できるのは純正ソフトに限られます。
(1)システム環境設定の[一般]パネルで[サイドバーのアイコンサイズ]を切り替えると、このように多くの標準ソフトのサイドバーが連動して変化します。
(2)ところが、サファリのサイドバーだけは[一般]パネルで[サイドバーのアイコンサイズ]の影響を受けず、サファリ内にもカスタマイズする項目がありません。
【常識3】インターネットに接続するときは
暗号化の有無をきちんと確認しよう!
現代では、情報セキュリティの重要性がとても高くなっています。そこで、我々の個人情報やカード番号などを内包した通信は、インターネット上では「暗号化」されて扱われます。
多くのオンラインショッピングサイトでは、「TLS(トランスポート・レイヤー・セキュリティ)」という暗号化通信が使われています。私たちがWEBサイトで入力した情報は暗号化されたうえで、WEBサイトのサーバに届けられます。たとえば、この途中でカード番号などを不正に盗み取られても、WEBサイトのサーバにある「秘密鍵」がなければ解読は不可能です。このように通信内容を暗号化し、悪意あるアクセスから重要な情報を盗まれないようにしています。
もう1つ、身近な暗号化通信にはWi−Fiの暗号化があります。最近のWi−Fiルータにはあらかじめ暗号化キーが設定されており、13桁ほどのパスワードを入力して接続するようになっています。Wi−Fiネットワークは多くの場合公開されているため、Macの[Wi−Fi]メニューを開くと、家の近所のWi−Fiネットワークが見えることがあるはずです。Wi−Fiは簡単に捕捉できるので、きちんと暗号化して運用することが大事です。
(1)インターネットの通信は、複数の中継サーバを経て目的のサーバに辿り着きます。中継サーバを盗み見ることは技術的に可能なため、個人情報や金融情報は暗号化が必須です。TLSでは目的のサーバが公開している鍵を使ってファイルを暗号化する「公開鍵暗号」という仕組みによって、通信の解読を困難にしています。
(2)Wi-Fiネットワークのセキュリティは、アクセスしたユーザにパスワードを入力させ、さらに通信内容をリアルタイムで暗号化するという仕組みになっています。従来幅広く使われていた暗号化方式である「WEP」には大きな脆弱性が見つかったため、現在では「WPA2パーソナル」という方式が主流になっています。今一度、家のネットワークを確認してみましょう。
(3)OS Xには、起動ディスクをまるごと暗号化する「ファイルボルト」という機能もあります。暗号化した起動ディスクは、ログインパスワードを入力すればいつもどおり使えます。ディスクの複合化には24桁のパスワードが必要で、いずれのパスワードも忘れてしまった場合、データへのアクセスは不可能です。
(4)アイクラウドもしっかり暗号化されています。クレジットカード番号などを同期するアイクラウド・キーチェーンは、特に厳重に保護されています。【URL】https://support.apple.com/ja-jp/HT202303
【Mac Fanの新常識】バッテリの体力を確認する
MacBookシリーズに内蔵されているリチウムイオンポリマーバッテリは、充放電を繰り返すと性能が劣化していきます。使い方によってある程度劣化を防ぐことはできますが、ネット上にある「バッテリ長持ち術」には誤った記述も多いため、しっかりとバッテリの基礎を理解しておきましょう。
Macを購入し、初めて起動した日にはバッテリをいったん完全放電するとよい、という説がありますが、これは誤りです。リチウムイオンバッテリは、残量が0%のときと100%のときにもっとも不安定になるという特性があり、完全放電するとバッテリを傷める恐れがあります。
また、使用頻度の低いノート型Macを満充電で保管するのもよくありません。長期間MacBookを使わないときは残量を50%程度にしておくようアップルはすすめています。また、最近のMacは優秀なスリープ機能を備えているため、数週間ほど放置してもバッテリはそれほど放電しません。
なお、現在のバッテリの健康状態はシステムレポートでチェック可能です。もしもキャパシティ(容量)が半分になっていたら交換時期なので、アップルのサポートと相談しましょう。ちなみに、アップルデバイスのバッテリ交換を行う非正規の業者もありますが、アップル以外の業者が修理したデバイスはアップルの保証外になりますし、性能のよくないパーツが使われていることも多いため、おすすめできません。
アップルが公開している「バッテリーの駆動時間と耐用年数を最大限に延ばす」は一度よく読んでおくことをおすすめします。【URL】http://www.apple.com/jp/batteries/maximizing-performance/
内蔵バッテリの状態は、[オプション]キーを押しながらアップルメニューを開いて[システム情報]を選び、[電源]をクリックすると表示されます。[正常]と表示されていれば、特に問題はありません。
「coconutBattery」などのソフトを使えば、さらに詳しい情報が得られます。図では、481日使ったMacBookのバッテリが約10%劣化していることがわかります。バッテリの持ちが悪いと思ったら、チェックしてみてはいかがでしょうか?
coconut Battery
【開発】coconut-flavour.com
【価格】無料(ドネーションウェア)
【定番知識】
Macのパフォーマンスは、プロセッサのクロック周波数だけでは測れません。プロセッサコア数の違いやメモリ、ストレージの種類(ハードディスクとフラッシュストレージ)も影響します。また、GPUの性能も体感速度に大きな影響を与えています。
【定番知識】
リチウムイオン電池やニッケル水素電池、乾電池などは化学反応によって電気を起こすため、充電池の経年劣化を遅くすることはできますが、なくすことはできません。そのため充電池は「生もの」だと表現する人もいます。