[ クラウドストレージ ]
容量不足が悩み
クラウドストレージサービスのパイオニア的存在といえるドロップボックスは、他社製ソフトや他のWEBサービスとの連係を強化することで定番の地位を築き上げてきました。
しかしその一方で、ドロップボックスは多くの他社サービスに比べ容量が少ないのがネックです。無料ユーザで2GBというサイズは少々心もとなく、多くの人は常に最大容量の瀬戸際でやりくりしているのではないでしょうか。
かくいう筆者もその一人。ドロップボックスだけではとうに足りず、ほかのストレージサービスも併用していますが、どのサービスも常に容量不足状態です。容量超過の警告が出るたびにファイルを出し入れしてきましたが、そのやりくりに煩雑さを感じていました。
そんな状況を根本的に解消すべく、ついにアイクラウド・ドライブを有料プランにアップグレード。有料ストレージの選択肢はほかにもいろいろありますが、決め手は50GBで月額130円からという価格。クラウドストレージサービスは、各社さまざまな料金体系がありますが、これくらいの気軽な価格設定はほかになかなかありません。
クラウドの使い方が変わる
50GBという容量が手に入ると、ファイルの預け方もこれまでとは変わってきます。これまでは、同期が必要な最小限のファイルだけドロップボックスに出し入れしていたのですが、アイクラウド・ドライブを拡張してからは仕事のデータ全体をアイクラウド・ドライブに置き、完了した仕事は古いものから別の場所に退避するという使い方にしました。しかし、できれば仕事のデータには[書類]フォルダからも階層を辿ってアクセスできるようにしたい。少々わがままな願いですが、「Macドロップエニー」というソフトを使うことで解決できました。
このソフトではドラッグ&ドロップするだけで、指定したフォルダの「分身(シンボリックリンク)」を作成することができます。元のファイルをコピーするわけではなく、あくまでもフォルダの「分身」のためデータが二重化せず、内蔵ストレージを無駄に消費する不安もありません。このソフトを使うことで、[書類]フォルダとアイクラウド・ドライブの両方に仕事のフォルダができ、同じデータにどちらからでもアクセスできるようになりました。もちろん、クラウドには元のフォルダの内容が完全に同期されています(なお、アイクラウドの仕様上、オリジナルのフォルダはアイクラウド・ドライブ側となります)。
このソフトを使うことで、クラウドストレージ上のファイル管理は非常に楽になりました。アイクラウドの有料プランとMacドロップエニーの組み合わせにより、クラウドの容量制限に悩まされながら細々とやりくりする生活からは当分解放されそうです。
Macドロップエニーで分身を作成
【Macドロップエニー】Macドロップエニーのアイコンに同期したいフォルダをドラッグすると、起動してダイアログが表示されます。ドックに登録しておくのがおすすめです。
【Macドロップエニー】[Step 2]のプルダウンメニューから[iCloud Drive]を選び[Sync]をクリックするだけで、アイクラウド・ドライブ内に分身ができ同期が開始されます。
共同作業にはドロップボックスが有利
【ドロップボックス】ほかの人とのファイルの受け渡しには、ドロップボックスが便利です。メニューアイコンから[リンクを共有]をクリックするだけで共有のためのURLをコピーできます。
【ドロップボックス】ドロップボックスのWEBサービスでは、ほかの人と共同編集可能なフォルダを作ることもできます。アイクラウド・ドライブには共有機能がないため、使い分けていくのがおすすめです。
【これも知っときたい!】使えるのはアイクラウドだけじゃない
Macドロップエニーは、アイクラウド・ドライブだけでなく、ドロップボックスやグーグル・ドライブ、ワンドライブをはじめ、全11種のクラウドストレージに対応しています。利用するには、各クラウドストレージのクライアントソフトがすでにインストールされており、かつホームフォルダの直下に同期フォルダを置いておく必要があります。なお、アイクラウド・ドライブの場合と異なり、ほかのクラウドストレージを使った場合はクラウドストレージ側に分身フォルダが作成され、フォルダがもともとあった場所にオリジナルが残ります。
Macドロップエニーを使うには、各クラウドサービスの同期フォルダを[ホーム]フォルダの直下に置いておきましょう。
[ 動画プレーヤ ]
VLCでも十分?
クイックタイムプレーヤで開けない動画があるというときに、頼りになるのがサードパーティ製の動画再生ソフトです。中でも定番ソフトのVLCは、数多くの動画形式に対応している頼り甲斐のあるツール。DRMによる視聴制限がかかった動画でなければ、ほとんどの動画ファイルを再生できるといっていいでしょう。
実際、VLCがあれば日々の動画ライフで特に不満を感じることはないでしょう。しかし、さらにそれ以上の動画視聴環境として、ムービストというソフトをおすすめしたいと思います。ムービストは、Macアップストアで販売されている有料の動画再生ソフトです。有料ということで若干ハードルの高さを感じるかもしれませんが、VLCとほぼ同等の幅広い動画形式に対応しているのに加え、さらにいくつかの面でVLCよりも快適な動画視聴環境を提供してくれます。
一段上の再生環境に気づく
ムービストの魅力としてまず1つ目に挙げたいのは、CPUにかかる負荷が少ないことです。インターネットからダウンロードしたサイズの大きくない動画の場合であれば、VLCでもムービストでも、CPU負荷のことをほとんど気にする必要はありません。しかし、4K動画などサイズの大きな動画を再生したとき、VLCはかなりのCPU負荷がかかって、Macのファンの音が気になってしまうことがあります。一方、ムービストではどんな動画を再生しても、このような現象はまず起こりません。
また、VLCで動画を視聴していると、素早い動きのあるシーンなどで画面に横線が入ることがあります。これもムービストなら、横線が入ることなく、美しい動画を楽しめます。早送りしたときやタイムラインをドラッグしながらスクラブ再生したときの動作もスムースで、目的のシーンをストレスなく探し出すことができます。
そしてさらにうれしいのが、あらゆる操作にキーボードショートカットが割り当てられていることです。コマ送りや再生スピードの変更はもちろん、再生サイズの変更やズームまで、キーボードだけで操作できます。動画を視聴しているとき、わざわざコントローラを出したりメニューを表示させて画面の一部を隠すことなく、あらゆる操作ができるというのは非常に魅力的です。
そのほかにも、ムービストはデスクトップの背景として動画を再生するといったユニークな機能も備えています。もちろん、プレイリスト機能もあり、細切れの動画ファイルの連続再生もしっかりフォローしてくれます。
つまりムービストは、VLCで「これが普通」と思っていた状態から、もう一段上の心地よさを提供してくれるソフトというわけです。600円でその視聴環境が手に入るのは、かなりお買い得だといえます。
動きの速いシーンの見え方が違う
【ムービスト】(上)【VLC】(下)動きの速いシーンでは、VLCだと画面に横線が出てしまうことがあります。同じシーンでも、ムービストなら横線が出ず、画面の乱れに気をとられることなく視聴できます。