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iPhone 17、先行レビュー。ベンチマークはiPhone 16 Pro超え! カメラ、チップ、ディスプレイ…死角なしのアップグレードで、超おすすめのニュースタンダードに

著者: 村上タクタ

iPhone 17、先行レビュー。ベンチマークはiPhone 16 Pro超え! カメラ、チップ、ディスプレイ…死角なしのアップグレードで、超おすすめのニュースタンダードに

新たにリリースされたiPhoneの中で、スタンダードモデルに位置するiPhone 17は、派手なビジュアルのiPhone 17 Proシリーズや、薄さに注目が集まるiPhone Airに比べてちょっと地味。

しかし実は、チップ性能は高いし、ディスプレイもカメラもグレードアップしたし、非の打ち所のないスタンダードモデルだ。「Proや、Airはちょっと高いし…」という人にも安心しておすすめできる。

iPhone 17を甘くみていた筆者。使って一転、これはお値打ちモデルです!

iPhone 17は、大きくモデルチェンジしたiPhone 17 Proや、新登場のiPhone Airに比べてちょっと地味な存在。実は筆者も、Mac Fan編集部からご依頼をいただくまで、少し甘く見ていたことは否定できない。見た目もiPhone 16とほぼ同じだし、それほど注目すべきモデルだとは思っていなかった。

しかし、この原稿を書くために調べれば調べるほど「おっと、これはお買い得ではないか!?」と思い直さざるを得なくなってきた。スタンダードモデルの購入を検討しているみなさん、これはお値打ちですよ!

左がiPhone 17、右がiPhone 16。外観上の違いはSIMトレーの有無ぐらい。しかし、性能は大きくアップデートされている。




傑作・iPhone 16を超える出来。全方位にすばらしいアップデート!

そもそも、昨年(2024年)登場したiPhone 16がお買い得だった。一方2023年のiPhone 15は、一世代遅れのチップセットであるA16 Bionicを搭載し、やや不憫なモデルだったのも事実だ。

その点、iPhone 16は最新のA18を搭載し、ディスプレイもカメラも最新仕様。さらに、カメラコントロールボタン、アクションボタンも備え、決定的な弱点の少ないモデルだった。毎年、Proシリーズを買う筆者も「今年はiPhone 16でいいかな」と思ったほどだ(結局、記事を書くには最上位機種が必要なのでiPhone 16 Proを買ったが)。

AppleがスタンダードモデルであるiPhone 16の性能向上を図ったのは、商品戦略として「全モデルApple Intelligence対応」としたかったからだ。その後iPhone SE(第2世代)の販売は終了し、iPhone 16eが登場。結果、「全モデルApple Intelligence対応」は達成された。

今年のiPhone 17は、そのiPhone 16を全方位にアップデートしたようなモデルだ。よほどのことがない限り、このiPhone 17で性能は充分だと断言できる。

iPhone 16 Proより高速! iPhone 17のベンチマークに驚きの結果が

iPhone 17は、A19を採用している。そのチップセットのパフォーマンスを、Geekbench 6とGeekbench AIで計測したところ驚きの結果が出た。なんと、全項目で前年のフラッグシップであるiPhone 16 Proを上回ったのだ。

これでは筆者も含め、iPhone 16 Proを買った人はかたなしだ。2年、3年使う場合、翌年のスタンダードモデルを買ったほうが性能が高いということになってしまう。

iPhone 17と、昨年モデルのiPhone 16、16 ProのGeekbench 6とGeekbench AIでの計測値。すべての面で昨年のフラッグシップであるiPhone 16 Proを上回った。

これまでも、スタンダードモデルのベンチマークが、前年の最上位機種の数値を一部上回ることはあった。しかし、全項目で、しかも明確に、スタンダードモデルが上回ったのははじめてだと思う。

これなら、Apple IntelligenceがOSの機能全体に浸透していっても心配ない。




ディスプレイサイズが6.3インチに拡大。輝度やコントラストもプロ級に

また、iPhone 17はディスプレイのクオリティも高くなっている。

iPhone 16のディスプレイサイズは、iPhone 16eと同じ6.1インチだった。一方iPhone 17は、iPhone 17 Proと同じ6.3インチのSuper Retina XDRディスプレイが採用されている。しかも、最大輝度1000ニト、屋外でのピーク輝度3000ニト、コントラスト比も1:200万。つまり真の漆黒と、眩いくらい明るい白を表現できる。このコントラストは、写真の表現力を大きく高めるだろう。

6.1インチのiPhone 16(左)と、6.3インチのiPhone 17(右)。ディスプレイが拡大され、縁の部分が狭くなっている。

Proシリーズの“特権”だった「ProMotion」。iPhone 17でも利用可能に!

また、今回一番うれしいのは最大120HzのProMotionディスプレイが搭載されたことだ。発表会の会場で聞いたところによると、基本的にはiPhone 17 Proと同じ仕様らしい。

必要に応じて画面リフレッシュレートを変化させるProMotionディスプレイは、高速度撮影された動画やゲームをスムースに体験できるのはもちろん、ディスプレイ上のスクロールも“ヌルヌル”という表現が相応しいほど滑らかに動く。

リフレッシュレートを変えられるメリットは、“速さ”への対応だけではない。ディスプレイ表示が止まっているとき、もしくはすごく遅いときは更新を秒間1コマに下げ、バッテリの消耗を抑えてくれる。

また、iPhone 17のディスプレイは常時点灯に対応した。電源が入っている間は低輝度で点灯し続け、時計や写真を表示しておける。これまでProシリーズだけに採用されていた機能が、スタンダードモデルでも利用可能となった。

つまり、少なくともディスプレイ性能に関してはProシリーズと同等になったと言える。




見た目はそのまま、超広角カメラが4800万画素にアップグレード

多くの人が使うカメラについても触れておこう。

外観上はiPhone 16とまったく変わらないiPhone 17のデュアルフュージョンカメラ。

光学で2倍、1倍、0.5倍の3つの画角が使えるのは同じだが、従来は1200万画素だった超広角カメラが、メインと同じく4800万画素になった。つまり、設定すれば(標準設定ではすべて2400万画素で撮影されるようになっている)1倍と0.5倍は4800万画素、2倍は2400万画素で撮影可能ということだ。

左から0.5倍、1倍、2倍の画角。もちろん、デジタルズームを使えば10倍まで拡大できる。
人物以外でも、ポートレートモードを使って背景をボカすことができる。

“インカメラ”はProシリーズと同じ仕様に。自撮りが捗る自動フレーミング機能が便利

内側のFaceTimeカメラも、iPhone 17 ProやiPhone Airと同じ18MPセンターフレームフロントカメラになった。

18MPセンターフレームカメラは、自動でフレーミングしてくれるのが特徴。たとえばiPhone 17を縦に持って自撮りをしているとき、友だちが画角に入ってきたら画面を引いて拡大したり、横画面への切り替えたり、柔軟に動作する。

このカメラ、実は画素数の多い広角の正方形のセンサを内蔵しており、自撮りをするときに自動でフレーミングを調整してくれるのだ。

1人で映れば縦画角、ほかの人が画角に入ってきたら横画面に、画角によってはさらにワイドにしたりと、自動で調整される。友だちと一緒に自撮りするとき、細かい操作をしなくても自然と“いい感じ”の画角に調整してくれるのはありがたい。もちろん、手動で調整することもできる。

また動画撮影時に、撮っている側の映像も一緒に収録できる「デュアルキャプチャビデオ」も面白い。犬の散歩やスポーツ観戦時など、さまざまな活用シーンがありそうだ。




チップの更新やバッテリ性能の向上。iPhone 17、非の打ちどころがないぞ!

そのほか、目立たないが優れた機能も紹介しておこう。

地味なポイントだが、通信チップの更新も行われている。従来Wi-FiのチップはBroadcom製だったが、iPhone 17からはWi-Fi 7、Bluetooth 6、Thread(スマートホーム用の低電力で接続性の高い無線通信)に対応したApple製の独自チップ「N1」となった。

消費電力の低減に貢献し、AirDropやパーソナルホットスポットなど、Wi-FiやBluetoothを使った連係機能が向上するようだ。試してみると、たしかにAirDropの接続が安定している気がする(あくまで感覚)。

バッテリライフは、ビデオ再生で最大30時間に。iPhone 16は最大22時間だったので、かなりの飛躍と言える。今のところバッテリ容量は公開されていないが、SIMトレーの廃止によるバッテリ容量の増大や、N1チップの性能が貢献しているのだろう。

非の打ちどころのないiPhone 17だが、iPhone 17 Proと比較すると機能性で劣るのは事実。たとえば8倍望遠レンズやProResでの収録、LiDARセンサ、1TB以上のストレージ、USB 3での高速なデータ転送などがそれに当たる。これらを必要とするかどうかが、モデル選びの鍵になるだろう。

物理SIMの廃止には要注意。キャリアの対応状況は早めに確認を

iPhone 17で唯一気になるのは、物理SIMが廃止され、eSIMのみとなったことだ。バッテリ容量が増える恩恵はあるものの、従来SIMピンでSIMを抜いて機種を切り替えていた人にとっては、ちょっと戸惑いを感じる仕組みだろう。

iPhone 17はSIMトレーが存在せず、eSIMにのみ対応。この点だけは気をつけたい。写真でSIMを取り出しているのはiPhone 16。

しかし、慣れればeSIMのほうが乗り換えは簡単だ。一部MVNOでは、まだeSIMクイック転送に対応していないといった課題はあるが、iPhoneが全機種で物理SIMを廃止したことで、MVNOも含め、キャリア側の体制は急速に整っていくと思われる。

ただし現時点では、自分が使っている通信キャリアでeSIMがどのような扱いをされているかは要確認。購入前にチェックしておこう。ちなみに、iPhone XS以降のモデルのiPhoneはすべてeSIMに対応しているので、今後中古iPhoneに乗り換えることがあっても、eSIMを使っていて困ることはない。

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著者プロフィール

村上タクタ

村上タクタ

Webメディア編集長兼フリーライター。出版社に30年以上勤め、バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴ飼育…と、600冊以上の本を編集。2010年にテック系メディア「ThunderVolt」を創刊。

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