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Safariの検索ウインドウからChatGPTが利用できる! ほかの生成AIも組み込む方法は?

著者: 山下洋一

Safariの検索ウインドウからChatGPTが利用できる! ほかの生成AIも組み込む方法は?

Web検索で目的の情報が見つけにくくなる一方で、AI検索が新たな選択肢として台頭している。ChatGPTのSafari拡張機能のほかにも、工夫次第でPerplexityなどほかのAI検索もSafariに組み込めるようになった。

Web検索の質が低下し情報が埋もれる時代

「以前は簡単に見つかった情報が、今では探しにくくなった」。近年、Web検索の質が低下していると感じる人が増えている。主な原因として、広告表示の増加、アフィリエイトサイトの氾濫、そしてSEO(検索エンジン最適化)の進化が挙げられる。

自動生成コンテンツや内容の薄い記事が検索上位に押し上げられることで、求める情報が埋もれやすくなった。特に、健康・医療、金融・投資、製品レビューなどの分野では、広告収益目的のサイトが質の高い情報を隠してしまい、ユーザが本当に必要とする情報へたどり着きにくくなっている。

そんな中、求めている情報を効率的に得るために、対話型の生成AIを検索に活用する動きが広がっている。AIがユーザに代わってWebを検索し、関連情報を収集・分析したうえで、質問に対する回答を生成する。

2023年からChatGPTでリアルタイムのWebブラウジング機能が利用可能になり、ほかの多くの対話型AIも実用的なAI検索機能を提供している。

SafariからChatGPTで検索

SafariやGoogle Chromeには、デフォルトで検索エンジンとしてGoogleが登録されている。ユーザは設定でほかの検索エンジンに変更できるが、Safariの検索ツールバーから直接AI検索を実行することはできない。こうした制約を打破するため、オープンAIは2025年2月にiOSおよびiPadOS用のChatGPTアプリのアップデートを行い、Safari用の拡張機能の提供を開始した。

この拡張機能は、Safariの検索バーでの検索をChatGPTサーチによる検索に置き換える。あるURLにアクセスした際、自動的に別のURLへ転送するURLリダイレクトを利用した仕組みになっている。

「ChatGPT」アプリにはSafari用の機能拡張がある。利用するには、「設定」内の[Safari]にある[機能拡張]から機能拡張を有効にし、さらにSafariでデフォルトに設定している検索サービスへのアクセスを許可する。
2025年3月2日に開催されたばかりのアカデミー賞の結果について正確に答えるChatGPT。対話型AIが登場した当初は新しい情報に答えられない課題があったが、今はリアルタイムのWeb情報に対応する。

検索ウインドウで使うAIを自由に選べる

しかし、ChatGPT以外のAI検索を使いたいと考える人も多い。生成AIによる検索は、回答の生成方法や得意分野がサービスごとに異なり、「ChatGPT1強」というわけではないからだ。そうした場合、SafariでURLリダイレクトを可能にする拡張機能を使えば、ほかのAIサービスも手軽に利用できる。さらに、ChatGPTの拡張機能はモバイル向けのみだが、それらの多くはMacとモバイルの両方に対応する。

そこで、今回は「Redirect Web」と「xSearch」という2つの拡張機能を使い、AI検索を簡単に利用する方法を紹介する。

Redirect Webは、あるWebページから別のWebページへリダイレクトするルールを作成して、ページ移動を柔軟にコントロールできる。Safariのデフォルトに設定している検索エンジン(Google検索など)を、「Perplexity」や「Claude」など任意のAI検索エンジンにリダイレクトするよう設定すると、Safariの検索バーに入力した検索語で自動的にAI検索が実行される。

Redirect Webはワイルドカードや正規表現を使用した高度な設定が可能で、使いこなすにはそれらの知識が必要になる。だが、シンプルなリダイレクトなら、URLテンプレートを参考に設定可能である。

Redirect Web for Safari

【開発】
Manabu Nakazawa
【価格】
無料(アプリ内課金あり)
【備考】

「Redirect Web」はあるWebページ間をリダイレクトするルールを作成できるアプリ。Mac用も用意されているので、ChatGPTのために利用する価値もある。課金によって、複数のルール設定やiCloud同期などが開放される。

「Redirect Web」を使えば、ChatGPTアプリのSafari用機能拡張と同様にデフォルト検索をPerplexityやClaudeなどに置き換えられる。リダイレクト元のURLパターンを「正規表現」にするのを忘れずに。
Google検索をデフォルトにしている場合、Redirect Webの設定に入力するリダイレクトURL。

一方、xSearchはSafariの検索フィールドを拡張するツールだ。検索語に特定の単語を付けることで、任意の検索サービスで検索したり、URLスキームを実行できる。たとえば、リダイレクトの登録でPerplexityに「ppx」というショートカットを割り当て、「ppx 第11世代iPadのスペック」というように検索すると、Perplexityに検索が転送される。AI検索も使いたいけどGoogle検索も使い続けたい人、あるいは検索の目的に応じて複数の検索を使い分けたい人のニーズを満たしてくれる。

xSearch for Safari

【開発】
磊 汪
【価格】
500円
【備考】

「xSearch」は、Safariで検索する際、特定の検索エンジンやAIなどを選択できる。連係できるサービスが充実しており、検索エンジンを選択し、ショートカット(キーワード)を指定するだけで簡単にリダイレクトルールを作成可能だ。iOS・iPadOS・Mac用があり、iCloud同期にも対応。

xSearchでは任意のサービス(今回設定したのは「Perplexity」)にショートカット(「ppx」)を割り当てておくと、Safariでそのまま検索すると設定している検索エンジンで検索され、検索語の前に「ppx」を付けるとそのサービスを呼び出せる。

iPhoneのショートカットでAIを呼出す

Safariのデフォルト検索エンジンの置き換えではないが、iPhoneやiPadではショートカットを活用するのも有効だ。

もっとも簡単な方法は、使いたい対話型AIサービスのアプリが用意しているショートカットをそのまま利用することだ。それをiPhoneのアクションボタンに割り当てると、ボタンの長押しで呼び出せる。アクションボタンを搭載していないデバイスでは、コントロールセンターや共有メニューに登録してアクセスすることが可能だ。

AI技術の進歩とサービスプロバイダの競争により、AI検索はますます便利なものになってきている。4月のOSアップデートでApple Intelligenceの日本語対応が実現する。それを待つまでもなく、ひと工夫すれば今すぐにチャットGPTを含むさまざまな生成AIサービスを活用することができる。生成AIを最大限に活用し、情報収集の新しいスタイルを取り入れてみてはいかがだろうか。

生成AI検索をショートカットで呼び出す手順

❶「ショートカット」アプリで新規ショートカットを作成し、利用したい生成AIサービスのアクション(例:Ask Claude)を選択。そして、画面下部の(i)アイコンをタップして共有シートに表示をオンに設定する。

❷作成したショートカットをiPhoneのアクションボタンに割り当てることで、簡単にアクセスできるようになる。

❸ウェブブラウジング中でも、アクションボタンからClaudeを呼び出せるようになる。まるでOSに統合されているように手軽にClaudeを利用できる。

※この記事は『Mac Fan』2025年5月号に掲載されたものです。

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著者プロフィール

山下洋一

山下洋一

サンフランシスコベイエリア在住のフリーライター。1997年から米国暮らし、以来Appleのお膝元からTechレポートを数多くのメディアに執筆する。

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