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【先行レビュー】M4搭載MacBook Air&M4 Max/M3 Ultra搭載Mac Studio。M1搭載Macの“世代交代”を実感する、常識はずれのパフォーマンス

著者: 山本敦

【先行レビュー】M4搭載MacBook Air&M4 Max/M3 Ultra搭載Mac Studio。M1搭載Macの“世代交代”を実感する、常識はずれのパフォーマンス

15インチのM4搭載MacBook Airをレビューする。カラーは新色・スカイブルーだ。

Appleが2つの新しいMacを発表した。M4チップを搭載するMacBook Air。そして、Appleシリコンの中で最高の性能を誇るM3 Ultraチップ、あるいはM4 Maxから選択可能なデスクトップマシンMac Studioだ。明日、2025年3月12日に発売を迎える両製品の実機をレポートしていこう。

M4搭載MacBook Airは、13/15インチの2モデル展開。新色スカイブルーは落ち着きあるカラー

MacBook Airには、究極のポータビリティを実現する13インチと、大画面15インチの2モデルが提供されている。2サイズ展開は、2022年発売のM2搭載MacBook Air以来、継続採用されている。両モデルともにLiquid Retinaディスプレイを備え、P3の広色域表示と500nitsの輝度再現性能を実現。明るく色鮮やかだ。

今回、M4搭載MacBook Airには新色のスカイブルーが加わった。日光に当たると鮮やかな青が映え、屋内照明下では少し“くすんだ”落ち着きのあるブルーに見える。

筆者が触れてきたAppleのデバイスの中では、2020年9月に発売されたiPad Air(第4世代)のスカイブルーに色合いが近いと思う。

新色・スカイブルーは、シルバーに近い落ち着きのある色合い。
屋外では、青色がより鮮やかで映える。

ファンレス設計の新MacBook Air。M4チップのパワーで、ハードワークも静かにこなす

新MacBook Airが搭載するM4チップは、10コアCPUを基本としている。一方のGPUは、13インチの基本モデルが8コアだが、ほかのモデルは10コアだ。

そして、機械学習に特化するNeural Engineは16コア。最小16GBから最大32GBのユニファイドメモリ、256GBから2TBまでのSSDストレージがオプションから選択可能だ。なお、オプション選択なしの13インチモデルは、価格が16万4800円である。

MacBook Airはファンレス設計なので、M4チップのパワーを必要とするタスクも静かにこなす。内蔵バッテリによる連続駆動は、最大18時間のビデオストリーミング、最大15時間のワイヤレスインターネットブラウジングが目安。M2搭載MacBook Airからスペックは変わっていないが、M4チップの性能が上がっていることを考えれば見事にバッテリ持ちをキープしたといえるだろう。

電源ケーブルにつないだときとバッテリ駆動時とでパフォーマンスが変わらないことも、Appleは本機の特長としてうたっている。なお、15インチのモデルにはデュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタが付属する。

電源ケーブルは、本体カラーと同色。

Apple Intelligenceに完全対応。オンデバイスでの処理も、プライベートクラウドでの処理も極めてスピーディ

Apple Intelligenceの動作も快適だ。たとえば「写真」アプリのクリーンアップ機能を使ってみると、極めてスムースに不要物を消してくれた。オンデバイス上で処理を完結するApple Intelligenceの機能を、M4搭載MacBook Airは驚くほどの速さでこなす。

Apple Intelligenceのクリーンアップ機能。写真に写り込んだ被写体を消去する。

Apple Intelligenceは、マシンに大きな負荷がかかるリクエストはAppleシリコンが動かす大規模なクラウドサーバーベース上のAIモデルである「プライベートクラウドコンピューティング」によって処理する。

たとえば、SiriとChatGPTが連係する複雑な質問に回答するときにはプライベートクラウドコンピューティングにつながるようだ。しかし、M4搭載MacBook Airでのレスポンスはとてもよかった。

Apple Intelligenceはサードパーティアプリとも連係。M4搭載MacBook Airが軽やかに処理する

Appleは、外部のデベロッパにもApple Intelligenceに対応するアプリやサービスの開発キットを提供している。たとえばドキュメントエディタ「Bear」アプリの中でも、Apple Intelligenceの「作文ツール」が利用可能だ。ユーザが書いたテキストの校正、トーンや言い回しを変えたテキストの生成などを瞬時に行う。

「Bear」アプリには、Apple Intelligenceが提供する画像生成ツール「Image Playground」も統合されている。ビジネスの企画書や学校の講義レポートに、テキストプロンプトから生成したイメージ画像を挿入すれば、映えるドキュメントが作れるだろう。

「Bear」アプリで「作文ツール」を使って文章を作成。挿入しているイラストは、Image Playgroundで作成したものだ。

2台の外付けディスプレイに接続し、最大3台のマルチディスプレイを実現!

M4搭載MacBook Airは、左側面に2基のThunderbolt 4/USB 4ポートと、インピーダンスの高いヘッドフォンもドライブできる高出力3.5mmオーディオジャックを備えている。電源はMagSafe 3ポートからも給電できるので、Thunderbolt/USBポートは2基とも周辺機器への拡張に使える。

右側面に搭載された2つのThunderbolt 4/USB 4ポート。

また、Apple Pro Display XDRのような最大6K解像度の外付けディスプレイに、最大2台まで接続できる。M3搭載モデルは1台までだったため、それを理由にMacBook Proを選択していたユーザにとって朗報だ。

映像クリエイターをはじめとするプロフェッショナルユーザから、マルチディスプレイ環境でMacBook Airを使いたいという期待とニーズを受け、アップグレードを図ったのだろう。

そして、フロントカメラは「デスクビュー」機能が使える12MPセンターフレームカメラになった。カメラの画質も良好だ。

俯瞰撮影機能「デスクビュー」が使える、12MPセンターフレームカメラを搭載。

M4搭載MacBook Airの登場。それは、M1シリーズ搭載MacBookの“買い替えどき”

M4搭載MacBook Airは、13インチと15インチがともにM3搭載モデルから価格を据え置いた。2024年3月発売のM3搭載MacBook Airから急いで買い換える必要はないと思うが、M1世代のMacBookから乗り換えると、処理の速さと安定感の違いが実感できるはずだ。

ベンチマークソフトのGeekbench 6で複数回計測したところ、CPUのスコアはシングルスレッドが3700前後。そしてマルチスレッドが1万4000前後。GPUのMetalスコアは5万5000前後だった。

一方、筆者が所有するM1チップのMacBook Airは、CPUのシングルスレッドが2400前後。マルチスレッドが8700前後。そしてGPUのMetalスコアは3万4000前後だ。

いずれもM4搭載機が大きく上回り、その性能差が明確となった。2020年にデビューした、Appleシリコンを搭載するMacBookの買い換え時が、いよいよ到来した実感がある。

怪物級のMac Studioも登場。史上最強のM3 UltraとM4 Max、2つのモデルをラインアップ

また、デスクトップマシンのハイエンドモデル「Mac Studio」も3月12日に発売する。Appleが「これまでに作った中でもっともパワフルなMac」を標榜するモンスターマシンだ。

M3 Ultra/M4 Maxから選択できるデスクトップマシンMac Studio。

新Mac Studioは、2024年の秋、MacBook Proに先行搭載されたM4 Max、または今回登場したM3 Ultraのチップから選択する。

80コアGPUを搭載するM3 Ultraチップのモデルは、一瞬ストレージのスペックと見間違えるほどに大容量な512GBのユニファイドメモリが用意されている。ストレージのオプションは最大16TBだ。

M4 Max搭載モデルは、32万8800円から。一方、M3 Ultra搭載モデルは66万8800円。同モデルにすべてのオプションを追加すると、その価格は218万円を超える。

Thunderbolt 5を最大6基搭載。その速度は、前世代のなんと約3倍!

M4 Max搭載Mac Studioは4基、M3 Ultra搭載Mac Studioは6基のThunderbolt 5ポートを搭載する。

Thunderbolt 5は、前世代のThunderbolt 4よりもおよそ3倍速い最大120Gb/sの転送速度を実現した、モンスターマシンにふさわしいスペックだ。またM3 Ultra搭載Mac Studioの場合、最大8台のフル6K解像度のPro Display XDRに接続できる。

M3 Ultra/M4 Max搭載のMac Studioは、新たにThunderbolt 5ポートを採用した。M3 Ultra搭載モデルの場合、前面の2ポートもThunderbolt 5となる。

“持て余す”ほどハイスペックなM3 Ultra/M4 Max搭載のMac Studio。フィットするのはどんな人?

Appleは、Mac Studioが「もっとも要求の高いワークフローに対応できるデスクトップのMac」だと強調している。いずれのモデルを選択しても、筆者のように日々原稿を書いたり、写真や動画の簡単な編集をして、時々映画や音楽を楽しむMacユーザには持て余すほどのハイスペックだ。

では、どのようなペルソナがMac Studioにフィットするのだろうか。

5KのApple Studio Displayとも相性が良い。

Appleは、「M4 Maxはビデオや写真、音楽のコンテンツ制作に関わるクリエイター、プログラマー向けに高速CPUの圧倒的なスピードを求めるプロフェッショナル」が最適なユーザだと説いている。

一方、「M3 Ultraは負荷の高いワークフローを軽々とこなすパフォーマンスを備える。3Dゲームクリエイター、AIリサーチャー、シネマトグラファーの創作を力強くサポートする」マシンだという。

今回、その強大なポテンシャルのすべてを明らかにすることはできないが、M3 Ultra/M4 Maxを搭載するMac Studioは、M2 Ultraチップを搭載するMac Proをも凌ぐであろう究極のデスクトップマシンだ。ぜひ、多くのプロのクリエイターに触れてみてほしい。

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著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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