現地時間2025年2月20日、中国・TCL社とIOCは、2032年までの世界オリンピックパートナーシップを発表した。
イベントは、北京オリンピック・パラリンピックが記憶に新しいウォーターキューブ/アイスキューブで開催。世界中から約400名のメディアおよび関係者が集まった。


TCLとは? 中国発、世界のテレビシェア第2位を獲得した総合家電メーカー
TCLは、中国の大手家電メーカーだ。その製品ジャンルは幅広く、日本ではテレビ、サウンドバー、外付けディスプレイ、冷蔵庫、タブレットなどを展開している。2022年、2023年には、2年連続でテレビ出荷台数で世界第2位となった。
TCLのテレビ、ディスプレイの特徴は「量子ドットmini LED」である。mini LEDは、明るさ、色再現、コントラスト、などでさまざまな利点を持つ。近年、MacBookやiPadにも搭載されているこのテクノロジーに、聞きなじみがあるAppleユーザは多いのではないだろうか。
一方、量子ドットmini LEDは、量子ドットの優れた色再現性と、Mini LEDの精密な制御技術を融合させたテクノロジーだ。ローカルディミングゾーンは5184。ピーク輝度は5000ニト。コントラスト比は5千万:1。圧倒的な映像体験を支える性能を持つ。
なおローカルディミングとは、バックライトの輝度をコンテンツの明るさに応じてリアルタイムで調整する技術のこと。つまり、TCL社の量子ドットmini LED採用のディスプレイは、5184のポイントで輝度をコントロールする。それにより、動きが速く激しいスポーツ中継も、より滑らかかつリアルに表現可能だ。
10年以上にわたるアスリートのサポートを経て、オリンピック・パラリンピックのトップパートナーへ
TCLは、複数のパートナーシップを通じて、10年以上にわたって世界中のスポーツを支援してきた。そのジャンルも、サッカー、バスケットボール、アメリカンフットボール、クリケット、eスポーツと幅広い。
そして今回、オリンピック・パラリンピックのグローバルトップパートナーとなる。
対象となるのは、2026年のミラノ大会、2028年のロサンゼルス大会、2030年のフランス・アルプス大会、2032年のブリスベン大会。会場に設置されるディスプレイから選手村の家電まで、幅広くサポートするという。

写真●TCL
IOC会長:トーマス・バッハ氏のコメント
IOCは、テレビおよび家庭用品業界の世界的リーダーであるTCLとの新しいパートナーシップを発表できることをうれしく思います。
TCLは世界中でスポーツを支援してきた長い歴史があり、オリンピックはもっとも偉大でもっとも刺激的な世界的なスポーツステージであるため、現在、偉大さを新たな高みに鼓舞するという野心を掲げています。
TCL創設者兼会長:李東生氏のコメント
世界的なオリンピックとパラリンピックのパートナーになれて光栄です。TCLは、世界をリードするテクノロジーブランドとして、オリンピックの精神に沿った「偉大さを刺激する」ために常に努力してきました。
オリンピックは世界中の何十億人もの人々にインスピレーションを与え、このパートナーシップを通じてTCLの多様なイノベーションはオリンピックに力を与え、世界中の観客に並外れた体験を提供します。
TCLは引き続き企業の社会的責任を果たし、オリンピックの持続可能な開発目標を支援し、より良い未来を創造します。
テレビ、ディスプレイ、エアコン、冷蔵庫…。TCLの多彩な製品による多様なサポート
オリンピック・パラリンピックでは、スマートディスプレイ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、ドアロック、オーディオシステム、プロジェクタ、スマートグラスなど、多彩な製品がTCLより提供される。
イベントの開催地となったウォーターキューブ/アイスキューブには、その候補となる製品群が展示された。


オリンピック・パラリンピックの“持続可能性”も焦点。TCLの取り組みは?
環境意識の高まりから、ロサンゼルスオリンピック・パラリンピックは「史上もっとも環境にやさしい大会になる」と表明されている。その点TCLは、家電製品、ディスプレイ技術、クリーンエネルギーの3つを掲げるメーカーだ。
TCLによると、「健康で持続可能なグリーンパートナーシップエコシステムの構築」を企業成長の中核戦略目標として掲げており、製品設計、サプライチェーン、製造、包装、物流、販売・サービス、リサイクルの全プロセスで、環境に配慮した開発理念を取り入れているという。
また、低炭素エネルギーマネジメントシステムの構築、生産技術の革新推進、インフラの省エネ改修を進めている。さらには分散型太陽光発電の導入を加速。バリューチェーン全体と社会と協力しながら、ネットゼロ(カーボンニュートラル)エコシステムの構築を推進している。
IOCとTCLの両組織により、今後オリンピック・パラリンピックの大会運営はどのように変化していくのか。そして、TCLがガジェットの力で大会をどのように彩ってくれるのか楽しみだ。
著者プロフィール

関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_