ショックス(Shokz)は、骨伝導イヤフォンの分野で世界トップセラーであり、日本でも7割以上のシェアを誇るブランドです。骨伝導技術を搭載したオープンイヤ型のイヤフォンは、耳をふさがずに周囲の音や声を聴きながら音楽を楽しめるため、長時間の利用でも疲れにくく、多くのスポーツ愛好家にも普及しています。ショックス製品の国内代理店であるフォーカルポイントのマーケティング部部長・田中大士さんに、近年のハイエンドイヤフォンのトレンドと、アップルユーザの楽しみ方についてお話を聞きました。
撮影:黒田 彰
ハイブリッドドライバでクリアな音質を実現
MF●「オープンラン・プロ(OpenRun Pro)」は、これまでもスポーツ向けオープンイヤ型イヤフォンのフラッグシップとして販売されてきましたが、このたび新たにバージョンアップされるのですね。
田中●2021年末にブランド名をショックスに変更した後に、最初にリリースした記念すべきモデルがオープンラン・プロでした。これまでの骨伝導イヤフォンのイメージを覆す画期的なモデルとして2年半にわたり販売されてきましたが、このたびさらなる進化を遂げた「オープンラン・プロ2(OpenRun Pro 2)」が発売されました。
MF●満を持してのメジャーアップグレードですが、一番大きく変わった点を挙げるとすれば、どこになりますでしょうか。
田中●オーディオ音質の向上です。ショックスが得意とする骨伝導スピーカは高音域と中音域を鮮明に再現することに優れていますが、これに重低音のコントロールに適した空気伝導スピーカを融合した「デュアルドライバデザイン」を採用することによって、パワフルかつクリアなリスニング体験を実現しています。
MF●オープンイヤ型に空気伝導スピーカを搭載すると周囲への音漏れが心配です。このあたりの対策はいかがでしょう。
田中●もともとショックスの骨伝導ユニットには音漏れを効果的に抑制するショックスの独自技術が搭載されていますので、音量を上げすぎなくてもクリアに音が聴けます。また、空気伝導ユニットも音漏れを最小限に抑える「デュアルピッチ(Dual Pitch)」テクノロジーで制御されています。
MF●デュアルドライバシステムの搭載で、リスニング体験にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
田中●サウンドユニットごとに独自のドライバを割り当てたことで、まるでコンサート会場にいるような臨場感溢れるオーディオ体験が可能です。一方で、オープンイヤ型は周囲の必要な音は聞こえるので、外出中でも安全にリスニングできることもメリットのひとつです。
装着感の向上で利用シーンが広がる
MF●音質以外の改善点はありますか?
田中●装着感や操作性の改善がなされています。たとえば、ジョギングのような激しい動作でもイヤフォンが外れないように、ネックバンドには形状記憶合金素材のワイヤーが内蔵され、表面はソフトシリコン仕上げの素材で汗や水滴でも滑りにくくなっています。また、装着時の圧力を適切に分散させることで、イヤフック部分の締めつけが前モデルと比べて約16%低減されています。
MF●付け心地はスポーツやアウトドアで利用する人も気にされるところですよね。
田中●そうですね。これまで骨伝導イヤフォンは人によっては締めつけが強いと感じられることもありましたが、装着感が軽くなったことで長時間の利用でも疲れにくくなっています。また、左右のイヤーフックの先端同士をマグネットで留めることができるので、不意の落下や紛失を防ぐ効果も期待できます。
MF●ユーザ目線の改良がなされているのはうれしいですね。耐衝撃性や防水性能についてはいかがでしょうか。
田中●撥水性のコーティングなどIP55の防塵防水設計となっているので、雨や水飛沫に対しても耐久性があります。また、連続音楽再生・通話時間も従来の最大10時間から12時間へと延長されたほか、5分間で2.5時間分利用できる急速充電にも対応しました。
MF●充電の方式も変更になったのですね。
田中●前モデルで採用していたマグネット式の独自充電方式から、本モデルはUSB-Cポートによる有線充電に仕様を変更しました。それにより最新のiPhoneやMacBookなどとケーブルを共通化できるというメリットがあります。
MF●フラッグシップモデルならではの充実度ですね。購入した人におすすめの使い方などはありますか?
田中●ブルートゥース(Bluetooth)イヤフォンとしてすぐに使い始められますが、専用の「ショックス」アプリをインストールすれば、MacとiPhone、またはアップルウォッチ(Apple Watch)など、最大2台のマルチポイント接続に対応します。そのほかイコライザ設定も可能で、4種類のプリセット、独自に調節できる2種類のカスタムモードに対応し、自分好みのリスニングを楽しめます。
MF●スポーツをしながら音楽を楽しむ以外でおすすめの使い方はありますか?
田中●スポーツに適したオープンラン・プロ2ですが、前モデルにおいてもタフネスさが評価されて医療分野などプロフェッショナルの現場でご利用される方がいらっしゃいました。今回の新モデルでは連続駆動時間が長くなったことで、通勤やオンラインミーティングなどのシーンから、帰宅後のジョギングまでそのまま使い続けることができるなど、活躍の場がさらに広がっています。
オープンイヤ型完全ワイヤレスイヤフォン「Shokz OpenFit Air」
MacBookにProモデルとAirモデルがあるように、Shokzの骨伝導ワイヤレスイヤフォンにも、よりカジュアルに利用できる「Shokz OpenFit Air」(【価格】1万9880円、フォーカルポイントダイレクト価格)がラインアップされています。開放感のあるオープンイヤ型のイヤフォンにおいて、クリアで自然なリスニングを実現するDirectPitch技術を採用しているほか、8.7gという抜群の軽さを誇るイヤーフックと人間工学に基づいた柔らかなフィット感が魅力です。
※この記事は『Mac Fan』2024年11月号に掲載されたものです。
著者プロフィール
栗原亮
1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。