※この記事は『Mac Fan』2024年2月号に掲載されたものです。
Macで作曲に励む宮本佳林さんには、気になるDTMツールがいっぱい! 第21回はExpressive Eの斬新なキーボードを体験しました。
宮本佳林
歌手。ハロー!プロジェクト所属の女性アイドルグループ・Juice=Juiceの元メンバー。現在はソロ名義で活躍の場を広げている。趣味はアニメ・漫画鑑賞、射撃(シューティング)。
MIDIコントローラ「Touché」とってもユニーク。指でなぞったりタップすると音が変わるんだ!
今回は株式会社フックアップの中村龍人さんに、音楽制作関連のソフトウェアやハードウェアを開発しているExpressive Eの製品について伺いました。
宮本佳林
Expressive Eって、どんな会社なんですか?
中村龍人
2015年にフランスで設立された会社で、音源などのソフトウェアと、ちょっとユニークなハードウェアを開発しています。たとえば、この「Touché(トゥシェ)」という製品、何に使うかわかりますか?
宮本佳林
ペダルみたいな形…これで音を操作できるとか?
中村龍人
そう、これ実はMIDIコントローラなんです。PCと接続して、ペダルのような部分を触ると4方向にコントロールできます。横にズラすと…。
宮本佳林
わあ、音がうぃーんってなった!
シンセサイザ「Osmose」も指先ひとつで音が変化。鍵盤上で指を動かすだけでピッチが変わる!
中村龍人
この会社のハードウェアはしばらく本製品だけだったのですが、満を持して今年発売されたのが、この「Osmose」です。
Osmose
- 【発売】
- フックアップ
フランスのExpressive E社が開発した画期的な最新シンセサイザー「Osmose」。49の鍵盤部分はMPE+に対応しており、押し込んだり、左右に揺らしたりすることで、直感的でユニークなサウンドを鳴らすことが可能です。
宮本佳林
こっちは普通のMIDIキーボードに見えますね。
中村龍人
これはシンセなんです。ぜひ弾いてみてください。ただ弾くのではなく、鍵盤の上で指を動かしてみるのがおすすめです。
宮本佳林
何これ! 指を横に動かすとピッチが変わる…!
中村龍人
ピッチベンドが別でついているシンセサイザーはたくさんありますが、鍵盤上だけで操作できるのは世界初だと思います。鍵盤を押し込むことでも音が変わるんですよ。
宮本佳林
すごーい! 普通のキーボードと全然違う。新しい操作感ですね。
中村龍人
設定でピッチベンドの度合いを変えることもできて、今は半音に設定しています。そうするとギターのチョーキングみたいに音を変化させられる。1オクターブくらいにすると指を傾けるだけで低音から高音まで出せるんですよ。
宮本佳林
キーを1つ押してるだけなのに! 滑らかにピッチを変化させるのって、打ち込みだとなかなか大変なんですよね。ループ音源からそれっぽい音を引っ張ってきていじるか、アプリで音を加工するかなんですけど、すごく時間がかかる。しかも思いどおりにできなくて、途中でよく諦めちゃってます(笑)。
弦楽器の音も得意なシンセサイザ。ピッチのおかげで「弾き方の個性」が色んな楽器で楽しめそう!
中村龍人
普通の鍵盤で出る音って、ピッチは変えられないんですよね。僕はピアノを弾くのですが、「ピアノでギターみたいな演奏ができればいいのに」と思うことがあるんです。それを実現したのが、このOsmose。開発者が弦楽器のような表現を鍵盤でできないか模索した結果、たどり着いた製品なのだと思います。
宮本佳林
鍵盤なのに、音にビブラートがかけられますもんね。Webサイトの演奏動画を見ると、ドラムみたいにOsmoseを演奏してる人もいます。琴の音にすると、本当に琴を弾いてるみたい。
中村龍人
ストリングスは劇伴でよく使われるので、映像系の作曲家の方にも好評です。
宮本佳林
私も曲を作っているとストリングスの音が欲しくなることがあります。ただ、音源がバイオリンでも、鍵盤で弾くとストリングスの感じが出なくて、結局いつもピアノやギターの音にしちゃうんです…。
中村龍人
バイオリンって、ドレミファソラシドと単音で弾くと味気ないんですよね。弓で弾いている感じが出ない。それが、Osmoseだとグラデーションのように少しずつピッチを上げるような音が出せるんです。
宮本佳林
音自体も本格的でかっこいいですね。
中村龍人
電子音というよりアコースティックライクな音が多く入ってます。今までのシンセにはあまりない音なんですよね。サンプル動画はプロのミュージシャンが技巧的な演奏をしていますが、指1本でも多彩な表現ができるので、初心者でも楽しめます。
宮本佳林
それぞれの弾き方の個性が、さまざまな楽器の音で表現できるんですね。誰かに弾いてもらうとまた違った感じになるだろうから、自分のイメージする音が出せるのはうれしい。鍵盤さえ弾ければどんな楽器も演奏できるなんて夢みたい!