※この記事は『Mac Fan』2023年6月号に掲載されたものです。
Macで作曲に励む宮本佳林さんには、気になるDTMツールがいっぱい!第15回はAbletonの新アプリで曲のスケッチづくりに挑戦しました。
宮本佳林
歌手。ハロー!プロジェクト所属の女性アイドルグループ・Juice=Juiceの元メンバー。現在はソロ名義で活躍の場を広げている。趣味はアニメ・漫画鑑賞、射撃(シューティング)。
「Ableton Note」アプリなら、ワンクリックで気軽に声を音源化できる!
今回は音楽制作ソフト「Ableton Live」を開発するエイブルトン社を再訪問。同社認定トレーナー・岡本剛さんに、新アプリ「Ableton Note」の使い方をレクチャーしてもらいました。
宮本佳林
新アプリ「Ableton Note」について教えてください!
岡本剛
Ableton Noteは、楽曲のアイデアが浮かんだときにスケッチしておくためのアプリです。起動して[新規セット]をタップすると、まずドラムとベースに加え、シンセサイザなどの“上物”を入れる3つのスロットが表れます。
宮本佳林
Ableton Liveのスロットについては、前回教えてもらいました。縦型の棚みたいなものに、音源のクリップを作っていくんですよね?
岡本剛
そのとおり! Ableton Noteでは8つまでスロットを増やせるので結構複雑な曲も作れます。
宮本佳林
8つもあれば、かなり音を重ねられますね。
岡本剛
では、さっそくドラムのクリップを作っていきましょう。Ableton Noteにはサンプラー機能があり、録音して独自の音源が作れるんです。宮本さんの声を録音してみましょうか。
宮本佳林
じゃあ…「さくら〜」。これでどうでしょう?
岡本剛
バッチリです。この声をカットして、ディレイやリバーブなどをかけてみると…。
宮本佳林
すごい、私の声が音源になってる! しかも、良い音。
岡本剛
Ableton Noteには録音ボタンがなくて、常にバックグラウンドで音を記録しているんですが、エフェクト類もしっかり記録してくれます。演奏してみて「これいいかも」と思ったら、キャプチャボタンを押す。そうすると、勝手にテンポとフレーズの長さを検知して、自動的にループを作成してくれます。
宮本佳林
すごーい! いつも、DAWのレコーディングボタンを押して「絶対成功させるぞ…」と緊張しながら演奏していました。
岡本剛
そして音源の編集も簡単なんです。ループにした音源の1小節目がいらないなと思ったら、画面上で即カットできます。
宮本佳林
モバイルアプリでそんなこともできるなんて、超便利!
5分で曲ができちゃった。楽器みたいに使えるアプリだから、作曲が本当に楽しい!
岡本剛
次に手拍子をサンプリングして、スロットに入れてみましょうか。
宮本佳林
プリインストールされているハンドクラップの音源って、イメージと違うことが多いんですけど、これなら自分の思ったとおりの音が入れられますね。
岡本剛
最近のiPhoneやiPadのマイクはとても優秀なので、十分使える音が録れるんですよ。
宮本佳林
私の声と手拍子を使って、オリジナル曲が作れるんだ…!
岡本剛
あとメロディの入力では、スケール機能が使えます。
宮本佳林
わぁ、キーやコードを簡単に選べる! 私みたいな教則本を見ないとコードがわからない人にとって、すごくうれしい機能です。
岡本剛
どの音がいいか、バックトラックを流しながら試して、演奏したメロディをエフェクトで馴染ませていきます。
宮本佳林
かっこいい! 岡本さんの操作を見ていると、なんだか私にもできるかも?って思えちゃう! それくらい、操作が簡単そうです。
岡本剛
DAWって機能がすごく多いですよね。何でもできる反面、操作が複雑。一方Ableton Noteは機能を絞っているので、初心者でも使いやすいと思います。
宮本佳林
イコライザ画面がわからなくてWebで調べる、みたいな無駄な時間がなくなりそう。
岡本剛
収録している音源も実用的なものばかりです。どの音もかっこよくて、今っぽい曲に仕上がりますよ。
宮本佳林
岡本さんはこのアプリをどんなふうに使っていますか?
岡本剛
外出先など、リラックスした環境でアイデアをスケッチするのに使っています。自宅のスタジオのパソコンに向かって作った音楽と、タブレットやモバイルで作った音楽はやっぱり違うんですよね。Ableton Noteを使うのはギターをパッと手にとって弾くような感覚です。
宮本佳林
Ableton Noteはまさに楽器みたいですよね。これがあれば、作曲が作業じゃなくて、純粋な楽しみになりそう!