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旅を仕事にする方法(中編)/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第15話】

著者: 四角大輔

旅を仕事にする方法(中編)/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第15話】

旅のテーマと行き先が決まれば、次は発信だ。今回と次回に渡り、その発信と表現活動における、ぼくの歴史を書いてみたい。

旅を仕事にするためには、このアウトプット作業がとても重要となる。昔であれば、旅雑誌での執筆や、旅本の出版など、一部の人たちにしかその門戸は開かれていなかった。でも今では、誰でもすぐに手のひらから、全世界へ向けて発信が可能だ。

ぼくがネットで表現活動を始めたのは意外に遅く、2009年のことだった。大学の教え子が「絶対にやったほうがいいですよ!」と、日本に導入されたばかりのTwitterに、ぼくのアカウントを強引に作ったことがきっかけだ。

それまでのぼくの表現活動は、細々としたものだった。レコード会社に勤務しながら副業として、フライフィッシング専門誌、アウトドア雑誌、契約していた釣り具メーカーのWEBサイトへ、たまに寄稿するくらい。

Twitterは文字数制限があり、つぶやいてもすぐにタイムラインで流れてしまうという特性から、気軽にメッセージを発信できた。ネットでの表現活動の第一歩としてはいいトレーニングになったと思う。

そのまま発信を続け、翌年ニュージーランドに移住。本の出版などさまざまな活動を開始し、アウトドア生活、ノマド的な新しい働き方、湖畔の森のライフスタイルに関する投稿を続けた。Twitter黎明期で盛り上がっていたこともあり、どんどんフォロワーが増加。1万人を超えたあたりから、自分の発信が、影響力を持ち始めた、という実感を得られるようになった。

もしあのとき、あの学生が強引に、ぼくのiPhoneにTwitterの設定をしなければ、ぼくのSNSデビューは数年遅れただろう。あの時期の1〜2年の遅れは、取り返しがつかないほどのダメージになっていたはずだ。ぼくの各SNSのフォロワー数も、ネット上でのぼくの存在感も、現在の半分以下だったかもしれない。そうなればきっと、「旅を仕事にする」というような今のワークスタイルは、構築できていなかったに違いない。

今は、その学生には心から感謝している。余談だが、その子は在学中に自身のブログとTwitterがきっかけで投資家の目に留まり起業。今では20名以上の社員を抱えるベンチャーに成長させている。ぼくや彼に限らず、安藤美姫ちゃん、本田直之さん、はあちゅうちゃん、村上萌ちゃんなど、ぼくの周りの友人たちも、SNSによって生き方や働き方が激変。このように、過去わずか5〜6年の間に、人生の可能性が大きく展開した人はかなり多いはずだ。

そして2011年から、登場したばかりのInstagramを開始。投稿は基本的に写真のみ。添えるにしても一言だけというシンプルな構造に惚れ込み、本田直之さんと2人で1年ほどハマった。でも早すぎた。

その頃日本で使っている人はほとんどおらず、つながるのは欧米の先進的な人たちばかり。それが楽しかったものの、反応の少なさゆえにいつの間にか疎遠に。今でもときどき、あのまま使い続けていればフォロワーは今の倍以上いたかも…と後悔することがある(笑)。(次号へ続く)

ぼくはいつも旅先の街を1日20kmほど歩く。キューバのハバナにて。(Photo:Daisuke YOSUMI’s iPhone)

※この記事は『Mac Fan 2017年3月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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