大都会の片隅で、深夜にだけ営業する喫茶店“真夜中のジーニアス”がある。そこには夜な夜なさまざまな客が訪れ、モバイルに関する相談が繰り広げられる。マスターとアシスタントがおすすめの“裏メニュー”で問題を華麗に解決します。今夜のお客様は、Macのショートカット操作についてお悩みとのこと。
Macを選ぶ理由って?
(カランカラン♪)
ユミコ●いらっしゃいませ~。
客●ブレンドを1つお願いします。それと、ちょっと相談があるのだけれど、この裏メニューの注文いいですか?
ユミコ●よろこんで! モバイルの質問を3つまで答えちゃいますよ。さて、どんなお悩みでしょうか?
客●モバイルかどうかわかりませんが、最近Macを今後も使い続けるかどうかで悩んでまして…。
ユミコ●おやおや、それはなにやら深刻な相談のようですね。詳しく聞かせてください!
客●Macではインターネットやメール、写真の整理、たまに仕事のエクセルなんかを使っているのですが、これってiPadでもできますよね? 何なら、このiPhoneでだってできるんじゃ…。こんな時代にMacを使っている理由がよくわからなくなってきてしまいました。
ユミコ●ふむふむ、お客さん真面目なんですね。前も同じような相談がありましたけど、どのデバイスを使うかは結局好みの問題なんじゃないかなとユミコちゃんは思うのでありました。だけど…。
客●だけど?
ユミコ●Macにしかできない利点というのもあると思うんです。
ショートカットは難しい
ユミコ●そうですねえ、たとえば「コピー&ペースト」といったショートカットの操作です。iOSデバイスのように画面でポップアップさせるのもタッチインターフェイスならではで面白いのですが、Macのように素早くキーボードだけで操作できるのは快適ですよね。もちろん、慣れの問題もあると思いますけど。
客●その辺はありますね。う~ん、でもコピー&ペーストくらいはできるんですが、やっぱりMacのショートカット操作は得意じゃないなあ。
ユミコ●え、そうなんですか? お客さん、何となくMacの操作もお手の物というイメージがありますけども。
客●いえいえ、会社でウィンドウズを使っていることもあって、ショートカットキーで混乱してしまうんですよ。コマンド? コントロール? オルトとアルトどっちだっけ? って感じです。
ユミコ●確かに、そういう「修飾キー(特殊キーとも)」の違いって完全にパソコンを作っている側の都合ですからね~。責任者出てこいって感じです、プンプン。
客●理由はともかく、ちゃんと覚えろってことなんですかね。近ごろはちょっと新しいことを覚えるのが苦手になってきた気がしますけど…。
ユミコ●まだそんな年齢じゃないでしょう。でも、Macのショートカットを覚えるにはいろいろコツがあるので、今回はそれを見ていきましょう。
謎の記号の正体とは
ユミコ●ショートカットを使いこなすために、最初に覚えないといけないのが修飾キーの記号です。メニューバーのアプリケーションメニューを開くと、各項目の右側に表示されるので、よく使うものは覚えてしまいましょう。
客●この謎の記号ですね。いつも何のことだろうと思ってました。[コマンド]キーの記号はキーボードにも刻印されているのでわかるのですが、それ以外は刻印されていないのですぐにはわかりません。
ユミコ●確かにMacBookシリーズではそうなんですよね…。あまりユーザフレンドリーでないというか何というか。でも、さしあたりこの6種類の記号と読み方の対応だけ押さえておけばOKですよ。
客●なるほど…そういうことか。いつもエクセルに別のソフトから文字を貼り付けるときに、普通にペーストすると文字が大きくなってしまったりするのですが、この[コントロール]+[シフト]+[コマンド]+[V]キーの組み合わせを使えば、文字のサイズをそのまま貼り付けられるのですね! 読める、読めるぞ!
ユミコ●ムスカ大佐ですか。
客●あ、でも表示されている記号でショートカットを押しても思ったのと違う操作になることがありますね。
ユミコ●それは、ソフトごとに割り当てられたショートカットキーが重複して競合しているのかもしれません。
客●そんなことってあるんですか?
ユミコ●あまりあってはいけないことなんですけど、よく知られているのはスポットライト検索と入力メニュー切り替えの競合ですね。日本語環境で使っていると、たまに標準のショートカット設定とかぶることがあるんです。
客●そういう場合はどうすれば?
ユミコ●標準のショートカットについてはシステム環境設定で変更できますので、気になるようだったらカスタマイズしておくといいですよ。
客●こういう柔軟なカスタマイズはMacの良さかもしれないですね。
通常のペースト([command]+[V]キー)では、元のテキストのスタイル情報を引き継いでしまうことがあります(右)。貼り付け先のスタイルに合わせるには[control]+[shift]+[command]+[V]キーを使いましょう(左)
ショートカットが別のソフトと競合して動かない場合があります。たとえば、Finderで[command]+[スペース]キーを押すとSpotlightメニューが表示されますが、別の環境では入力プログラムの切り替えになることがあります。
ショートカットを覚えるズルイ方法
客●確かに記号の意味がわかるとショートカット操作が覚えやすくなりますね。しかし、ファインダのように毎回使うようなものはいいとして、ソフトによって異なるショートカットはどのように覚えていけばいいでしょうか?
ユミコ●そうですね、新規ウインドウを開く[コマンド]+[N]キーや保存の[コマンド]+[S]キーのように、各ソフトでほとんど共通のショートカットがあるので、それから覚えるのがよいでしょう。Nは「New」、Sは「Save」のように英語の動詞の頭文字に対応していることが多いですよ。「設定」に[S]キーを割り当ててしまうセンスのないソフト開発者もたまにいますけど。
客●Macを使っている以上は、その辺は共通化してもらいたいですね。でも、グラフィックソフトのように機能が多くなってしまうとショートカットキーを覚えきれませんね。結局メニューバーから探し回ってしまうことになりそうです。
ユミコ●いきなり無理に覚えることはないですよ、焦らずゆっくりと行きましょう。そうだ! そんな人にいいものがありますよ。「チートシート(CheatSheet)」というダウンロードソフトです。
客●「チート」ってゲームとかでよく聞くズルイ技のことですよね。あまり難しいのはちょっと困ります。
ユミコ●いえ、そんなにすごいことではなくて、ショートカットのカンニングシートみたいなものです。あれ? 何だか例えが悪いな。とにかくシンプルなソフトなので試してみるといいですよ。
客●ほう、[コマンド]キーを長押しするだけでショートカット一覧が表示されるのですね。これはなかなか便利そうだ。
ユミコ●多機能なソフトや新しいソフトの使い方に慣れるまでは、こういうチートシートを使うのも1つの方法ですね。そのほかにショートカット関連で質問はありますか?
iPhoneコピペの便利ワザ
客●Macのショートカットの便利さは実感できてきたので、モバイルで役立つテクニックって何かありますか?
ユミコ●そうですね、お客さんは最新のiPhone(iPhone 6s以降)をお使いなんですよね。だったら定番ですが「ユニバーサルクリップボード」はおすすめです。Wi-Fi、ブルートゥース、ハンドオフの設定が有効であれば、MacとiOSの間でコピー&ペーストを引き継げます。
客●そんな機能知らなかったなあ。僕はiPhoneの機能を全然引き出せてないですね。iPhoneのコピー&ペーストがまどろっこしいというのもあるけど。
ユミコ●まあ、これから覚えていけばいいんですよ。それにiPhoneなら3Dタッチでトラックパッド操作できるので、範囲選択は簡単にできますよ。ちょっと口で説明するのは難しいんですけど、キーボードをグッと押せばトラックパッドになりますので、これでカーソル移動してグッグッとそのまま押せば選択範囲を単語→文→段落に切り替えられます。
客●これも知らなかった~。こうしたテクニックを使いこなせば、iPhoneでもMacでも快適にコピペ操作ができるようになりますね!
すると、iOS側にMacでコピーした内容がペーストされました。反対に、iOS側でコピーした内容をMacでペーストすることも可能です
キーボード部分を3D Touch(強くプレス)するとトラックパッドに変化するので、そのまま指をスライドさせてカーソルをコピーしたい部分に移動します。そこで、また強く押すと単語選択の状態に。さらに2回押すと文の選択、3回押すと段落の選択になります
ユミコの日誌
今日のお客様はMacやiPhoneのショートカット操作でお困りのお客様でした。3つのオーダーは
・ショートカットの修飾記号について
・たくさんのショートカットを覚えるには
・iPhoneと連携するテクニック
についてでした。ショートカットの基本である「コピペ」も結構奥が深いんですね~。