結婚式などのイベントでビデオを上映する場合、プロの作品のようにカッチリと仕上げるよりも、過程も含めてワイワイガヤガヤと楽しみながら作るほうが思い出に残ります。ビデオカメラなど機材が増えると何かと気苦労も増えますが、iPadなら素材集めから編集、そして当日の上映まで、気楽にかつ作品もリッチで賑やかな印象に仕上げることができます。ここでは結婚式を例に、こだわりビデオの作り方を解説します。
[STEP 1]iPadのカメラを使って素材をどんどん集める
観ていて飽きないビデオを作るコツは、細かいクオリティよりも「素材の数」が勝負。結婚式の場合、思い出の写真は絶好の素材として各所に使えます。通常、アルバムに貼ってある昔の写真など、スキャナで読み込むことが困難なケースが少なくないですが、iPadのカメラを使えばまったく問題なし。近距離から撮影すれば、画面上で観るには問題ないレベルの画質が得られ、アプリを使用すれば歪みも自動で補正してくれます。ページをめくって気に入った写真をどんどん取り込めばOKなので、あっという間にたくさんの素材を集めることができます。これもiPadならではの便利技といえるでしょう。
ホワイトボードや書類のスキャンなど、ビジネスシーンで使われることが多い「Microsoft Office Lens」アプリですが、これを使えばカメラ内の写真や書類を自動認識・選択して、撮影することができます。特にアルバムに貼ってある写真のスキャンに重宝します。
[STEP 2]無料の仮装アプリでビデオメッセージを撮影
結婚式に参加できない友人・知人には、是非ビデオメッセージに登場してもらいましょう。大勢に観られると思うと緊張しがちですが、リアルタイムに仮装が合成されるアプリで素顔をデコレーションできれば、楽しみながら明るいテンションでメッセージを伝えやすくなります。遠方の人にはアプリを教えて、iPadやiPhoneでセルフ撮影して映像だけ送ってもらえばOK。多くの人を巻き込んで、ビデオ作りを楽しい一大イベントにしましょう。
「MSQRD」は、カメラ内の人物の顔を自動認識して、仮装を合成したビデオをとても手軽に撮ることができるアプリです。
MSQRDで撮影した映像には、「Vimo」アプリを使うと、動くスタンプや文字で手軽にデコレーションが可能です。
[STEP 3]リッチなスライドショーをKeynoteで編集
素材が集まったら、さっそく編集作業の開始です。写真やビデオのスライドショーを作るには、Keynoteがおすすめ。Keynoteなら、スライドごとに写真を貼り付け、多数のバリエーションがあるアニメーションを適用するだけで、まるで本格的なビデオ編集ソフトで作ったようなリッチなスライドショーを簡単に作ることができます。
また、最新のiPad版Keynoteなら、Apple Pencilも効果的に利用できます。テキストだけでなく、写真の上に手書きのメッセージを加えれば、一味違った雰囲気に仕上がります。一方、Mac版と違って「ビデオ書き出し」機能がありませんが、iOS 11の新機能「画面収録」機能を使ってフルスクリーン再生をすれば、問題なくビデオ形式で書き出すことができます。
Tips 1 Keynoteで司会進行に合わせて再生!
作成したスライドは、録画した動画ファイルを再生するだけでなく、現場で司会進行に合わせて直接Keynoteから再生する方法もあります。場の雰囲気にあわせながら進められるのに加え、直前でも修正が可能であるなど、より柔軟なスタイルが可能。また、iMovieなどほかのアプリで仕上げた動画をKeynoteのスライドに配置して、タイミングに応じて再生するといった使い方も便利です。
[STEP 4]iMovieでBGM追加上映もiPadでOK!
Keynoteで作った動画形式のスライドショーや友人のビデオメッセージなどのビデオ素材は、最終的にiMovieで1本にまとめましょう。ここでやっておきたいのが、BGMの追加。オーディオライブラリからの追加のほかに、iMovie自体にも曲の素材が収録されています。場所によっては、一般に販売されている曲を会場内で流すには申告などが必要な場合もあるので、iMovie付属のものや、著作権フリーの素材などを利用すると安心です。
最終的に完成したビデオは、Apple純正の「Lightning-Digital AVアダプタ」を使えば、会場のプロジェクタなどにHDMI経由でiPadから直接映像を出すことができ、制作からお披露目まで、iPadで完結できます。
Tips 2 事前に大画面で確認しておこう
iPadを使ったビデオ編集でありがちなのが、「iPad上ではよく見えていたけど、大画面に出したら思った感じと違った…」という事態。iPadサイズで観ていると、細かい荒れた部分などに気づかないことも多いので、事前にテレビやプロジェクタでチェックできるとベターです。特に気をつけたいのが、撮影した動画の「手ブレ」。大きく揺れる映像を大画面でじっくり観ると気分が悪くなることもあるので、そうしたシーンが長すぎないように抑える配慮が必要です。