コミュニケーションにも使えるGIFアニメーション
このところ、にわかにリバイバルブームとなっているGIFアニメーション(以下、GIFアニメ)のことですね。アニメといっても、専門知識を要するような難しいものではありません。適切なツールと素材があれば、鼻歌を歌いながら作れてしまうレベルです。
GIFアニメとは、2枚以上の画像を並べて順番に表示することで、静止画を動画として再生する仕組みです。パラパラ漫画のスライドショー版と考えるとわかりやすいでしょう。
ツイッターがGIF機能を実装したのは記憶に新しいところですが、感情表現をコミカルに強調するようなGIFアニメがSNSなどに貼り付けられているのをよく見かけるようになりました。LINEでいうところのスタンプのような使い方で、いわばコミュニケーションツールとしてのGIFアニメの使い方でしょう。
ただツイッターをはじめ、多くのWEBサイトで配布されているGIFアニメは欧米産が主流で、内容によっては何が面白いのかよくわからないものも少なくありません。それなら自分で作ったほうが楽しいですよね。もちろんGIFアニメはオモシロ動画のためだけに存在するわけではありません。WEBバナー広告やパソコン操作の手順紹介など、アイデア次第では実用的な用途にも応用できます。
ソフトはいろいろ用途にあったものを選びましょう
GIFアニメ作成ソフトは比較的簡単に見つかりました。まずは「フォトスケープ X(PhotoScape X)」。本来は画像加工ソフトですが、GIFアニメの書き出しにも対応しています。写真を加工してGIFアニメを作成したいなら、こうしたソフトがおすすめです。
スムースな動きのパラパラマンガを作りたいということであれば、動画からGIFアニメを作れるタイプのソフトを選びます。著作権などが気になるところですが、「ギフィー・キャプチャ(GIPHY CAPTURE)」は、動画配信サイトなどで再生中の動画をキャプチャしてGIFアニメが作れるユニークなソフトです。ちょっと変わったところでは、静止画の一部分だけが動くGIFアニメを作成可能な、「シネマグラフ・プロ(Cinemagraph Pro)」というソフトもあります。
候補のソフト
PhotoScape X
レトロな感じのフィルタや多彩なコラージュなど、トレンド機能を網羅した人気の写真加工ソフト。GIFアニメにも対応しています。
GIPHY CAPTURE.The GIF Maker
インターネット上の動画をキャプチャして、GIFアニメ化するというユニークなソフト。人気のGIFアニメポータルが開発しています。
Cinemagraph Pro
静止画の一部をマスク処理してアニメーション化するシネマグラフ作成ソフト。プロ用ソフトをうたっており、高額な有料プランも用意しています。
静止画も動画もオールインワンの「ピックジフ」
写真でパラパラマンガを作るのも面白そうだけど、動画を使ってパラパラしないアニメに仕上げるのも魅力。どちらか1つになんて決められないという人には、こちら。1本で写真からも動画からもGIFアニメが作成できてしまう「ピックジフ(Pic
GIF)」です。
操作方法は、いたってシンプル。写真や動画を取り込んで再生間隔を調整すれば、それなりにGIFアニメが出来上がります。もちろん、出力サイズの変更や、エフェクトの追加、フレーム上にテキストやステッカーを載せるといったことも可能です。今回は有料版を使用しましたが、「やってみようかな」と思い立ったら、気軽に始められる無料の「ピックジフ ライト(PicGIF LITE)」も用意されています。
今月のソフト
【Pick Up!】PicGIF
【開発】PearMountain Technology Co., Ltd.
【価格】600円
【カテゴリ】Mac App Store>写真
写真と動画、両方のファイルからのGIFアニメ作成に対応している点がポイント。わかりやすいインターフェイスで、初めてでも操作しやすいのが特徴です。
オンラインGIFアニメ事情
記事ではGIFアニメを作成するデスクトップソフトを紹介しましたが、そこまで本気度が高まっていない場合は、インターネット上のGIFアニメ作成サービスを利用する手もあります。
オンラインGIF変換は、複数の画像データを再生する簡単なものから、キャプション付き、または動画配信ページのURLを入力するだけでリンク先の動画をGIFアニメにしてくれるものまで多数存在しています。また、不可解なぐらいGIFアニメ熱が盛り上がっている海外サイトでは、GIFアニメポータルサイト内に作成ページが設けられているものも。どんなGIFアニメがウケているのか見るだけでも勉強になります。
候補のソフトとしても紹介したギフィーは、ニューヨークを拠点とするGIFアニメに特化した検索サービスを公開。現在は検索・共有を柱に、GIFアニメ関連のポータルサイトに成長しています。
【最適かい1】シンプルな操作性
写真でGIFアニメを作ろう
Macアップストアから「ピックジフ」をダウンロードします。本ソフトはユーザ登録などの必要がないので、インストール後すぐに利用できます。使い方はとにかくシンプル。まずはアニメーションにしたい画像ファイルを取り込んで、再生スピードを左右するフレームディレイを設定しましょう。フレームディレイは、再生しながら調節するとわかりやすいです。
ここでは写真を使いましたが、手描きのイラストなどをスキャンして取り込めば、よりパラパラ漫画感が出て面白い作品が作れそうですね。
(1)ピックジフを起動後、ドラッグ&ドラッグ、または[写真の追加]をクリックして画像ファイルを取り込みます。なお、取り込む画像のファイル形式はGIFである必要はありません。
(2)取り込んだ画像は、ウインドウ下部のタイムラインに表示されます。番号の順番に再生されるので、必要に応じて並べ換えます。[プロパティ]パネルでサイズや背景色、速度、シーケンスを設定します。速度の調整は再生しながら調整しましょう。
(3)真に効果を加えたいときは[エフェクト]パネルを利用します。フィルタを使ったり、調整バーを操作して編集します。
(4)編集が済んだらウインドウ右上部の[GIFの作成]をクリックしてファイルを書き出します。このとき、タンブラーへのアップロードやメール、メッセージでの送信のオプションが利用できます。
【最適かい2】スムースな動画が作成できる
ビデオからGIFアニメを作成する
海外のコミュニティサイトなどで見かける、画質の低いムービーみたいなGIFアニメ。あれはまさに、動画ファイルを元にGIFアニメを作っています。ピックジフでは、画像ファイルのみならず、動画ファイルからGIFアニメを書き出すことも可能です。動画ファイルを利用することで、パラパラ漫画とは違ったスムースなアニメーションが作れるのが大きなメリット。ただし、もともとフレーム数が多い動画ファイルをそのまま使うと巨大なファイルサイズになってしまうので、あらかじめトリミングした動画ファイルを取り込んだり、フレーム数を削ったりと、適宜調整してすっきりしたファイル作りを目指したいもの。個人的には、GIFアニメは、多少カクカク動いてこそ味があると思いますよ。
(1)ピックジフの初期画面に動画ファイルをドラッグ&ドロップすると、プレビューウインドウが開きます。フレーム数を設定して[読み込む]をクリックします。フレーム数がよくわからない場合は、[自動]にしておきましょう。
(2)スクエアに、トリミング済みの動画を使用したので、余白ができないようにカスタムサイズで調整します。スタンプ代わりに使うなら、小さめに作っておけばファイルサイズも抑えられます。
(3)動画ファイルの場合、フレーム数が多くなるので、不要なフレームはタイムラインで削除します。なぜかフレームの複数選択に対応していないのが残念。
【最適かい3】ここがキモ!
フレームに文字やステッカーを載せる
ここまでは、簡易GIFアニメ作成ソフトでも簡単に作れます。そこで、フレームにテキストやステッカーを追加して、オリジナル感を出しましょう。
テキストは、フォントを選ぶことでいろいろな表情が演出できます。また、枠線やシャドウといった簡単な効果が追加できるのもグッド。用意されているステッカーは欧米テイストなデザインですが、自分で作った画像をステッカーとして使用できるとなれば、個性に磨きがかかります。気をつけたいのは、文字やステッカーをただ追加しただけでは、すべてのフレームに配置されてしまう点。[マネージャーオーバーレイ]を使って、配置するフレームを指定しましょう。
(1)ツールバーの[テキスト]または[テキスト]パネルを開いて、テキストを入力します。[テキスト]パネルでは、フォントやサイズ、色などを指定します。
(2)ツールバーの[ステッカー]をクリックすると、サブウインドウが開くので、ステッカーを選択します。自前の画像を使う場合は[ファインダーから選択]をクリックします。
(3)[マネージャー・オーバーレイ]をクリックし、リストで配置中のステッカーや文字を選択しましょう。文字やステッカーを表示するフレームの開始と終了の番号を入力します。
実は、手持ちのソフトでもGIFアニメが作れる!?
ちょっと遊びで作るだけなら手持ちのソフトでできないの? って、思うのが人情ですよね。GIFアニメを作れるソフトは意外に身近にあるんです。写真の加工を始め、グラフィックデザインに欠かせないあのソフト。そう、アドビ・フォトショップはタイムラインフレームを使ったアニメーションも作れるんです。ここではフォトショップでGIFアニメを作る手順をざっくり紹介します。
それではフォトショップを持っていない人にあまりに不親切なので、ヒントを1つ。Macユーザなら誰もが持っている「プレビュー」でも、頑張ればGIFアニメが作れるんです。PDFのページを追加する要領で、GIFファイルに画像を追加していきます。ディレイの調整などはできませんが、単純に動くGIFやPNGファイルが作れるので、興味があれば挑戦してみてください。
(1)フォトショップで土台となるレイヤーを作成し、[ウインドウ]メニューの[タイムライン]を選択します。レイヤーを使えば、複数のオブジェクトを動かすこともできます。
(2)ウインドウ下部にタイムラインが表示されたら、[フレームアニメーションを作成]をクリックして、必要な分だけフレームを作成します。ディレイやループの設定もタイムライン上で行います。
(3)すべてのフレームを作成したら、[ファイル]→[書き出し]→[Web用に保存(従来)]を選択し、GIF形式で書き出します。書き出しサイズやループオプションは、ここでも設定できます。
【GIF】
GIFとはGraphic Interchange Formatの略で、256色を上限とする圧縮画像ファイルフォーマット。ジフまたはギフと読みます。使用できる色数が少ない分、ファイル容量が抑えられWEBアイコンなどに使用されます。
【PicGIF Lite】
記事で紹介したピックジフの簡易版で、Macアップストアで無料で公開されています。テキストやステッカーを追加する機能が実装されていませんが、それらの機能が不要な場合はライト版でも問題なくGIFアニメが作れます。
【フレームディレイ】
現在のフレームから次のフレームを表示するまでの待機時間を指します。この時間が長いほどフレームの切り替わり速度がゆっくりになります。シームレスに動画を再生したい場合は、ディレイを短めに設定します。
【プレビュー】
プレビューはPDFや画像を閲覧するOS X標準ソフト。サイドバーやコンタクトシート表示でPDFページの並べ替えや追加、削除が可能。GIFファイルも同様の操作ができますが、アニメーションの再生はできません。GIFアニメの再生にはサファリを使います。