メモに求める機能
挑発的なタイトルになってしまったが、筆者はエバーノートを初期から愛用しているし解説本を作成したこともある。ここでツールとしての優劣を語りたいわけではないが、エバーノートのほうがOS X標準の「メモ」より「高機能」であることは間違いない。
ところが、エバーノートがさまざまなユーザからの要望を取り入れて機能を増やしていくにつれ、自分自身の利用頻度がどんどん下がっていることに気がついた。使い込みが足りないとエバーノートのヘビーユーザの方々に叱られてしまいそうだが、こればかりは事実なので仕方がない。
保存したメモも再利用するのはサーバの設定などを確認するくらいで、WEBからのクリッピングなどは99%が現在では賞味期限切れになってしまった。あとから見返して思い出す内容も多いが、必要なときに調べ直すのであれば、その都度グーグル検索してもあまり変わりがないだろう。
その一方で、あまりにも機能がシンプル過ぎた標準「メモ」がOS Xエルキャピタンになってから、WEBリンクの貼り付けやチェックリストの作成、画像ファイルの添付など、各種のメディアデータを自在に取り扱えるようになり、使い勝手が大幅に向上した。当たり前だが標準ソフトなので、サファリやプレビューなどからのデータクリッピングも簡単で、iPhoneの「メモ」アプリとの連係も完璧だ。
今では調べ物や打ち合わせ、取材でもすっかり「メモ」を使うようになっている。どうやら個人的にメモソフトに求める機能は、このくらいのシンプルさがちょうどよくて、エバーノートはいつの間に使わない機能のほうが多い豪華すぎるシステム手帳となってしまっていたようだ。
ノートをメモに移行する
残る問題はエバーノートに記録していた過去のノート(の中でも重要なもの)をどうやって「メモ」にマージするかということであったが、OS Xエルキャピタン10.11.4アップデートであっさりとその問題が解決した。「メモ」がエバーノートXML形式(.enex)のインポートに対応したからだ。手順も簡単で、下図のような手順で行えばあっさりと移行が行える。
ただし、ノートやノートブックをすべて読み込むとデータが膨大でアイクラウドとの同期に時間がかかるので、移行するものはあらかじめ絞り込んで移行用のノートブックを作成しておくことをおすすめする。
もちろん、エバーノートのプレミアムアカウント(年額4000円)でOCR機能を使っていたり、PFUのスキャンスナップからの自動読み込み連携をしているような場合は、引き続き併用しても構わないだろう。
だが、筆者のようにエバーノートが三日坊主の日記帳と化してしまっているようなライトユーザや無料のベーシックプランで満足しているという人は、これを機に「メモ」ソフトへの乗り換えも検討してみる価値があるのではないだろうか。
[読み込まれたメモ]として追加された。名称は変更できるので、元のノートブックの名称と合わせておくとよいだろう。アイクラウドとの同期も自動で開始されるが、こちらは写真などが含まれていると完了までにかなりの時間を要した。
【News Eye】
「メモ」のWEBサイト機能がリンク先の情報が消えてしまうと利用できないのに対して、エバーノートのWEBクリップではリンク先の情報ごと保存できる。アーカイブするならエバーノートのほうが適しているだろう。