新機能の投入時期に変化
1月21日、マイクロソフトは同社ブログで、Mac版のオフィスインサイダープログラムの提供開始を明かした。このプログラムはユーザのフィードバックよる機能改善を目的としたもので、参加者は最新の機能を正式公開前に試すことができる。参加には、オフィスのサブスクリプションプログラムであるオフィス365に加入している必要がある。
そもそもオフィス365は、常に最新のバージョンを使えるというのが魅力の1つになっている。Mac版のオフィス2016が提供され始めたのは昨年9月のことだが、その後もオフィス365ユーザ向けにいくつかの新機能が追加されている。インサイダープログラムは、そんなオフィス365の魅力をさらに一歩推し進めたものだといえる。便利な機能であればたとえ数週間でも先に体験できるのはありがたい。
オフィスに限らず、サブスクリプションというソフトの提供方法が広がったことで、機能向上のタイミングも以前とは変わってきている。たとえばアドビシステムズではクリエイティブクラウドに移行してから、メジャーバージョンアップ以外のタイミングでも新しい機能がどんどん追加されるようになった。パッケージ版が前提の販売戦略では、新バージョンで盛りだくさんの新機能を出すことで買い替えを煽るが、サブスクリプションという販売方法ならメジャーアップデートまで出し惜しみすることなく、新機能を好きなタイミングで発表できるようになる。もちろんそれはユーザの利便性の向上にもつながる。サブスクリプションという提供方法は、メーカーにとってもユーザにとっても恩恵を生み出しているのだ。
足早な進化に期待
話をオフィスに戻そう。Mac版のオフィスインサイダープログラムの加入は至って簡単だ。オフィスのプログラムを最新の状態にアップデートすると、「マイクロソフト・オートアップデート(Microsoft AutoUpdate)」のパネル内にチェックボックスが現れる。このチェックボックスをオンにするだけで、プログラムへの参加が可能だ。提供される機能は正式発表前ということで何らかの欠陥を含む可能性はあるが、興味のある人はぜひ試してみよう。
なお、前述の公式ブログでは、Mac版インサイダープログラムと併せて、iPad版オフィスのアップデートも発表されている。すでに公開されている最新版では、iPadプロ発表イベントでデモンストレーションが行われた手書き機能が搭載されている。この機能の搭載により、ある意味iPad版のオフィスがMac版以上の表現力を持つようになった。
Mac版のオフィス2016が発表されたとき、本誌では「5年ぶりのメジャーアップデート」と登場を歓迎したが、裏を返せば以前のMac版オフィスは進化の遅いツールだった。しかし最近のマイクロソフトの動きを見ていると、今後は足早に進化を進めていきそうな期待が持てる。今後の発展が楽しみだ。
今年1月に提供されたパワーポイントの「変形」トランジションでは、オブジェクト一つ一つが個別に拡大/移動しながら次のスライドへと遷移する。こうした新機能も含め常に最新の機能を利用できるのがオフィス365のメリットだ。
【News Eye】
iPad版のオフィスは無料でダウンロードできるが、文書の新規作成や編集を行うにはオフィス365のライセンスが必要だ。オフィス365をもっとも手軽な価格で利用できるプランは「オフィス365・ソロ」で、値段は1274円/月、または1万2744円/年。