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[カメラ]スペック以上の大幅進化! 撮影体験はiPad史上最高

[カメラ]スペック以上の大幅進化! 撮影体験はiPad史上最高

スペック以上の体験

気軽に取り出し撮影できるiPhoneと比べてしまうと、iPadはその大きさゆえ、一般的に写真やビデオ撮影で使われる頻度はそれほど多くないかもしれない。しかし、携帯性で劣る分、iPadが持つ大画面は構図を把握しやすく、撮影後の編集作業も快適に行えるなどのメリットがあることを忘れてはならない。

新しいiPadプロのカメラは、背面カメラがスマートHDRに対応した。これは、iPhoen XSシリーズにも搭載されている機能で、HDR写真の仕上がりに大きな差が出るものだ。さらに30fpsまたは60fpsの4Kビデオに対応するなど、動画性能も着実に進化を重ねている。加えて、前面カメラにトゥルーデプスカメラを搭載したことにより、iPadで初めてポートレートモードの撮影ができるのも大きなポイントだ。

近年のアップルのカメラシステムは、ニューラルエンジンによる機械学習を含めた高度な画像処理を行っている。そのため、スペック以上に美しい写真が撮れるようになっており、撮影体験にも大きな違いを感じられる。

背面カメラは出っ張りアリ

背面には5枚構成のシングルカメラとクアッドLED True Toneフラッシュを搭載。レンズが出っ張っているが、Smart Keyboard Folioを装着すると、ケースの厚みと相殺され目立たなくなる。

TrueDepthカメラを搭載

前面にはiPhone Xシリーズと同じTrueDepthカメラを搭載。背景をぼかすポートレートモードや、照明エフェクトのポートレートライティングに対応する。アニ文字やミー文字、Face IDでも使われるカメラだ。

ポートレートは前面のみ

iPhone XRでは、背面カメラがシングル構成でもポートレートモードが使えたが、iPad Proの背面カメラはポートレートモードをサポートしない。前面のTrueDepthカメラのみでポートレートモードが使用できる。

カメラの主なスペック比較

今回の12.9インチモデルと11インチモデルでは、カメラ性能に差はない。10.5インチモデルと比べると、前面カメラのスペックアップが特徴的だ。背面カメラは新たにスマートHDRに対応する反面、光学式手ぶれ補正が廃止された。

iPadシリーズのカメラを徹底比較

プロシリーズに軍配

現行iPadシリーズでは、写真の写りにどれくらいの違いが出るのだろうか。今回は新iPadプロ、2017年発売の10・5インチiPadプロ、2018年3月に発売した第6世代のiPad(以下、iPad)、2015年発売のiPadミニ4の4モデルでカメラ性能を比較した。なお、新iPadプロの11インチと12・9インチの間にはカメラ性能に差がないため、ここでは11インチモデルを使用している。

さまざまなシチュエーションで試してわかったのは、まずiPadプロシリーズ(12・9インチ、11インチ、10・5インチ)と、それ以外のiPad2台(iPadとiPadミニ4)との間に、仕上がりの大きな差があることだ。特に、光量の少ない場所での撮影は違いが一目瞭然で、iPadプロシリーズでは夜景をより明るく、美しく撮影できた。iPadとiPadミニ4はフラッシュを搭載していないため、暗所での撮影も厳しい。夜景やフラッシュでの撮影機会が多い人は、iPadプロのいずれかの機種を選択したほうが無難だろう。

スマートHDRの差

また、新iPadプロと10・5インチiPadプロの間でもカメラ性能に差を感じた。前者は全iPadシリーズの中で、iPhone XS/XS Max/XRのみが搭載する「スマートHDR」に唯一対応している。そのため、HDR写真の仕上がりが圧倒的に美しかった。最新iPhoneと同等以上のチップを搭載する新iPadプロだけに、ニューラルエンジンなどの処理が効いているのだろう。ただ、光学式手ぶれ補正を搭載していないため、手ぶれにはやや弱い印象を受けた。

最新チップによる高速処理のおかげか、プレビュー画面も遅延やノイズが少ない。そのため、実際の景色をそのまま写真で切り取っているような気分になれる。仕上がりの差だけでなく、撮影体験そのものがアップデートした印象だ。

まとめると、新iPadプロには、iPhone XS/XS Max/XRでの撮影体験に近いものを感じた。iPhone X以前のモデルを使っているユーザなら、新iPadプロのカメラ性能の高さにきっと驚くだろう。

風景(昼)

新iPad Proでは木々が青々と写っており、目を引く仕上がりとなった。より色鮮やかな絵作りがなされている印象だ。水面に映るビル群もつぶれることなく、正確に描写されている。

風景(夜)

オフィスビル内の照明までくっきりと写し出している。右手ビル上階のゴールドがかった照明も、実際の色味に近い。10.5インチモデルとの最大の違いはプレビュー画面。ノイズが乗らず、シャッターを切る前から明らかにカメラシステムが進化していることがわかる。

アップ

花びらのしわから色ムラまで精細に描写している。写真を拡大すると、雄しべの先にある「やく」の凸凹まで、潰れることなくしっかりと写していた。また他モデルに比べて、より鮮やかな発色に処理されているように感じた。

HDR

明暗差の激しい場所で撮影。新iPad Proに搭載されている「スマートHDR」のクオリティの高さは一目瞭然だ。黒つぶれすることなく、石垣ひとつひとつが明るく写っている。緑の発色も正確だ。

フラッシュ

iPadとiPad miniには、フラッシュが搭載されていない。新iPad Proではフラッシュの反射による白飛びもなく、フラッシュ撮影とは思えない仕上がりだ。

セルフィー

もっとも大きな違いは「毛」の描写だ。拡大するとまつげが1本1本くっきりと写っていた。髪の毛も潰れることなく、光の反射も受けてつややかだ。新モデルのインカメラは、ポートレートモードにも対応している。

手ぶれ

シャッターボタンの押し込みで起きやすい手ぶれを想定してテスト。光学式手ぶれ補正を搭載する10.5インチiPad Proがもっとも手ぶれが少なかった。しかし、補正処理の影響でシャッターが切れるのはかなり遅い。

動画

新型モデルは音質がクリアなことにまず驚いた。再生するときも、4つのスピーカが使われるため臨場感がある。新しいiPad Proは4Kビデオ撮影(30fpsまたは60fps)に対応するため、高品質のビデオ撮影が可能だ。