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Vision Pro専用ゲーム「Shuriken Survivor」がシュシュっと参上! 気持ちいい手裏剣アクションを、ひと足先に体験してきた

著者: 関口大起

Vision Pro専用ゲーム「Shuriken Survivor」がシュシュっと参上! 気持ちいい手裏剣アクションを、ひと足先に体験してきた

写真●Graffity

Vision Pro向けの国産ゲームがさっそく登場

本日、日本での発売が開始されたApple Vision Pro。それと時を同じくして、“ARエンタメ”企業「Graffity」より、専用ゲームタイトル「Shuriken Survivor」がリリースされた(買い切り500円)。

「Shuriken Survivor」は、その名のとおり、手裏剣(Shuriken)を投げて戦うシューティングゲームだ。

Shuriken Survivor

【開発】
Graffity
【価格】
500円

Meta Questシリーズなどのゴーグル型デバイスは、操作にコントローラを必要とする。一方、Vision Proはハンドジェスチャに対応しており、「Shuriken Survivor」はそれをフルに活かしたゲームを体験できる。

本記事では、ひと足先に「Shuriken Suvivor」を体験したレポートをお届けしよう。

STARTと書かれた的に向かって手裏剣を飛ばす。命中するとゲームがスタートする。

「Shuriken Survivor」を開発したGraffityとは?

ゲームの体験レポートの前に、同タイトルをリリースした企業について触れておきたい。

「Shuriken Survivor」は、日本のスタートアップGraffity株式会社によって開発された。同社は、ARゲーム事業を中心に、AR新規事業開発のサポート、Vision Pro向けアプリの開発支援事業を行うARエンタメ企業だ。

同社が提供するARシューティングゲーム「ペチャバト」は、累計25万ダウンロードを記録している。

米国でのVision Pro発売直後にリリースした「Ninja Gaze Typing」も興味深い。いわば空間コンピュータ版の「特打」だ(最近で言うと「寿司打」)。Vision Proで採用された眼と指によるタイピングの精度と速度を、ゲームを楽しみながら高められる。

視線と指による入力は慣れが必要なため、楽しく学べるサービスは貴重だ。

Vision Proによる“実在感”がゲームに緊迫感を生み出す

「Shuriken Suvivor」は、迫り来る忍者から自身の城を防衛するゲームだ。ゲームをスタートすると、目の前に現れる鳥居からワラワラと忍者が登場する。

ここでまず驚いたのが、忍者たちの“実在感”。極めて高精細なVision Proの表示性能が遺憾なく発揮され、キャラクターデザインはポップなものの、迫り来る忍者にスリルを感じる。

続々と登場する忍者が、足元にまで迫ってくる。

こればかりは、実際にプレイしてみないと伝わらないだろう。非常に口惜しいが、画像や動画で見るのとは段違いの“実在感”だということを強調したい。

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手裏剣だけで城を守り、生き抜く! まさに「Shuriken Survivor」

攻撃方法は単純で、両手を擦る、いわゆる手裏剣を飛ばすポーズで忍者を狙い撃てばいい。素早く擦ると手裏剣の速度もアップした。

おなじみのポーズで、シュッと手裏剣を放つ。エイムがかなり重要。
敵を倒し、一定以上の経験値が貯まるとレベルアップ。3つの選択肢からアップグレード内容を選び、手裏剣をぶつけて決定しよう。

敵キャラの忍者は、家具などの障害物を認識し、避けながらこちらに迫ってくる。また、プレイヤーが飛ばした手裏剣が家具に刺さるなどの演出も、“実在感”を高める要素だ。

凧に乗って現れる敵も。しかし、それに気を取られていると足元に忍者が集まってくる。気づけば一心不乱に手裏剣を飛ばしていた。

Vision Proだからこそ実現できるリアルな体験

プレイ中、リアルタイムに空間を認識し、滑らかさを維持したままゲームの内容に反映できるのはVision Proの処理性能の高さがあってこそ。他社製のAR/VRゴーグルでは、現状、同じ体験は実現できないという。

正確なエイムが求められ、手裏剣や城、ステータスのアップグレード要素があるなど、やり込み要素があるのは好印象。繰り返しプレイしたくなってくる。プレイごとにステージや敵の登場方法が変わる、ローグライクシステムを採用しているのもポイントだろう。

ゲームが進むと、強力なボスキャラが登場する。今回の体験では、残念ながら時間が足らず戦えなかった。
“Vision Pro向け”ということにこだわり、2DのUIを排除しているのも興味深い。たとえば音量調節などは、自身の左側に配置されているミキサーのオブジェクトを使って行う。

「Shuriken Suvivor」は座ってプレイすることを前提として作られている。VR/ARゲームというと、体を動かしてアクティブにプレイすると思いがちだ。だが、「立ってプレイしたほうが忍者を倒しやすくないか?」という質問に「疲れちゃいますからね」と回答されて妙に納得した。

一般的な家庭向けゲームのように座ってプレイを前提にすることで、“一過性のモノ”として消化されにくいのだろう。

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ハンドジェスチャの開発からうまれたゲーム

現在のvisionOSでは、「親指と人差し指をくっつける」というジェスチャしか提供されていない。それゆえ、タップ、ピンチイン/アウト、ホールド、以外の操作を行いたい場合は、独自にハンドジェスチャを開発する必要がある。

Graffityは、Unity向けに提供されている「XR Hand」パッケージを用いて、Vision Pro向けのジェスチャを開発した。その中で、手裏剣を投げる動作の気持ちよさに辿り着き、「Shuriken Survivor」の発想が生まれたという。

独自開発したハンドジェスチャは、「Hand Gesture Tool for Apple Vision Pro」として販売している。サムズアップ、ピースなど、その数は16種類。すでに国内外で実売実績があるという。

ゴーグル型デバイスの没入体験とゲームの難しい関係

FPSなどを除き、大ヒットゲームには人気キャラクターがつきものだ。マリオも、ポケモンも、ドラクエも、俯瞰して自身の分身であるキャラクターを操作することで自己投影し、ゲームの世界に夢中になる。

一方、Vision Proなどのゴーグル型デバイス向けのゲームでそれをするのは難しい。俯瞰するのであれば、ゴーグルで世界に没入する必要がないからだ。

その点、「Shuriken Survivor」はシステムに加えて敵キャラである“邪悪な忍者軍団”のデザインも興味深かった。“邪悪”なのに、デフォルメされたほぼ2頭身の体型とつぶらな瞳。そのチグハグ感は、キャラクターへの愛着につながるかもしれない(やられ姿も可愛らしい)。

デフォルメ加減と表情がどこか憎めない“邪悪”な忍者軍団。

著者プロフィール

関口大起

関口大起

『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_

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