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1万円で買えちゃうBeatsイヤフォン「Solo Buds」レビュー! 3つの魅力と斬新なコンセプト

著者: 山本敦

1万円で買えちゃうBeatsイヤフォン「Solo Buds」レビュー! 3つの魅力と斬新なコンセプト

Apple傘下のオーディオブランドBeatsが、6月20日に最新のワイヤレスイヤフォン「Beats Solo Buds」を発売しました。

音楽だけでなく、ファッションにも感度の高いファンに長年愛されてきたBeatsのアイテム。その新モデルを、1万2800円という価格で購入できるのは驚きです。そのことにまず価値を感じますが、今回はそれ以外の3つの側面から、「Beats Solo Buds」の魅力を解説していきます。

Beats Solo Buds

【発売】
Apple
【価格】
1万2800円

【サイズ】ケース:3.5(H)×6.6(W)×2.4(D)cm
【備考】カラー:マットブラック、アークティックパープル、トランスペアレントレッド、ストームグレイ、バッテリ:最大18時間、「探す」アプリに対応

公式サイト

Beats Soloは誕生から15年の人気シリーズ

Beats Solo Budsは、「Solo」シリーズ初の左右独立型ワイヤレスイヤフォンです。

Soloシリーズといえば、Beatsが創立された翌年の2009年に登場したヘッドフォン「Beats Solo」から始まり、以降、多くのアメリカを代表するミュージシャンやアスリートに愛用されてきました。

Beats Soloシリーズは誕生当初からエネルギッシュなサウンドと鮮やかなカラーリングを特徴とするアイコニックなデザイン、そしてコストパフォーマンスの高さが人気を集めています。

約15年の時を経て誕生したBeats Solo Buds(以降、Solo Buds)も、シリーズの特徴を受け継いだワイヤレスイヤフォンです。当時のSoloシリーズと大きく異なる点は、2014年にAppleがBeatsを傘下のブランドに収めてから、両社が一緒に培ってきた先進的なオーディオ技術が注入されたことです。

サウンドのチューニングもそれまでの低音重視の傾向から変わり、どんなタイプの音楽も心地よく楽しめるようにバランスが重視されました。

Soloシリーズのヘッドフォンは、耳に乗せるように装着するオンイヤースタイルを基本としています。

今年の5月にはワイヤレスヘッドフォンの「Beats Solo 4」が発売を迎えたばかりですが、矢継ぎ早にワイヤレスイヤフォンのSolo Budsが登場しました。4色あるバリエーションのうち、筆者はBeatsのブランドカラーであるレッドのモデルを借りて試しました。ケースは個性的な透明の「トランスペアレント レッド」です。

ケースは透明な赤色。Beatsらしいスタイリッシュなカラーリングの「トランスペアレント レッド」のモデルをテストしました。

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ケースからバッテリを排除する、Beats Solo Budsの斬新なコンセプト

Solo Budsには3つの大きな特徴があります。それぞれを詳しく解説していきましょう。

まず1つ目は、小ささです。実機を手にすると、おそらく誰もがそのコンパクトさに驚くでしょう。片手に心地よく収まるサイズ感は、Beatsの左右独立型ワイヤレスイヤフォンの兄貴分である「Beats Studio Buds+」のケースよりも40%ほど小さくなりました。

AppleのAirPods Proのケース(右)と比べても断然スリム。縦幅もSolo Budsのほうがスリムです。

ケースの中には、Studio Buds+とほぼ同等サイズのイヤフォン本体が心地よく収まっています。ケースの中に入れたまま、両イヤフォンの側面にあるリモコンボタンを3秒ほど長押しするとBluetoothペアリングモードがオンになります。

ほかの左右独立型ワイヤレスイヤフォンに比べて、Solo Budsのケースがこれほどまでに小さく軽い理由は、充電機能を持たないからです。

Solo Budsはケースから充電機能を削ぎ落とした分、イヤフォン本体のバッテリ性能がパワフル。Studio Buds+よりも大きなバッテリを内蔵し、イヤフォン単体で約18時間の連続駆動を実現しています。なお、Studio Buds+が対応する連続駆動は一般的な左右独立型ワイヤレスイヤフォンの仕様に近い約6時間です。

ケースにバッテリを内蔵しませんが、iPhoneにiPad、Mac、そのほかのスマホやPCからイヤフォン本体へのパススルー充電に対応します。

イヤフォン内蔵のバッテリだけで、バッテリ搭載ケースを使う場合と同程度以上のスタミナが確保できる。それならケースを最小限にして「持ち運びやすさ」を優先するべきという、Solo Budsの潔く割り切ったコンセプトはとても斬新です。

しかも、イヤフォンのサイズをコンパクトに抑えたまま、長時間駆動に対応したことは大きな魅力と言えるでしょう。

なおイヤフォンのバッテリ残量は、ペアリングしたスマホの設定画面、または専用アプリから確認ができます。使い方については後述します。

Beats Solo Buds専用設計のドライバによる鮮やかなサウンド

2つめの特徴は独自開発のドライバを搭載して、原音を忠実に再現するバランスの良いサウンドを実現していることです。

Beatsは、Appleとの共同開発によってヘッドフォン・イヤフォンの心臓部であるドライバの開発にも力を入れてきました。Solo Budsは、8.2mm口径の振動板を採用する専用設計のダイナミック型ドライバを搭載。ドライバから生まれる音がまっすぐ耳に届くよう、ノズルはドライバと平行に配置しています。

ドライバの形状などの内部構造は、オフィシャルの動画でも確認できる。

5月に発売されたワイヤレスヘッドフォンのSolo 4や、ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスイヤフォンのStudio Buds+も含め、近年のBeatsのヘッドフォン・イヤフォンはバランスの良いニュートラルな音づくりを特徴としてきました。

iPhone 15にペアリングしてApple Musicで配信されている音楽を試聴しました。

Solo Budsはよりミドルレンジにフォーカスしている印象です。ボーカル、ピアノやギターが演奏するメロディが活き活きと映え、ボーカルもののロック・ポップス、ジャズピアノの楽曲にとてもよく合うと筆者は感じました。

ノイズキャンセリング機能を持たないので、低音域がややあっさりとした印象を受けるかもしれませんが、パッケージに付属するXS/S/M/Lのイヤーピースの中から、耳のサイズに合うものを選んで聴き直してみてください。

ピタリと耳に合うイヤーピースが見つかれば、すべての音域に等しく厚みが感じられると思います。

同梱されるイヤーピースのサイズはXS/S/M/Lの4種類。

Beatsのイヤフォンは、iPhoneとAndroidスマホ、どちらとでも使いやすい

3つめの特徴は、とてもシンプルな使い勝手を実現していることです。

iPhoneやiPadに接続すると、AppleのAirPodsシリーズと同様「設定」アプリの直下にBeats Solo Buds専用のメニューが表示されます。ここでイヤフォンのバッテリ残量数値も確認ができます。

メニューの中に入ると、イヤフォンのリモコンボタンによる操作をカスタマイズすることが可能です。万一イヤフォン本体を紛失した場合に備え、Appleの「探す」アプリにも登録できます。

iOSの「設定」アプリ内にBeats Solo Budsが表示されます。イヤフォンのバッテリ残量は、ペアリングの完了時にも確認できます。

Androidスマホの場合は、「Beats」アプリを使います。Androidでも、iPhoneと同じ機能を過不足なく利用でき、Androidの「デバイスを探す」機能にも対応しています。

Solo Budsのサウンドとシンプルな使い勝手になじんできたら、ノイズキャンセリング機能を搭載するStudio Buds+にステップアップするのもいいでしょう。

iPhoneと組み合わせて、Apple Musicの空間オーディオ対応コンテンツをダイナミックヘッドトラッキングやパーソナライズされた環境でのリスニングも楽しめる「Beats Fit Pro」もまた、Beatsの頼もしい上位モデルです。

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Solo Budsは「Beats入門」にベストなワイヤレスイヤフォン

Solo Budsはサウンドの質と機能のバランスがとても良く、完成度の高いワイヤレスイヤフォンです。

注意すべき点があるとすれば、イヤーチップによる高い遮音効果が得られるので、使用中は周囲の音が聞こえづらくなることでしょうか。屋外を移動しながら音楽を聴いたり、ハンズフリー通話に使う場合は周囲への気配りが必要です。

また、筆者はSolo Budsを空の旅にも持ち出してみましたが、飛行機の大きなエンジン音をイヤーチップによる耳栓効果だけで消すことは難しいと感じました。これは致し方のないことだと思います。アクティブ・ノイズキャンセリングと外音取り込みの機能を求める方は、BeatsのStudio Buds+やFit Proを選ぶべきです。

右がノイズキャンセリング機能を搭載するBeats Studio Buds+。Solo Budsとシーンごとに使い分けたいワイヤレスイヤフォンです。

Solo Budsは、毎日の通勤・通学の場面で気軽に使い倒せるBeatsのワイヤレスイヤフォンです。Beatsのオーディオを試してみたい方の入門機にも相応しいと思います。また、とにかく軽くコンパクトで、デザインもスタイリッシュなワイヤレスイヤフォンを探している人にとって、ベストアンサーになる1台です。

製品貸与●Beats

著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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