「キーボードマーケット トウキョー 2025」に興味本位で参加した2025年3月から、いつか自作キーボードを作ってみたいと思っていました。キーボードマーケットでは、独自配置、コンパクトサイズ、トラックボール付きのものなど、個性的なキーボードが揃っており、開発者の方に話を聞くと、そうした設計には理由があるとわかり、興味深かったことを覚えています。
しかし、自作キーボードを作るのは大変そうですし、そもそも自分に合うキーボードがどんなものなのかもわかりません。そんな中、以前「Garavity36」という自作キーボードのレビュー記事を執筆した編集部・関口の紹介で、新しく発売される自作キーボードキット「Gravity45」をメーカーのGreenKeysより提供いただきました。
「Gravity45」は、4つのSwitchをコンセプトとしています。そのうちの一つ「Switch the Way You Type」の、“普通のキーボードからちょっと小さいキーボードへのチャレンジ”を、今回実践してみようと思います。実際に組み立てて、使用感をレビューしていきます。
まずはキーボードの組み立てから
さっそくキーボードキットを組み立てていきます。提供いただいたキーボードキットは、アクリル素材のものと3Dプリンタで出力された樹脂素材のものの2種類あります。樹脂製のものは非売品で、プレミアムな位置づけのアルミニウム素材の製品のレプリカです。

組み立てにはピンセットとドライバーが必要なので、もし持っていなかったら100円ショップなどで揃えましょう。
まずはスタンダードなアクリル素材の方から組み立てていきます。なお、アクリル素材のキットにはハイプロファイル(一般的なキーストロークの長さ)に加えて、ロープロファイル(比較的キーストロークが短い)用のキットも用意されています。

キースイッチは別途購入が必要ですが、今回はGreenKeysよりご厚意でご提供いただきました。
まずは下面用アクリルプレートにゴム足を貼り付け、上面用のアクリルプレートにはネジとスペーサーをつけていきます。


上面用アクリルプレートと基板を重ねて、キースイッチをはめ込み、つづけてキーキャップをはめ込みます。


中央のミニアクリルプレートを設置するために上面アクリルにネジとスペーサーをつけ、二つのアクリルプレートを重ねて、ネジ止めします。


最後に上面アクリルと下面アクリルをネジ止めすれば完成です。不器用ながら1時間程度で組み立てが完了しました。

アルミニウムレプリカの樹脂素材キーボードも組み立てましたが、実行する手順はネジとスペーサーを取り付ける、キースイッチとキーキャップを取り付ける、とほとんど同じなので割愛します。
ただし、アクリル製と異なる点が一つあります。それは基板を支持する部分がクッション性のある素材でできていることです。ケース側にもポリエチレン製のクッションを貼り付けるので、ほんの少しだけ沈み込むような柔らかいタッチでタイピングできます。

これでアクリルとアルミレプリカの2つのキーボードが完成しました。

今回は提供いただいたケースを使って組み立てましたが、基板だけを購入してサードパーティ製のケースに組み込むこともできます。Gravity45はまだ販売前ですが、d.///さんなど、すでにGravity45基板に対応したケースを設計している方もいます。

作ったキーボードのキーマッピングを変更
40%キーボードとして設計された本機は、45鍵しか打てるキーがないので、どの位置に文字キーや[command]キーなどを割り当てるのかが重要です。そのために使うのがキーマッピング用のWebアプリ「Remap」。ブラウザでアクセスするだけでキーマッピングを変更できるので手軽に使えます。
USB-CケーブルでMacと「Gravity45」を接続し、Remapにアクセスし、キーマッピングを変更するキーボードをクリックします(今回はGravity-45)。

画面下部に用意されたキーを配置したい位置にドラッグ&ドロップすれば変更されます。もしくはレイアウト上のキーをクリックし、どのキーをアサインするか指定することもできます。

小さなキーボードを使いこなすうえで、重要なのはレイヤーです。レイヤーごとにキーを配置することができるので、3つのレイヤーを使うとすれば、レイヤー移動用のキーを2つアサインして、「残りの43のキー」×「3レイヤー」で総計129キーが使えます。フルサイズキーボードのキー数が100〜110程度であることを考えると十分なキー数です。
自由にキーマップを変更できることは面白いのですが、初心者としては少し困りました。スタンダードなキー配置がわからないので、コンパクトなキーボードを使っている人の記事を読んでマッピングしました。

Macでいうところの[英数]キーを長押ししている間はレイヤー1の打鍵ができ、[かな]キー長押しでレイヤー2、[スペース]キー長押しならレイヤー3という具合に、レイヤーの呼び出しも設定しています。
まだ使い込めていないので、もっと使っていくと改善点が見つかってきそうなのですがとりあえずはこれでマッピングまで完了しました。
なお、キーマッピングツール「Vial」に対応したファームウェアも、有志により開発されています。「Vial」を使えばレイヤーごとに中央のLEDの色を変更できます。ただし、このファームウェアはGreenKeysが公式にサポートはしていないので自己責任で使用してください。
40%キーボードを実際に使ってみると…
普段MacBook Proの内蔵キーボードでタイピングしている筆者。習得は難しそうだと予想していましたが、キーマップを印刷した紙と睨めっこしながら打っていくとだんだんと馴染んできました。記号はまだキーの配置を全然覚えられていませんが、テンキーと方向キーはすんなりと使えるようになりました。
レイヤー機能の利便性は目を見張るものがあり、すべてのキーをホームポジションのまま打ち込めることがこんなにうれしいことだとは思いませんでした。数字はテンキー形式で配置しているので直感的に打ち込むことができます。普段数字を打つときはどうしてもキーボードを見ないと誤タイプが発生してしまうのですが、ホームポジションのまま打鍵できるというのは大きな魅力です。
ただ、本機のタイピングで困っていることもあります。それは左右が分離していることです。私はキーボードの中央付近のキーの多く([Y]キーなど)を左の人差し指がカバーしているので、今までの運指ではタイピングできません。ただ、これは私の運指に問題があるだけなので、製品が悪いわけではありません。逆に言えばタイピングを矯正することもできるので、考えようによってはメリットとも取れそうです。
自作キーボード、スモールキーボード沼にハマる人たちの気持ちが少しわかりました。はんだ付け不要で、ドライバーとピンセットがあれば挑戦できる「Gravity45」は自作キーボード入門におすすめです。
「Gravity45」はGreenKeysのオンラインショップで2025年9月24日まで予約販売中。アルミモデルは最低受注数に達しないと販売されないため、気になる方はぜひお早めにチェックしてください。
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