世界最高峰のプロバスケットボールリーグといえば、米国のNBAだ。
渡邊雄太選手や八村塁選手の活躍もあり、日本でも盛り上がりをみせている。そんなNBA選手たちのイラストをきっかけに、多方面から人気を集めているのがグラフィックデザイナーのMQさんだ。

グラフィックデザイナー MQ
東京藝術大学美術学部デザイン科を卒業、同大学院修了。2018年より、MQ名義でNBA(米プロバスケットボールリーグ)選手などのイラストをSNSで公開する活動をスタート。「NBA Japan Games 2022」では、ワシントンウィザーズ公認の“スーパーファン”として、オリジナルグッズや公式SNSグラフィック、選手が宿泊するホテルでのギャラリー展示の制作を担当した。現在はNBAやBリーグ、Wリーグなど、プロスポーツチームのアートワークを手がける。
切っても切れなかったバスケとの縁。ブラッドリー・ビールのプレーに衝撃を受けた大学時代
「小学校から高校まで、バスケットボールに打ち込んでいました」というMQさん。高校卒業後に選んだ進路は、東京藝術大学美術学部。デザインの道を歩むこととなる。しかしバスケとの縁は切れず、友人の誘いでバスケ部に入部。それがNBA観戦の楽しさに目覚めるきっかけとなった。
「最初はチーム数やシーズンの意味すら知らなかったんです。でも、動画で見た異次元のプレーに衝撃を受け、すっかり虜になりました」
そんな中でも特に、ワシントン・ウィザーズに所属していたジョン・ウォール選手やブラッドリー・ビール選手に夢中になった。「彼らを描きたい」という創作意欲に突き動かされ、2018年にイラスト投稿用のSNSアカウントを作成。選手を描いて公開するようになる。

MQさんのイラストは瞬く間にNBAファンに浸透。ワシントン・ウィザーズの“スーパーファン”に
圧倒的な画力で選手の魅力を引き出したMQさんの作品は、瞬く間に支持を集め、ついにはNBA関係者の知るところとなった。
MQさんが“推し”を公言するワシントン・ウィザーズからは“スーパーファン”として認定。2022年9月に日本で開催された「NBA Japan Games 2022」では、オリジナルグッズや公式SNSグラフィック、選手が宿泊するホテルのギャラリー展示の制作を担当した。

現在はNBAにとどまらず、BリーグやWリーグ、インカレバスケ、さらにはNPBなどスポーツのジャンルも超えたアートワークを手がけている。さらに、ユーチューブチャンネル「バスケットボールダイナー(BASKETBALL DINER)」に出演するほか、母校・東京藝術大学でテクニカルインストラクターを務めるなど活動の幅は広い。

グラフィックデザイナー・MQが手掛ける、多彩なクリエイティブワーク
MQさんが作品制作を行っているのは、東京都・東日暮里に拠点を置くデリシャスカンパニー。建築設計をメインに、グラフィックデザイン・映像制作、経営課題などさまざまな物事をデザインで解決する総合芸術制作会社だ。
MQさんは同社に所属する唯一のグラフィックデザイナーで、商品パッケージやロゴ、エディトリアル、レコードジャケットなどのデザイン業務を担っている。ただ、現在はバスケットボール関連の仕事が7割を占めるそうだ。



最初のデジタルイラスト制作機材は、まさかのiPhone。「実は“向いているんです”」
そんなMQさんのクリエイティブ活動を支えているのがAppleデバイスだ。Mac、iPhone、iPad間ですばやくファイルを共有できるAirDropを筆頭とする連係機能は、一度使ったら手放せないという。
もっとも、NBA選手のイラストを描き始めた当初はiPhoneだけで作業を完結させていた。紙に下書きし、それをiPhoneの「カメラ」で撮影。イラスト作成アプリ「アイビスペイント」に読み込み、指で仕上げをしていたというから驚きだ。
「意外に思われるかもしれませんが、iPhoneはイラスト作成に向いているんです。指でもしっかり描けますし、画面を拡大できるので細い部分も描き込めます」

12.9インチのiPad Proと16インチのMacBook Pro。MQさんの創作をサポートするAppleデバイス
その後、より本格的な作品制作を行うために12.9インチのiPad ProとApple Pencilを購入。以降、イラスト制作アプリは「Procreate」を使用している。



最近は「Nomad Sculpt」アプリで3D作品の制作にも挑戦しているとか。同アプリは、粘土をこねているような感覚で3Dオブジェクトを作成でき、「Procreate」とも連係可能だ。影をつけるだけなら2Dのイラスト・デザインアプリでも可能だが、3Dならではの立体感が出せるという。
グラフィックデザイナーとしての業務では、M3 Pro搭載の16インチMacBook Proを使用。Adobe系アプリも快適に動作するハイスペックなマシンだ。

海を超えたクリエイティブワーク。挑戦の先にあるのは「スポーツとアートの融合」
ファン活動からスタートし、海を超えてNBA選手に認知されるまでに至ったMQさん。今後はどんな展開が待っているのだろうか。
「米国ではスポーツ選手がファッションアイコンになったり、グラフィティやデザインのテーマになったり、スポーツとアートは近い距離にあります。しかし、日本ではスポーツとアートが切り離されて語られることが多いと感じます。MQとしての活動をとおして、スポーツとアートが融合したエンターテインメントの盛り上がりに貢献したいです」
デザイン、イラスト、そして3D。幅広い表現力を武器に、MQさんの挑戦は続く。

※この記事は『Mac Fan』2025年3月号に掲載されたものです。
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著者プロフィール

山田井ユウキ
2001年より「マルコ」名義で趣味のテキストサイトを運営しているうちに、いつのまにか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。好きなものはワインとカメラとBL。