「REON POCKET」ほか、さまざまな冷却アイテムを経て辿り着いた「COOLiFY Cyber」
危険なほど暑い今年の夏(ここ数年、毎年言っている気がしますが)。8月半ばに差し掛かった今でも、少し外を歩くだけで汗が噴き出てきます。7月23日の気象庁の発表によると、「向こう3カ月の気温は高いでしょう」とのこと(つまり10月まで)。とんでもない話です。まだまだ、熱中症対策や、体を冷やすガジェットが手放せそうにありません。
とても暑がりの私は、数年前から首掛け扇風機や冷凍庫で冷やすタイプのネッククーラーを活用しています。今年は更なる対策を…ということでソニーの着るクーラーこと「REON POCKET 5」も試してみました(レビュー記事はコチラ)。
詳しい内容は記事を読んでいただきたいのですが、これがなかなか良かった。当然、酷暑の中を涼しい顔で生活できるわけではないのですが、冷却プレートなどでじんわり体を冷やしてくれるアイテムの価値を感じています。
そんな中見つけたのが、4万円超えの「COOLiFY Cyber」です。冷感のあるプレートと扇風機の機能を兼ね備えた、「ウェアラブルエアコン」とカテゴライズされるアイテムです。しかし、REON POCKET 5が1万8000円程度ということを考慮すると、かなり強気にも見えます。その効果はいかに?
COOLiFY Cyber 最強冷却ウェアラブルエアコン
なお、COOLiFY Cyberは冷房、送風、暖房の3つのモードを備えるアイテムですが、本記事では基本的に冷房モードに絞ってレビューします。
“最強冷却”を自ら謳うCOOLiFY Cyber。それも納得できちゃうパワフルな仕様
端的に言うと、「COOLiFY Cyber」は、私がこれまで使ってきたひんやり系のガジェットでもっとも冷却力が強いアイテムでした。4万円という価格など、いくつか気になる点もありますが、使って気づいたCOOLiFY Cyberの魅力を紐解いていきましょう。
魅力①:触るだけでわかる! ヒヤッと冷たいプレート
COOLiFY Cyberは、首にかけて使うタイプの“ウェアラブルエアコン”です。装着すると、首周りの約7割が包み込まれます。そして、首に触れる部分は全面が冷却プレートというリッチな仕様。そのため、電源を入れて装着するだけでかなりの冷感が得られます。
しかもジワジワ冷えるのではなく、電源を入れたら即冷えです。これは頼もしい。
電源を入れるのも、本体右側にあるボタンをワンプッシュするだけとスムースです。私個人の感覚かもしれませんが、ボタンの長押しで起動するガジェットが比較的多いせいか、ワンプッシュのスムースさに妙な気持ちよさを覚えました。当然、誤操作とのトレードオフではあるのですが、COOLiFY Cyberのボタンは小さく出っ張りもないので、そのリスクも少なめでしょう。
なお、その冷感をフルに享受するためしかたないことではあるものの、密着度はかなり高めです。首周りが一般男性程度からやや太めくらいの私は、使い始めた当初やや苦しく感じることもありました。しかし、使っているうちに可動域が広がったのか今では改善しています(慣れもあるかもしれません)。
魅力②:4箇所から噴き出すパワフルで冷たい風
ほかの首掛け扇風機とは一線を画すのが、その風量です。COOLiFY Cyberは大きく分けて4箇所の送風口を備え、熱を帯びた体に風を吹き込みます。特徴的なのは、下側、つまり服の襟元から背中に向かって搭載された送風口。服の中に溜まる熱を覚ましてくれるのはとてもいい!
また、プレートの冷感を利用しているのか風が冷たいのも特徴的。温風を送り込んでしまう、安価な首掛け扇風機との違いをここでも感じます。ただ、風量を増やすと比例して動作音も大きくなります。メーカーの公表値だと、出力最大時は58.6dBとのこと(トイレの洗浄音や1m離れたときの洗濯機の動作音が、大体60dBと言われています)。
魅力③:専用アプリによる気が利くコントロール
専用アプリ「TORRAS」を用意しており、冷却力のコントロールが可能です。
操作方法は至ってシンプル。動作させる送風口の数を選んだり、冷感の強さ(風量も連動)を選んだりするだけです。冷感はバーをスワイプすることで変更でき、「ハート」のアイコンをタップするといわゆるお気に入り登録ができます。次からは、「ハート」をタップするだけでその冷感の設定を呼び出せます。
個人的にもっとも使っているのが「AUTO」モード。メーカーサイトによると「周囲温度を検出し、理想の温度を自動で維持。温度制御は摂氏0.1度まで正確に調整可能」してくれているとか。実際、細かなコントロールがいらないので非常に楽です。
“冷却への本気度”を感じるCOOLiFY Cyberの細かな仕様
かなりタイトな密着感、気持ちいワンプッシュ起動、そして冷却ガジェットとしては珍しい専用アプリの提供にとどまらず、メーカーの“本気”を感じる仕様がほかにもあります。たとえば両側面にはディスプレイが搭載されており、現在の風量やバッテリ残量などが確認可能です。
また、排熱孔の設置場所も気が利いています。完全に外側を向いて配置されており(3カ所)、ユーザが不快感を感じることはありません。起動中、排熱孔あたりを触ると熱を持っているのがわかりますが、首周りのプレートや吹き出す風は冷たいまま。熱対策を突き詰めた設計努力が伺えます。
一方、そのパワフルな性能ゆえに重量は約495gとかなり重め(たとえばREON POCKET 5は約153g)。また、酷暑の中でAUTOモードで作動させ続けると、バッテリは1時間半もつかどうかといったところ(プレートの冷却を伴わない送風モードの場合、メーカー発表では約15.5時間の連続使用が可能)。しかし充電は速く、おおよそ1時間で80%程度チャージされました。
冷却力は間違いなし。しかし、「4万円超え」の価値はあるのか?
ここまで解説してきたとおり、COOLiFY Cyberの冷却力はトップレベルです。私が試してきた限り、もっとも冷えるといってもいいでしょう。しかしそれでも、酷暑の外出を涼しく快適に乗り切れるかというとそうではありません。これはCOOLiFY Cyberの性能がどうこうという話ではなく、日本の夏が暑すぎるのです。こまめな水分補給、冷房の効いた屋内での休憩、そして日傘などとの併用で、暑さを乗り切りましょう。
COOLiFY Cyberに4万円を出せるかどうかは、暑さにどれくらいのストレスを感じているかによると思います。冬に、いいマフラーや手袋を買ったらそれくらいの費用がかかりますしね(COOLiFY Cyberは暖房機として冬も使えるし)。私の場合、「嫌いな季節は夏」と断言するほど暑さに弱いので、断然“買い”です。予算さえあればね!
製品貸与●TORRAS
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_