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第18回 限界を超える/野呂エイシロウのケチの美学

第18回 限界を超える/野呂エイシロウのケチの美学

※この記事は『Mac Fan』2018年11月号に掲載されたものです。

先日、中国のベンチャー社長たちが30名ほど来日した。彼らは中国の大学院で勉強するMBAホルダーである。日本のマーケティングに関して話してほしいというので説明した。 

美人な通訳さんは流暢に翻訳をした。笑いも何度かとれた。英語で話すときは、三谷幸喜さんゆずりのジョークを使う。「Do you understand my English? ~ But I can’t understand my English.」というトークで笑いをとる。

講演後、名刺交換があるかなと思ったらなかった。それよりも「野呂先生のWeChatのQRコードを教えて!」と言わてしまった。残念ながら、ボクはWeChatに登録していなかった。「すでに名刺交換は古い」と言われた。さらに、「WeChatなら翻訳機能もあるし…」とも言われた。彼らは名刺交換も捨ててしまったのか!とびっくりした。WeChatをやっていないだけで、30人もの会社経営者との交流を失ってしまった。残念。もちろん今は登録している。

今の限界を超えることが大切だ。この原稿も以前よりも面白くならないか?と試行錯誤して書いている。すでに4回推敲している。

また、身体の限界にも挑んでいる。体重も15キロ以上落とした。週に2回ジムで筋肉の増量に挑み、2回はヨガをし、関節を伸ばしている。さらにピラティスで背骨の可動域を調整し、交感神経と副交感神経の刺激をしている。新陳代謝も上げようと必死である。それがボクの毎日だ。炭水化物も限界まで抜いている。コーヒーもやめた。お水ばかりである。

仕事も限界を超えることがしばしばある。今もやったことがないプロジェクトを4つ抱えている。以前のボクだったら「無理」とやめていただろう。だが、今は違う。

  「限界を超えているが、チャレンジしよう」と取り組んでいる。これを書いている最中、全米オープンテニスで錦織圭選手と大坂なおみ選手が快進撃を遂げている。直接彼らと話したわけではないが、きっと限界を超える瞬間は数多くあるはずだ。「もう無理」とやめたりしないだろう。果敢に挑戦しているはずだ。

この間、映画の「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」を見た。彼らは常に自分の限界域と戦っていた。「怒り」と「恐怖」の限界だ。

多くの人は知っているが、ボクは気が短い。非常に短い。常に怒っている。仕事中は常に怒っているといっても過言ではない。うまくいかないことに苛ついている。自分の実力のなさにムカついている。それが、ボクのエネルギーだ。

ボクは、成功者ではない。プロジェクトベースで小さな成功はいくつかある。だが、大成功はない。自分が携わった製品が地球の人口ぐらいに売れなければ大成功とは言えない。なので、毎日が失敗と怒りの連続だ。それがエネルギーの源である。

話を戻そう。スポーツをしていると、昨日できなかったことができる瞬間がある。限界を超えた瞬間だ。縄跳びが全然できなかったのだが、今は100回以上飛べるようになった。本当に苦しいが飛べている。そのうち1000回飛べるようになろうと思っている。それは限界を超えるということだ。

そんなことをしていると、仕事も限界を超えられるのではないかと思う。知らず知らずのうちにボクらは自分でガラスの天井や、限界のキャップを設けている。それを突き破らねばならない。そのために限界を超えていくのだ。せっかくの人生、限界があるのはつまらない。まだ見ぬ景色を体験しよう。

最近取材が相次ぐ。カメラマンを iPhoneで撮影するのが楽しい。

著者プロフィール

野呂エイシロウ

野呂エイシロウ

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。

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