昨日、灼熱の東京から、冬の終わりに近づきつつあるニュージーランドの、湖畔の森の自宅に戻ってきた。今日は小春日和で暖かく、テラスに設置してある〝半野外オフィス〟にて、MacBookと向き合いながらこの原稿を書いている。
さて、今日は、今年4月に体験してきたフィリピン、セブ島での英語留学について。
ちなみに、6〜7月にはインド、スリランカ、タイを回り、今年2016年の前半はアジアでの移動生活がメインとなった。
日本、韓国、台湾、そして中国やインドに続けと目まぐるしい経済成長を遂げつつあるアジア諸国。タイ、マレーシア、ベトナムなどはいうまでもなく、最近ではカンボジアやミャンマーなど、アジアにおいて、ASEANを中心に、際立った成長を見せつつある国が続々と増えている。
そんな中、実はフィリピンこそがもっとも高い可能性を秘めているといわれている。
人口が1億人を突破したフィリピンでは、平均年齢が23歳とズバ抜けて低い(日本は46歳なのでなんとその半分!)。高度経済をあと押しするためには必須の「人口ボーナス期」という、総人口に占める生産年齢(15〜64歳)人口比率とその増加率が、圧倒的に多い時期の真っ只中。それはあと40年以上続き、トータルで80年近くあるという(日本の人口ボーナス期は1930〜1995年頃で約65年間で終了)。
実は、こういった情報に関してまったく無知な状態で、ぼくはフィリピン入りした。それは意図してのこと。
インターネットを介した〝超情報化社会〟となった今、グーグルやSNSを駆使すれば、過剰なほど詳細な情報を事前に収集することができる。テキスト、画像、動画、マップ…それぞれを細かく検索する手法で、本気で情報収集すれば、さまざまな形態の情報と触れることが可能だ。でもその結果、〝五感で体感〟した気になってしまう。それをぼくは避けたいのだ。
特に昨今、世界的に有名な世界遺産や建築物などに関する、一般の人がアップする動画と、グーグルマップのストリートビューのクオリティは非常に高くなっている。そのため、実際はあくまで〝脳内でのバーチャル体験〟にすぎないのだが、〝身体でのリアル体験〟に近い感覚を得てしまう。
エッフェル塔やマチュピチュなど、長年憧れてきた場所に行ったにも関わらず「あまり感動できない」という話を、最近よく聞くようになった。それは、事前に過剰な量の情報を頭に入れすぎてしまっていたため、脳が騙されてしまい、まるで実際に来たことがあるような、ニセの「既視感」を感じてしまうためという。
予断だが、最新のバーチャルリアリティの技術に触れられたことはあるだろうか。そこには、さらに「脳を騙すためのあらゆる仕掛け」が施されており、もはや〝ほぼリアル体験〟といっていいほどのレベルとなっている。恐るべしテクノロジー、である。
話を戻そう。
「頭に入れる事前情報は最小限にして、感じることを最優先する」という、ぼくのいつもの旅のスタイルで体験した、フィリピンのセブ島での英語留学で見たこと、感じたこと、その目的。それらは、次号以降で詳しく書いてみたいと思う。
※この記事は『Mac Fan 2016年10月号』に掲載されたものです。
著者プロフィール
四角大輔
作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。