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青空文庫をiPadで読むのにおすすめ! 「i文庫HD」アプリは“自炊”にも便利

著者: 美崎栄一郎

青空文庫をiPadで読むのにおすすめ! 「i文庫HD」アプリは“自炊”にも便利

※この記事は『Mac Fan』2021年2月に掲載されたものです。

柳田國男の名著を、iPadで無料で読む今日この頃

最近、故・柳田國男さんの著書『地名の研究』を読んでいます。同書は、1937年に発行された少し昔の本。なぜ今になって読んでいるのかというと、実は先日、私がチャレンジしている“多拠点生活”における和歌山県の拠点、田辺市にある南方熊楠記念館に行ったときのこと。その際に、世界的な博物学・民俗学の巨星である南方熊楠先生を柳田國男氏が訪問した、というエピソードを知り、著書を読んでみたいなぁと思ったのでした。

私は『地名の研究』をiPadで無料で読んでいます。なぜ無料で読めているのかというと、著作権の切れた書籍をボランティアでデジタル化する「青空文庫」の仕組みを使っているから。1967年(昭和42年)12月31日までに亡くなった著者の作品は、著作権保護期間が満了していることになり、内容をそのままテキスト化して配布することが可能なのです(青空文庫の中には、一部著作権が有効な作品もあります)。

青空文庫では、WEBサイトからテキストファイルをダウンロードして読んだり、XHTMLファイルのリンクからそのままブラウザ上で作品を読んだりできるのですが、私が気に入って使っているのは、「i文庫HD」というアプリです。

i文庫HD

【開発】
DWANGO Co., Ltd.
【価格】
1000円

青空文庫を読むのに「i文庫HD」アプリが最適な理由

i文庫HDでは、青空文庫に登録されている書籍が読める機能が備わっているため、テキストファイルをわざわざ読み込んだりすることなく、アプリをインストールするだけで、たくさんの名著が読めるのです。

青空文庫だけでなく、書籍やPDFを読むのに最適なアプリが「i文庫HD」です。アプリを起動すると、画面上部に[本棚1][本棚2][おすすめ1][おすすめ2]とタブが用意されており、それぞれに表紙データが並ぶようになっています。

アプリを開いて画面下部にある[青空文庫]のタブをタップすれば、有志によって電子化された名著がズラリと並びます。画面左上の[著者別][履歴][新着本]タブを使って、お目当ての書籍を検索できます。『地名の研究』は[新着本]タブで見つけたので、約80年前の作品ですが、私にとっては“最新刊”です(笑)。

電子書籍が読めるビューワアプリはいくつかありますが、私は、i文庫HDを初代iPadの時代からずっと愛用しています。そのくらいお気に入りのツールです。

画面下の[青空文庫]タブをタップすると、青空文庫に登録されている作品にアクセスできます。左上の[著者別][履歴][新着本]から読みたい書籍を探しましょう。

書名をタップすると、[ダウンロードして読む]ボタンが表示されます。ここをタップすると、書籍にアクセスできるのです。なお、同メニューにはWikipediaへのリンクも用意されているので、「著者はどんな人だったのかな?」と知りたいときにもサッと調べられて便利です。

青空文庫にあるさまざまな名著をもっと簡単に読みたい…。

ドワンゴが仕掛ける、Kindleに負けないビューワ

i文庫HDは、今はドワンゴというニコニコ動画を運営する会社のアプリとして存在しています。もともとこのアプリの使いやすさを評価していたドワンゴの創業社長・川上量生氏が自社サービスを強化するために買収し、現在に至ります。AmazonのKindleなどに負けないビューワを作るための第一歩が、i文庫HDだったのです。

i文庫HDはPDFファイルの読み込みに対応しているので、たとえば電子化されていない作品などは、すべてPDF化してアプリに読み込んでいます。

電子で読める作品が増えた昨今、私の読書体験はもっぱら「iPad×電子書籍」。でも、中には読みたくても電子化されていない作品もあります。実は私の著作でも、電子化されていないものがたくさん。それらは、自分で裁断してスキャナで取り込んで、私的利用の範囲でPDF化しています。でも、ページ数の多いPDFは、単なるビューワアプリだと少々読みづらく…。その点、i文庫HDは電子書籍アプリと同様の動作をしてくれるので秀逸です。

特に「この機能がないと困る!」と思っているのが、余白をカットして、表示領域を拡大する機能。電子書籍の場合は文字サイズなどを自由に変更できますが、画像データとして取り込んでいるPDFでは、それができません。その点、i文庫HDでは読みやすいように余白を自動・手動で読みやすくカットできます。

読み込んだPDFの余白が気になる場合は、「余白カット」機能を使いましょう。電子書籍データは文字の拡大などができますが、PDFではそれができないので、非常に助かる機能です。

i文庫HDは、Dropboxなどのクラウドストレージとの連係にも対応しています。ですので、これらのサービスと連係させれば、PDFの読み込みも非常にスムース。また、最近私がやっているのは、本を読み始めるタイミングで表紙のキャプチャを撮ること。面白い!と思ったページも、同様にスクショ。それを標準の「写真」アプリで開き、選択して標準の「ブック」アプリに送信します。そうすれば、自動的に面白かったページのみのPDFが出来上がるので、必要なときに「ブック」アプリだけを読めばOKなのです。

画面下部の[フォルダ]タブをタップすると、各種クラウドストレージと連係できます。PDFをすべてGoogle Driveなどに保存しておけば、i文庫HDへの読み込みも楽々です。

読み込んだPDFは、画面上部の「情報」メニューからテキスト化することができます。テキストのコピーもできますし、標準の「共有」メニューからTwitterなどに投稿も可能です。

紙の本を読む機会は月1冊くらいで、残り29冊近くはすべてiPadの電子書籍か、電子化したPDFをi文庫HDで読んでます。私の読書体験も、iPadの進化とともにずいぶん変わったなぁ。

iPadで快適に小説やPDFを読むなら使い勝手の良い「i文庫HD」がおすすめです!

今回の美崎式まとめ

青空文庫の名著を読むならブラウザよりも「i文庫HD」を使うべし

余白カットや連係機能でPDFファイルも快適に閲覧

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著者プロフィール

美崎栄一郎

美崎栄一郎

ビジネス書作家・講演家・商品開発コンサルタント。『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。新刊『脱ムダ、損、残念! 今度こそ、やめる技術』(あさ出版)が発売中。

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