[5]S4チップ
新アーキテクチャを採用! これまでよりも一段と高速に
精密さをデジタルにも
アップルウォッチの心臓部にはアップルが独自に設計する「アップルSシリーズ」というチップが使われています。これは、CPUだけでなくグラフィックスやメモリ、さらにはハードウェア全体をコントロールするシステムを、1つの部品上で構成する「SiP(システム・イン・パッケージ)」と呼ばれる手法製造されています。腕時計の限られたスペースの中にすべての機能を詰め込むために設計された、まさにデジタルの「精密時計」とも呼ぶべきアップルのエンジニアリング技術の結晶ともいえるでしょう。
シリーズ4で採用された新しい「アップルS4チップ」には数多くのアップデートが加えられており、その中でももっとも大きいのはCPUだといえます。ついに64ビットアーキテクチャとなり、性能も前モデルと比較して最大2倍の性能向上を実現しました。
OSのアップデートに伴って、より高度な機能やサービスが使えるようになっているアップルウォッチ。それを支えているのは、いつの時代もこういった内部テクノロジーの絶え間ない進化なのです。
64bit CPUを内蔵するSiP「Apple S4」を搭載
極限までシンプルに設計された内部
Apple S4の中にはジャイロセンサなど数多くの部品が組み込まれており、CPUが占めているスペースはごくわずかです。このことからもApple Watchの設計には極限ともいうべき精密さと、高い製造技術が詰まっていることがわかります。
鍵となるのはSiP
Apple Watchの内部にあるチップセットはApple S4のみ。単独のSiPだけで動作するハードウェア設計を持つ製品は、世界でも類を見ません。
S4はシステムそのもの
内部技術を解説したスライドに注目すると、スピーカやマイク、心拍センサなどあらゆる部品がS4に接続されていることに気づきます。まさにシステムそのものです。
ついに64bit製品に
Apple WatchのCPUが64bitに。システム全体のパフォーマンスが向上しています。
[6]マイクとスピーカ
小さな「見直し」が大きく体験を向上させる
よりクリアに大きく
アップルウォッチに搭載されているマイクとスピーカの性能について、いったいどれくらいの人が気にかけているでしょうか。たしかにアップルウォッチ本体の通話機能はiPhoneの補助的な側面があり、よりクリアに通話したければエアポッズと接続したり、iPhoneへと通話を引き継げばよいだけの話かもしれません。
しかし、Siriへ頼みごとをしたり、メッセージの返信に音声入力を使ったりと、アップルウォッチでマイクを活用するシーンはたくさんあります。さらにウォッチOS5で新たにトランシーバー機能などが搭載されたことを考えると、マイクだけでなくスピーカも含め、これらのモジュールが今後ますます重要性を帯びてくるのは間違いないでしょう。
シリーズ4ではこういった先々の需要を踏まえて、マイクとスピーカのデザインが一新されています。マイクは反響を低減してクリアな音声で通話ができるように、配置そのものを右側へと変更。これによってスピーカのサイズは大型化し、従来の2倍近い音量を得られるようになりました。
性能向上のために配置やサイズを一新
より細かく操作可能に
内部を見ても、マイクとスピーカは完全に新しい設計になっていることがわかります。スペースの制約が厳しいApple Watchで、こうした配置変更を実現した裏には、私たちの想像を超えた努力があるのでしょう。
マイクはデジタルクラウン側に移動
Series 4に搭載された新しいマイクは、デジタルクラウンとサイドボタンの間に配置されています。これによって、手首を持ち上げたときにより口元に近い自然な位置になっています
スピーカは横2段に変更
スピーカは従来よりも幅が広くなっています。それに対応するようにケースに空けられたスリットも、縦2段から横2段へとデザインが変更されています。
[7]心拍センサ
ついに本格参入が始まったAppleの医療機器戦略
健康を担う時計へ
アップルウォッチと「ヘルスケア(健康)」は、切っても切れない関係にあります。本体背面にある心拍センサは光電式容積脈波記録法(フォトプレチスモグラフィ)という手法で心拍数を計測し、肌にセンサが程よく触れていれば測定可能という手軽さと、その読み取り精度の高さもあり、2015年の初代モデル発売直後から注目を集めてきました。
加えて、前OSであるウォッチOS4から搭載された「心拍数」アプリによって、定期的に心拍数の測定・確認が可能になりました。このアプリには安静時や歩行時などのシチュエーションの判定機能だけでなく、あらかじめ設定した心拍数値を上回り続けた場合に通知をしてくれる「高心拍」機能も備わっています。この機能のおかげで心房細動などの異常を発見でき、命が助かったという事例も数多く報告されているほどです。
そんな中、シリーズ4ではついに「ECG(心電図)」がハードウェアに搭載されることになりました。この機能が、従来の心拍数トラッキングと異なるのはFDA(米国食品医薬品局)から正式に「医療機器」としての認定を受けている点です。ただし、現時点ではアメリカ以外の国でECGアプリが提供されるかどうかは未定になっています。
ともあれ、ECGの搭載はアップルが「ヘルスケア」と「メディカル(医療)」にこれまで以上に真剣に向き合っていることを物語っています。これからアップルウォッチが世界中からさらに注目を集めることは間違いありません。
プロフェッショナルな心臓のパートナー
心拍センサも第2世代へ
Apple Watchの心拍数センサは緑色LEDライトと感光性フォトダイオードを組み合わせて、手首を流れる血液の量を検出しています。Series 4に搭載された第2世代ユニットでは、この機能が大幅に小型化し背面中央部分に集約して格納されています。
心臓の異変は手首で察知
心拍数は高すぎると危険ですが、同様に低すぎても「徐脈」と呼ばれる不整脈の兆候が疑われます。Apple Watchはそのどちらも検知することが可能です。
ECGは2つのセンサを利用
ECGによる計測のメカニズムは、Digital Crownと背面のクリスタルの中の新しい電気心拍センサ内蔵された電極を利用して行なわれています。
ECG測定はデジタルクラウンをタッチ
ECG(心電図)アプリの使い方は、Digital Crownに30秒間触れるだけ。この簡単なステップで心調律が分類され、結果を記録することができます。計測結果は自動的にヘルスケアアプリに同期されるほか、その記録はグラフ化され、PDFとして書き出すこともできます。
[8]転倒検知
常に身につけているからこそまさかのときに頼れる存在に
ユーザの事故に気づく
アップルウォッチには加速度センサやジャイロスコープなど、身につけている人がどんなアクティビティ(動き)をしているのかを計測するための部品が豊富に組み込まれています。これらは、ランニングやジムなどでの器具を使ったトレーニングなど、さまざまなワークアウトの記録を残すためにも積極的に使われています。
シリーズ4ではこのセンサがさらに強化され、より高い精度でのデータ検出が可能になりました。これにより新たに搭載された新機能が「転倒検出」です。高いところから落ちたり、床で滑って転んだり、何かにつまづいて強く転倒したときなどに、アップルウォッチが自動的にユーザの状態を検出してアラートを画面に表示してくれます。そして画面からすぐに緊急通報サービスに電話をかけることができます。
さらに、60秒たってもユーザの反応がない場合は緊急電話が自動的に発信され、緊急連絡先に登録された人にメッセージを送信する仕組みも備わっています。アップルウォッチを着けていれば、万が一の事故の際に、大きな助けになるのです。
モーションセンサを活用した新しい安全
緊急機関にSOS
Series 4を着けた状態で転倒すると、画面上にアラートが表示されて確認が行われます。ここで緊急サービスなどにすぐに電話をしたり、アラートの解除を行うことができます。
落下やスリップも検知
転倒検出は何かにつまづいた「転倒」だけでなく、一定の高さからの「落下」や滑って転んだ「スリップ」も含みます。
自動で通報も可能
転倒し、装着者が60秒以上反応がない場合、Apple Watchは緊急SOSを自動的に実行します。このとき、ヘルスケアに緊急連絡先が登録されているときは、その相手にもメッセージが送信されます。
呼吸アプリを文字盤に設定
watchOS 3から追加された「呼吸」アプリ。これにより一日を通して休憩したり、リラックスしたり、マインドフルネスを実践する時間を持つことができ、ストレスの軽減と健康全般の向上に役立ちます。ガイドに従っておだやかな呼吸をくり返すことで心を落ち着かせることができるこのアプリが、watchOS 5からは文字盤に設定できるようになりました。手首を上げるだけで起動するので、手軽に使うことができます。