【実践1】ウィンドウズの知識をしっかり身につけよう!
ウィンドウズを手に入れる
仮想化ソフトを使ってウィンドウズ環境を構築するには、ウィンドウズOSを用意しなければなりません。最新版のウィンドウズ10には、一般消費者向けの「ホーム(Home)」とスモールビジネス向けの「プロ(Pro)」、モバイル向けの「モバイル(Mobile)」、企業向けの「エンタープライズ(Enterprise)」、教育機関向けの「エデュケーション(Education)」という5種類のエディション(版)があります。特殊な用途でない限りは、ホームを選んで問題ありません。アップデートのタイミングを任意に変更したり、離れた場所からのリモート接続、接続したUSBやCDをロックするなどの機能が必要であればプロにしましょう。
さらにホームとプロは、パッケージ版とDSP版、ダウンロード版があります。パッケージ版はPCショップや家電量販店で購入できるものです。DSP版は自作PCや仮想環境へのインストール向けで、パッケージ版より割安で入手できます。詳しくは下の表を参考にしてください。
Windows 10 Home/Proの各おすすめ度
PCショップによっては、安価なメモリや拡張カードと一緒にDPS版を販売しているケースもあります。Macでは使えないパーツが一緒でも、結果、パッケージ版より安くウィンドウズを入手できるのであれば検討の価値ありです。ただしDPS版は、マイクロソフトのサポート窓口を利用できません。問題が発生した場合は、DSP版の購入先に問い合わせる必要があります。
ウィンドウズのライセンスについて
ウィンドウズを使うには、まず最初にライセンス認証(マイクロソフトのソフトウェアライセンス条項で、許可されたデバイス数を超えていないことを確認する)という手続きが必要です。仮想化ソフトで使用する場合も同様で、ウィンドウズをインストールしたあとに、ライセンス認証を行います。
通常のウィンドウズ10で許可されているデバイス数は1となっており、Macの仮想化ソフトで使う場合も、1デバイスにカウントされます。よって、仮想化ソフトとブートキャンプの両方でウィンドウズ10を使う場合は、それぞれ別のデバイスとして扱われるため、2つのウィンドウズ10が必要になります。
ライセンス認証はデバイスと紐付けされているので、デバイスが変わるとライセンス認証が取り消され、再度認証し直す必要があります。仮想化ソフトを別のものに変えたり、仮想化ソフトをインストールしてあるMacが変わった場合も同様に認証をし直しましょう。
ライセンスが正しく認証されているかはウィンドウズの画面で確認できます。ウィンドウズ10の場合は、ウィンドウズボタンをクリックして[設定]を選び、[更新とセキュリティ]の[ライセンス認証]をクリックします。
ウィンドウズのアップデート
OS X同様、ウィンドウズにも不具合の改善や機能追加などのアップデートがあります。セキュリティの脆弱性を対象としたケースもあるので、できるだけ迅速にアップデートを行うことをおすすめします。アップデートする際には、更新プログラムをダウンロードしてインストールする必要があります。それはもちろん仮想環境で使用しているウィンドウズにも同じことがいえます。
ウィンドウズをインストールしたとき、特に設定を変更せず推奨どおりに進めてあれば、新しい更新プログラムが提供されているか定期的に確認してくれます。必要な更新プログラムが見つかった際には、自動でダウンロードしてインストールするように初期設定されているはずです。もしも、勝手にダウンロードしたりインストールしてほしくないという場合は、更新プログラムのインストール方法を変更しておきましょう。設定の方法は下に記載しましたので、確認ください。
また、更新プログラムがインストールされてウィンドウズが最新の状態になっているかどうかは、設定画面上で確認することができます。ここでは、まだダウンロードやインストールしていない更新プログラムがあるかのチェックも行えます。
ウィンドウズボタンの[設定]から[更新とセキュリティ]を選んで、[Windows Update]をクリックすると、更新状態の画面になります。ここで最新の状態か確認できます。[更新プログラムのチェック]をクリックすれば、新しい更新プログラムがあるかを確認できます。
[更新オプション]をクリックすると、更新プログラムのインストール方法を変更できます。ウィンドウズ以外のマイクロソフト製品の更新プログラムを入手するかどうかや、更新履歴なども表示できます。
OS Xのアップデート
仮想化ソフトを使用する際は、OS Xのバージョンにも注意しましょう。通常のソフト同様、仮想化ソフトにも動作環境があります。古いバージョンのOS Xだと、動作しない仮想化ソフトもあるので、事前にOS Xをアップデートしてく必要があります。
Macのモデルによっては、最新のOS Xにアップデートできない機種もあります。この点も注意が必要です。まず最初にMacのシステムやハードウェアを確認しておくことが重要です。
仮想化ソフトとして代表的なパラレルス・デスクトップとVMウェア・フュージョンの最新版の動作環境を比較してみました。パラレルスならOS X 10.7や10.8でも使えますが、VMウェアはOS X 10.9以降でないと動作しません。
エンタープライズ評価版について
ウィンドウズ10のエディションで触れたエンタープライズ版は、マイクロソフト曰く『ITプロフェッショナル向けの機能を提供することで、大規模および中規模の組織のニーズに対応するよう設計された」製品です。そのため、正式導入の前に検証できるよう、評価版を提供しています。企業のIT担当者やプロフェッショナルを対象にしていますが、手順を踏まえてダウンロードすれば個人でも使えます。評価版なので90日間という期限はありますが、ウィンドウズ10が無料で試せます。
あくまでもITプロフェッショナル向けに設計された評価用ソフトなので、マイクロソフトはそれ以外のユーザにはインストールを勧めていません。試用する場合は、各自の責任で行ってください。【URL】https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-windows-10-enterprise
ウィンドウズでもアイクラウドは使える
アップル純正のクラウドサービス・アイクラウド(iCloud)はウィンドウズでも利用できます。アップルのWEBサイトからウィンドウズ用のアイクラウドをダウンロードしましょう。ウィンドウズ版のアイクラウドでは、写真やメール、ブックマークのほか、「アイクラウドドライブ」も利用できます。インターネットエクスプローラやマイクロソフト・エッジなどWEBブラウザ経由でiCloud.comにもアクセスできます。またウィンドウズ10では、標準のメールやカレンダーでアイクラウドアカウントが利用できます。
ウィンドウズ用のアイクラウドは、アップルのサイト(https://support.apple.com/ja-jp/HT204283)からダウンロードできます。iTunesと一緒にインストールされる「Apple Software Update」からも入手できます。
ウィンドウズのアイクラウドで設定できるのは、アイクラウドドライブと写真、メール、ブックマークだけです。ウィンドウズには「写真」アプリはないので、「ピクチャ」フォルダの中に用意された「iCloud Photos」で写真をアップロード、ダウンロードします。
アイクラウドドライブを利用すれば、MacやiPhone、iPadとファイルやデータを受け渡しできます。アイクラウドドライブには、エクスプローラのナビゲーションウィンドウ(サイドバー)にあるクイックアクセスからアクセスできます。
【実践2】ブートキャンプでウィンドウズを入れてみよう
MacをPCとして利用できるブートキャンプ
ブートキャンプでウィンドウズをインストールするには、USBメモリ、ウィンドウズのインストールディスクイメージ、そして32GB以上のMacの内蔵ストレージの空き容量が必要です。
作業自体は、OS Xにあらかじめインストールされている「ブートキャンプ・アシスタント(Boot Campアシスタント)」で行います。これを使って、Macの内蔵パーティションを分割してウィンドウズ用のスペースを作り、そこにウィンドウズOSをインストールする手順になります。なお、ウィンドウズを動かすためには、各種ドライバやコントロールパネルをまとめた「ウィンドウズサポートソフトウェア」も必要です。こちらもブートキャンプ・アシスタントでダウンロードします。
Mac
最近のMacであれば、どのシリーズでも利用できますが、32GB以上の空き容量が必要です。
Boot Campアシスタント
ブートキャンプ・アシスタントは、標準ソフトとしてインストールされています。ランチパッドから、[その他]を開いてみましょう。
USBメモリ
容量8GB以上が必要です。ブートキャンプでウィンドウズをインストールするときに必要で、インストール後は必要はありません。
ウィンドウズOS
現在はISOイメージファイルになります。DVDメディアで入手した場合も、公式サイトからディスクイメージをダウンロードしてください。
インストールの準備
ブートキャンプアシスタントを起動します(ファインダから起動する場合は、[アプリケーション]フォルダ内の[ユーティリティ]フォルダにあります)。[続ける]をクリック。
インストール用のUSBメモリを作成します。図のように、2つのチェックが入っているのを確認して[続ける]をクリックします。すでにインストール用のUSBメモリを作成済みの場合は、これらのチェックを外します。
[Windowsインストール用の起動可能なUSBドライブを作成]が始まります。[選択]をクリックして保存してウィンドウズのISOイメージファイルを指定します。
ウィンドウズファイルがUSBメモリにコピーされたあとで、ウィンドウズサポートソフトウェアがダウンロードされます。なお、USBメモリはフォーマットされる(データがあった場合も消去される)ので注意してください。
ここでアカウント認証が求められます。管理者パスワードを入力して[ヘルパーを追加]をクリックしてください。
内蔵ストレージをパーティション分割します。[OS X]と[Win
dows]の境界線をドラッグして容量の配分を決定します。[インストール]をクリックするとMacが再起動します。
ウィンドウズのインストール
内蔵ストレージの分割作業が済むとインストールプログラムが起ち上がるので、キーボードや言語を選び、製品版を使うときはプロダクトキーの入力を行います。
次に、前ページで作成されたブートキャンプパーティションをフォーマットします。このとき、パーティションを間違えないようにしてください。OS X領域をフォーマットしてしまうと、バックアップがない限り復元できません。
データのコピーが終わったら各種設定を行い、再起動するとようやくデスクトップが表示されます。ここで、仕上げとしてウィンドウズサポートソフトウェア(画面上では「Boot Campインストーラ」)をインストールします。これで完了です。
パーティションをフォーマットする
USBメモリ内のウィンドウズセットアッププログラムで起動します。言語などを選んで[次へ]をクリックします。
ウィンドウズのライセンスを購入している場合はプロダクトキーを入力します。評価版で試すときはインストールするOSを選びます(図はウィンドウズ10エンタープライズ評価版)。
ウィンドウズのライセンス条項を読んで[同意します]にチェックを入れて[次へ]をクリックします。
ウィンドウズのインストール場所をフォーマットします。[BOOTCAMP]を含んだパーティションを選び[フォーマット]をクリックします。
インストールの開始
インストールが開始されます。ファイルのコピーが終わったあとにもいくつか作業が進行するので終了するのを待ちます。
ウィンドウズ用のアカウントを作成します。ユーザ名とパスワード、パスワードのヒントを入力します。次に音声アシスタントの「Cortana」の設定が表示されます。これはあとで設定することもできます。
ようやくデスクトップが表示されます。ブートキャンプ・インストーラが開くので、これを実行してください。
ウィンドウズ10の使い方
インストール中に作成したアカウントでウィンドウズにサインインします。ロック画面のクリックでパスワード入力が可能になります。
ウィンドウズをインストールすると再起動時にウィンドウズが選ばれています。切り替えるにはタスクバーから[OS Xで再起動]を選びましょう。
ブートキャンプコントロールパネルでも[起動ディスク]が選べるようになっているほか、ここではMacのハードウェアの設定が行えます。
[キーボード]では、ファンクションキーの設定、[トラックパッド]ではマルチタッチジェスチャーの設定が行えます。ただし、ピンチイン/アウトなど特殊なジェスチャーは対応していません。
ウィンドウズからOS Xのパーティションはアクセスできません。ファイルをやりとりするにはUSBメモリか「ドロップボックス」などのクラウドストレージを使うといいでしょう。
レティナディスプレイでは、ドットバイドット表示するとあらゆる要素が細かすぎるので、ウィンドウズのディスプレイの設定で[テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する]のスライダを150~200%にするといいでしょう。
【認証】
仮想化ソフトによっては、ウィンドウズ環境を移行できるものもあります。この場合もライセンスが移った時点で、それまで使っていたデバイスでのライセンス認証が取り消されます。
【2段階認証】
アイクラウドで2ステップパスワード(2段階認証)を設定していると、ウィンドウズ10の標準メールやカレンダーにアイクラウドアカウントを設定しても同期されません。アップルIDのWEBサイトの[セキュリティ]でアップ用のパスワードを生成して、それを利用しましょう。
【エラー】
パーティションの分割でエラーが出てしまうことがあります。そんなときは、Macを再起動して[シフト]キーを押し続けるセーフブートを試してください。これでダメな場合は内蔵ストレージの初期化が必要かもしれません。
【起動ディスク】
Macの電源を入れて[オプション]キーを押し続けることでスタートアップマネージャの画面になり、起動するOSを選択することができます。デフォルト設定ではないOSで起動したいときに便利です。