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アップル公式の認定資格が一新!ただし、一般には高いハードル!?

著者: 海老原昭

アップル公式の認定資格が一新!ただし、一般には高いハードル!?

Photo by iFixit 【URL】https://jp.ifixit.com

修理スタッフの認定資格

今回日本で受験できるようになった「アップルケアサービス認定資格」は修理技術者用の資格で、Mac向け、iOSデバイス向けの2種類の資格がある。Mac向けの試験に合格すると「Apple Certified Mac Technician(ACMT) 2016」、iOSデバイスの場合は「Apple Certified iOS Technician (ACiT)2016」という資格が与えられる。

この資格を持たない技術者がアップル製品を分解した場合、保証期間内であってもその製品は保証対象外になってしまう。つまり、アップル製品の修理を仕事にしたい人は、まずこの資格を持っていることが大前提なのだ。ただし、この資格を取っただけで正規の修理店を開けるわけではない。現在、アップル製品の修理を行う店舗は多数存在するが、アップル以外で正規の修理を行える店舗は「正規サービスプロバイダ」契約をしている店舗のみ。サービスプロバイダは法人でないと契約できず、契約の可否はアップルの審査に委ねられる。つまり、「認定資格所有者」が「正規サービスプロバイダ」に務めることで、はじめて正規の修理ができるようになるわけだ。

これらの資格は基本的にプロの技術者が取るものであり、一般のユーザが個人で取得を目指すのはかなりハードルが高い。受験の事前準備としてアップルのオンライントレーニング(AppleCare Technician Training)を受けることが必須であり、このトレーニングを一般のユーザが受講するには「アップルケア・ヘルプデスク・サポート(AppleCare Help Desk Support)」を購入する必要がある。これは企業などがアップル製品の担当技術者をトレーニングする際に導入するキットで、価格も22万8000円と高額だ。

個人が受験できる環境を

以前はサポートデスク向けの認定資格制度として「アップル認定サポートプロフェッショナル(ACSP)」などがあり、日本語訳されたテキストも市販されていて、個人が趣味で資格を取ることも可能だった。残念ながらACSPに相当する「OS Xサポートエッセンシャル」の試験は、現在日本では実施されていない。

MacやiPhoneが普及した今、アップル製品のサポート資格も堂々と履歴書に書ける時代になった感がある。BYODの普及で、社内にMacとウィンドウズが混在する状況も珍しくない昨今、システムエンジニアなどが持つ資格としても有望だろう。米国と同等の試験を受けられる環境づくりとともに、学生なども含めて個人が積極的に取得できる資格制度の充実を希望したい。

アップルの公開するWEBサイト「Global Certifications Exchange」にアクセスし、自分のアップルIDとパスワードを入力すれば、「試験会場」にはアクセスできる。【URL】https://certifications.apple.com/

受験にはアップルの提供するオンライントレーニング「アップルケア・テクニシャントレーニング」の受講が必須。一般のユーザは「アップルケア・ヘルプデスク・サポート」を購入しなければ、トレーニングを受講できない。【URL】http://www.apple.com/jp/shop/product/D6603ZM/A/applecare-helpdesk-support

ログインすると上部に取得済みの資格が、下部に現在受講できる試験やトレーニングが表示される(上図)。試験名をクリックすると、試験時間や合格のボーダーラインが表示される(下図)。

【News Eye】

かつては、ファイナルカット・プロなどのプロ向けソフトの認定資格などもあったが、現在は実施されていない。クリエイター向けのソフトが多く、資格の有無よりも実力が問われる世界では、ニーズが低かったのかもしれない。