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32名対応のグループFaceTimeでオンライン会議は実現できるか?

著者: 栗原亮

32名対応のグループFaceTimeでオンライン会議は実現できるか?

iOS 12のアップデート「iOS 12.1」およびmacOS Mojaveのアップデート「macOS Mojave 10.14.1」がリリースされ、公開が見送られてきた「グループFaceTime」機能がいよいよ利用可能となった。その実力を編集部で確認してみた。

遅れてきた本命

iOS 12とmacOSモハベの公開日でのリリースが見送られてきた注目の新機能「グループフェイスタイム(FaceTime)」が、ソフトウェア・アップデートによって実装された。これまで1対1でのプライベートなビデオ/オーディオチャットとして利用されてきたが、最大で32人同時にチャットできるようになったことから、ビジネスシーンでの利用も今後は大いに期待できる。

使う際にまず確認したいのは、各デバイスのOSが最新になっているかどうかだ。これを怠ると、そのメンバーは1対1通話は可能でも、開催中のグループチャットに参加できない。また、未対応デバイスからのコールを受けると、現在のグループチャットを切断して応答するかどうかを求められてしまう場合がある。

ネットワーク環境の充実度(速さと安定性)も重要だ。アップルの説明ではクラウド上にチャットサーバが生成され、同サーバ経由での配信が行われるため帯域幅は保たれるとしている。しかし、ネットワークのQoS(サービス品質)制御が実装されていないオフィスのWi−Fi環境では、ネットワークの利用状況によって通信状態が大きく左右される。実際はそうした環境がほとんどなので、最適な環境ではない条件下でのテストを試みることにした。

ユニークな使い勝手

新機能とはいえ、フェイスタイムを使ったことがある人であれば、グループチャットの利用はスムースだ。Macのフェイスタイムから新規のグループ通話を開始する場合は、宛先欄に複数メンバーを登録してから[オーディオ]または[ビデオ]をクリックする。その後、相手が応答すればグループチャットが開始される。また、「メッセージ」のグループチャットからグループフェイスタイムを始めることが可能で、ビデオまたはオーディオでの途中参加もできる。アップルウォッチの場合はオーディオ参加が可能だ。いきなり連絡先未登録のメンバーをグループに追加できないので、事前にメンバーとは個別に通話をテストしておくことをおすすめしたい。

実際に編集部のスタッフ7名でテストしたところ、全員のビデオが表示されるまでには数分のタイムラグがあった。また、映像品質は通信回線状況によって大きく変動したものの音声だけは聞こえ続けた。会議の内容によっては、最初からオーディオチャットでの運用を検討したい。

また、ビジネスシーンでは不要かもしれないが、iPhone Xなどのアニ文字・ミー文字対応モデルでは、リアルタイムで顔にキャラクターが合成されて表示されるのが面白い。4名以上参加していると、現在話しているメンバーのタイルが自動で大きく表示されるようになるなど、グループチャットならではの工夫も随所に見られる。しかし、いずれにせよ万全の通信環境でない場合は、同時のビデオチャットは4~5名程度が現実的のように考えられる。

厳しい意見を言えば、マイクロソフト傘下となったスカイプや、グーグル・ハングアウトなどの先行サービスに比べると、安定性や使い勝手の面でまだ物足りない印象を受ける。しかし、アップル製品との親和性、通信経路の暗号化など秘匿性の高さを考えると、今後オンライン会議ツールとして有力な選択肢となっていく可能性は大きいだろう。

最新版のFaceTimeにアップデートすることで、通話先指定欄に複数の相手を入力しても[オーディオ][ビデオ]ボタンが点灯する。

グループ通話が開始されてからも、あとからメンバーを追加していくことができる。参加者の発言内容や動きでメンバーのアイコンが大きく表示されるなど臨場感のある仕組みは面白い。

通信速度が低下すると警告マークが表示されて映像が途切れてしまう現象がしばしば見られた。グループ通話には通信環境の整備が欠かせないようだ。