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iMac G3を「時間を媒介するデバイス」に再定義。クリエイティブフェス「TOKYO PROTOTYPE」で体感した、都市と未来のテクノロジー

著者: 中臺さや香

iMac G3を「時間を媒介するデバイス」に再定義。クリエイティブフェス「TOKYO PROTOTYPE」で体感した、都市と未来のテクノロジー

2026年1月29日〜31日に、虎ノ門ヒルズで開催された都市型クリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE」を取材しました。

「PROTOTYPE」とは、本来は完成前の“試作品”を指す言葉。TOKYO PROTOTYPEはその名のとおり、新しいアイデアや技術を“体験”として街の中に持ち込み、都市そのものを実験空間に変える取り組みです。

AI、ロボティクスにアート。それらが分野ごとに整理されることなく、駅直結のB2階から高層階まで、虎ノ門ヒルズ全体が舞台となっていました。今回はその中から、特に「都市×体験」という視点で印象に残った展示を3つ解説します。

歩いて音を集め、音楽をつくる! 「NOMLAB」による現実とコンテンツの新たな融合

まず足を止めたのは、空間デザインのプロフェッショナル・乃村工藝社の研究開発組織「未来創造研究所 NOMLAB」による展示。テーマはずばり“空間の未来をPROTOTYPEする”です。

体験したのは、MR技術を活用した音声体験サービス。来場者はiPhoneとヘッドフォンを身につけ、会場内を歩き回ります。各ポイントには異なる音が配置されており、近づくと効果音が鳴って“音を獲得”できる仕組みです。集めた音は、最終的にひとつの音楽として完成します。

TOKYO PROTOTYPE内の「NOMLAB」のブースでiPhoneとヘッドフォンを貸してもらいました。このヘッドフォンを採用した理由を伺ったところ、開放型のためコンテンツに集中しつつも周囲の環境音を遮断しないからとのこと。
ブースの入り口で貸し出されるiPhoneとnwm GO。nwm GOを採用した理由を伺ったところ、開放型のためコンテンツに集中しつつも周囲の環境音を遮断しないからとのこと。
音が配置されている場所が書かれた地図ももらいました。音に近づくと効果音が鳴り、音を獲得したことがわかります。
各ポイントが書かれた地図ももらいました。ポイントに近づくと効果音が鳴り、それを獲得できます。

少しずつ音が重なっていく感覚は、学生時代に味わった吹奏楽で各パートが合流していく瞬間によく似ていました。音を聴くのではなく、集めていく体験はとにかく新鮮。

では、どんなところで実用化されていくのかというと、たとえばアニメの聖地巡礼で特定の場所に立つとキャラクターの声が聴こえるといった展開を実施しているとか。

現実とコンテンツを結びつけるメガネ型のデバイスが人気を集めつつありますが、音というアプローチにより、それが一層自然に融合にしていると感じました。




人の動きをトレース! しなやかにポージングする マネキンロボット「Postrace」

会場でも特に多くの人を集めていたのが「Postrace」でした。東京大学五十嵐研究室、ソフトバンク、Takramが共同開発した、人の動きをリアルタイムに模倣するマネキンロボットです。

マネキンの前に立つと、自分の動きに合わせて即座にポーズをトレース。驚かされるのは、その動きが驚くほど“人間らしい”ことです。肩の傾きや体のひねり、重心移動に加え、服のシワやたわみまで自然に再現されていました。

TOKYO PROTOTYPEに展示されていたマネキン「Postrace」の前では、多くの人がポーズをとって楽しんでいました。
マネキンの前では、多くの人がポーズをとって楽しんでいました。

iMac G3で現代の映像を楽しむ! 制約を表現に変える「IE3」

そしてMac Fan編集部として、どうしても見逃せなかったのが、ビジュアルアーティスト、エンジニア、デザイナーによるクリエイティブユニット「IE3」の展示。使われていたのは、1999年発売のiMac G3。実は私と同い年です。

現代の技術で制作した映像を、あえてiMac G3で映し出す。当然、現代の標準で言うとスペックは明確に劣ります。しかし、その制約を逆手に取り、過去と未来がねじれたような独特なビジュアルを表現していました。

Mac Fan編集部に所属しながら、今回はじめてG3を生で見た私。そう伝えると、付属のマウスなども触らせてくださいました。
Mac Fan編集部に所属しながら、今回はじめてiMac G3を生で見た私。そう伝えると、当時「ホッケーパック」とも呼ばれた付属アクセサリ「Apple USB Mouse」も触らせてくださいました。

スタッフの方に話を聞くと、両端のiMac G3は当時のMac OS 9とInternet Explorer 3で現代のWebサイトを見れるようにしているそう。さらに、中央の1台は、MacStudioの外部ディスプレイとして使用しているとのこと!

Apple好きとしては、iMac G3が単なる過去のパソコンではなく、“時間を媒介するデバイス”として再定義されていたのがなんだか誇らしかったです。




アニメや伝統工芸とテックの融合も見逃せない!

このほかにも、TOKYO PROTOTYPEと同じく虎ノ門ヒルズで開催されている「Ghost and the Shell 攻殻機動隊展」との連動展示など、街全体で“現実とフィクションの境界”を試すような仕掛けが随所に見られました。

虎ノ門ヒルズという日常の都市空間を歩きながら、未来を先取りする。TOKYO PROTOTYPEは、そんな体験ができるイベントでした。

ZOZO NEXTによる伝統工芸と先端技術の融合をテーマにした展示もありました。写真の時計はアルミ製(左)と木製(右)の2種類があり、どちらも温度によって色が変化します。この時計には、複雑な色の移ろいを生み出す「変り塗(かわりぬり)」という塗装技法が採用されており、素材ごとに異なる表現が楽しめるのがポイント。アルミのほうは、山の等高線をイメージしており、木製のほうは、日本の四季が育んだ木目を「浮造り(うづくり)」の技法で際立たせているのだとか。「時刻だけでなく、季節の変化にも気づいてほしい」という思いから生まれたものだそうです。
ピアノ好きとして気になったのがこちら。ロボットアームが物理的にピアノを手繰り寄せ、レールに記録されたデータを読み取って演奏を行う装置です。コロナ禍で空白となった劇場において、かつての情景を演奏とともに呼び戻す“追憶の舞台装置”として製作されたのだそう。
ピアノ好きとして気になったのがこちら。レールには記録された音源データの上にピアノが置かれており、ロボットアームがピアノを引き寄せてレール上を動くことで、ピアノがレールを読み取って演奏する装置です。コロナ禍で空白となった劇場において、かつての情景を演奏とともに呼び戻す“追憶の舞台装置”として製作されたのだそう。
「Ghost and the Shell 攻殻機動隊展」では、来場者がXREALを装着してアニメ内のキャラクターによる解説を聞きながら、原画展示を巡るコーナーもあるそう。現実の展示空間のうえに、作品の世界を想起させる映像が重なることで、アニメの世界をより擬似的に体験できるのだとか。
※AR体験には「攻殻機動隊展」の入場料とは別に金額が発生します。なお、同展示会の開催は4月5日までです。
「Ghost and the Shell 攻殻機動隊展」では、来場者がARグラスの「XREAL」を装着してアニメ内のキャラクターによる解説を聞きながら、原画展示を巡るコーナーも用意。現実の展示空間のうえに、作品の世界を想起させる映像が重なることで、アニメの世界をより擬似的に体験できるのだとか。※AR体験には「Ghost and the Shell 攻殻機動隊展」の入場料とは別に1500円(オンライン販売)か1700円(当日会場窓口)が発生します。なお、同展示会の開催は4月5日まで。
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編集:Mac Fan編集部
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著者プロフィール

中臺さや香

中臺さや香

Mac Fan編集部所属。英日翻訳職を経て、編集部へジョインしました。趣味はピアノを弾くこと、乗馬、最新のガジェットを触ること。家中まるっとスマートホーム化するのが夢です!

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