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最新ジンバル「Osmo Mobile 8」先行レビュー。iPhoneの「カメラ」アプリでもトラッキングが可能に。簡単さと多機能さを併せ持ち、初心者から玄人までおすすめ!

著者: 松山茂

最新ジンバル「Osmo Mobile 8」先行レビュー。iPhoneの「カメラ」アプリでもトラッキングが可能に。簡単さと多機能さを併せ持ち、初心者から玄人までおすすめ!

DJIが展開する高機能スマホジンバル「Osmo Mobile」シリーズ。その最新モデル「Osmo Mobile 8」が登場した。発売に先立って試用する機会を得たので、実機を用いてその性能をレビューしていこう。

スマートフォンの手ブレを抑え、滑らかな映像を撮れる“ジンバル”は動画好きなら一度は気になったことがある存在だと思う。しかし、実際に使ったことはないという人も多いはず。Osmo Mobile 8は、そんな人にも扱いやすく、iPhoneとの相性も抜群だった。

NFCタグ内蔵でiPhoneとワンタッチ接続。Apple DockKit対応による滑らかなトラッキング。そして240度パノラマ撮影。これらにより、誰もが「うまく動画撮影できる手応え」を感じられるのだ。

Osmo Mobile 8の付属品をチェック。「多機能モジュール」が拡張性をもたらす!

Osmo Mobile 8手にしてまず感じたのは、その軽さとバランスの良さだ。折りたためばバッグにスッと収まり、「ちょっと撮りたい」瞬間にすぐ取り出せる。

展開もワンアクションで、iPhoneを装着したらアームを展開するだけ。実は以前、デジタル一眼レフカメラ用のジンバルを使った際、バランスを取りながらカメラを取り付けるのに苦労した経験がある。それに比べOsmo Mobile 8なら複雑なセットアップは一切不要。「iPhoneをセットしたらすぐ撮れる」という気軽さが何より魅力だ。

Osmo Mobile 8 付属品
Osmo Mobile 8本体と付属品。電源ケーブル(USB-C to C、50 cm)、スマートフォン充電/音声録音ケーブル(USB-C to C、15cm)、収納ポーチ、クイックスタートガイドが同梱されている。
Osmo Mobile 8 磁気スマートフォンクランプ
写真中央は、磁気スマートフォンクランプと多機能モジュールだ。DJI MICシリーズの受信機になるほか、コンパクトなライトも内蔵している。
軸スマートフォンクランプ裏側
磁気スマートフォンクランプは、電子接点(4つのピン)を搭載。これにより、多機能モジュールにOsmo Mobile 8本体から電力が供給される。

Osmo Mobile 8をiPhoneに装着する手順

iPhoneと磁気スマートフォンクランプを装着
まずは磁気スマートフォンクランプを広げ、iPhoneにセット。
iPhoneをOsmo Mobile 8に装着
Osmo Mobile 8のアーム先端部に近づけると、マグネットで吸着する。
磁気スマートフォンクランプを取り付けたiPhoneをアーム部の先端に装着。アームを起こすと自動的に電源が入り撮影準備が完了する。
磁気クイックリリースマウント
なお、別売りで「磁気クイックリリースマウント」も用意されている。クランプよりもスマートな印象だ。
磁気クイックリリースマウントで
Osmo Mobile 8にiPhoneを装着。
展開時もスッキリしている。しかし、多機能モジュールが装着できない点には注意。
磁気クイックリリースマウントをスマホスタンドに。
「磁気クイックリリースマウント」は、スマホリングやスタンドになるのも利点。




Apple DockKit対応で、純正「カメラ」アプリでもトラッキングが可能に!

Osmo Mobileの注目すべきトピックは、Apple DockKitへの対応だ。Apple DockKitはAppleが開発した技術で、対応アクセサリと連係することで被写体の自動追跡を可能とする。

これにより、従来は「DJI Mimo」アプリを使うか、多機能モジュールを装着することでしか使えなかった“トラッキング(被写体の追尾)”が、iPhoneの純正「カメラ」アプリでも利用可能となった。

これはスマホジンバル初心者にとって非常に大きな利点だ。「DJI Mimo」は専用アプリらしく多機能なので、初心者にとっては最初のハードルになることも考えられる。一方使い慣れた「カメラ」アプリなら、新しく覚えることは何もない。つまり、シンプルにOsmo Mobile 8を使いこなすことにフォーカスできるわけだ。

「カメラ」とOsmo Mobile 8の使い勝手に慣れてきたら、「DJI Mimo」にチャレンジしてより高度な撮影を楽しむのもいいだろう。

Osmo Mobile 8とiPhoneを接続する手順

NFCタグ
本体側面にNFCのアイコンが書かれたシールが貼られている。ここにiPhoneをかざそう。
iPhoneへの接続手順(1)
iPhoneの画面上に、ポップアップが表示される。
iPhoneへの接続手順(2)
数秒後、表示が切り替わったら[接続]をタップ。
iPhoneへの接続手順(3)
接続が完了するまで待とう。
iPhoneへの接続手順(4)
接続されると[完了]ボタンが表示される。
iPhoneへの接続手順(5)
[完了]をタップ後、バックグラウンドモードのオン/オフを設定する。必要に応じて検討しよう。

ボタンやジョイスティックは親指一本で! パンやチルトも超スムース

さて、操作性についても解説していこう。Osmo Mobile 8には、さまざまなインターフェイスが搭載されているが、そのすべてが1箇所にまとまっている。この設計も、使いやすさ、そして入門にぴったりなポイントだと思う。

Osmo Mobile 8のハンドルを握れば、ボタン、ホイール、ジョイスティックを親指などで自然と操作できる。ジョイスティックの精度も高く、ゆっくりiPhoneをパン(水平方向の移動)やチルト(垂直方向の移動)したいときも指先でスムースに操作可能だ。

また、iPhoneの縦向き/横向きの切り替えもボタンひとつで操作できるほか、SNS向けの縦動画もYouTube向けの横動画も即座に対応できる。

Osmo Mobile 8操作パネル
Osmo Mobile 8本体の操作パネル。ボタン類のほかインジゲータも備え、バッテリ残量や使用中のモードが確認できる。
Osmo Mobile 8 サイドホイール
握ったときに左側に来るのが、ズームやフォーカスに使うサイドホイールと充電用のUSB-Cポート。
Osmo Mobile 8 トリガー
背面にはトリガーが。ActiveTrackの起動/停止、ジンバルの再センタリング、iPhoneの水平方向180度回転などに使う。
Osmo Mobile 8 ジョイスティック
ジョイスティックを左右に動かすと水平方向のパン、上下に動かせば垂直方向のチルト操作になる。




人物はもちろん、ペットのトラッキングにも対応。内蔵された三脚も便利!

最近のスマホ用ジンバルは、AIによる被写体追尾性能の進化が著しい。人物の顔を追従するのはもちろん、ペットなど動物の認識にも対応するものもある。Osmo Mobile 8も御多分に洩れず、人物やペットのトラッキングはもちろん、複数の被写体も検出可能だ。さらに、被写体を一時的に見失ったとしてもリカバリーする機能が頼もしい。

専用アプリ「DJI Mimo」で人物をトラッキングした例。
こちらは純正「カメラ」アプリで撮影した例。DockKit対応なので、「カメラ」でもトラッキングできる。
人物以外にもペットなども追尾可能となった。うまく認識されない場合は、画面をドラッグして囲んでみよう。

また、ハンドル底部に仕込まれた三脚も便利だ。引き出すようにして展開すれば、Osmo Mobile 8だけで自撮りが捗る。

Osmo Mobile 8 底部
Osmo Mobile 8の底部。
Osmo Mobile 8 三脚引き出し
引き出して…。
Osmo Mobile 8 三脚展開
展開すると三脚になる。

ライトとマイクのレシーバを“標準”装備。多機能モジュールを使いこなそう!

続いて、多機能モジュールの機能性を解説していこう。主なポイントは、明るさや色温度を調整できるライトとして使えるほか、DJI Micシリーズの受信機になること。最大2台のDJI Micシリーズとペアリング可能で、動画収録の自由度を大きく広げてくれるだろう。

多機能モジュールをOsmo Mobile 8に装着
多機能モジュールは、マグネットで磁気スマートフォンクランプに装着可能だ。トラッキング機能の開放、ライト、DJI Micシリーズのレシーバとして機能する。
多機能モジュール ライト(1)
マグネットなのでライトの向きも自由自在。こちらは外向きにつけたイメージ。
多機能モジュール ライト(2)
ひっくり返して装着すれば、インカメラ側のライトにもなる。
多機能モジュール マイクと接続
DJI Micとのペアリング状況は、多機能モジュールのインジゲータで把握できる。写真は、DJI Mic Mini

また、iPhone以外のスマホユーザにとってのメリットは非常に大きい。Osmo Mobile 8は、DockKitへの対応によってiPhoneの純正「カメラ」アプリでトラッキングを実現した。しかし、依然として他社製スマホでトラッキング機能を使うには「DJI Mimo」アプリが必須だ。だが、この多機能モジュールを活用することで、別のアプリでもトラッキングを可能とする。




専用アプリ「DJI Mimo」は豊富な撮影モードを用意。玄人も満足の充実度

基本的な撮影ならiPhoneの純正「カメラ」アプリでも十分だ。しかし、専用アプリの「DJI Mimo」を使えば、より本格的な撮影が楽しめる。画面を指でドラッグして囲めば、追尾対象を手動で指定。また、パノラマやタイムラプス、ダイナミックズームなど、iPhone単体ではできない撮影モードが多数提供されている。

さらに、Apple Watchに「DJI Mimo」をインストールすれば、手元で撮影の様子がモニタ可能だ。ジンバルの角度調整や縦向き・横向きの切り替え、写真や動画の撮影開始・停止も手元で操作できる。

「DJI Mimo」で3×3のパノラマ撮影をしている様子。Osmo Mobile 8が自動で動き、9枚のカットを撮影する。
3×3のパノラマ撮影
すると、このような超ワイドな写真に仕上がる。
タイムラプス撮影
タイムラプス機能は、時間、撮影の間隔、そしてモーションも指定できる。定点撮影以外のシーンでも、活用の可能性が広がりそうだ。

撮影→編集も「DJI Mimo」で。SNSへの公開もワンストップでできちゃうぞ!

いくらジンバルを使って動画撮影が上手くなっても、撮って終わりではもったいない。せっかくなら、そのいい画を活かした“作品”に仕上げたいところだ。

こうしたニーズにもOsmo Mobile 8は応えてくれる。専用アプリの「DJI Mimo」は、撮影機能だけでなくテンプレートを使った簡単編集もサポート。Osmo Mobile 8で撮影した動画や写真を選択するだけで、簡単にBGM付きのショートムービーの作成が可能だ。

SNSへの公開も「DJI Mimo」上でできるので、撮影→編集→公開までが超スムース。この簡潔さも、初心者の助けになりそうだ。

DJI Mimo編集テンプレート
「DJI Mimo」上でテンプレートを選択。今回は「The Cuties」を選んだ。
DJI Mimo 編集画面(1)
続いて、使用する動画をチョイス。
DJI Mimo 編集画面(2)
選び終えると、AIが動画を分析して編集してくれる。
DJI Mimo 編集画面(3)
AIによる動画の編集が完了したあとに、ユーザが任意に動画の追加、差し替え、削除などができる。
DJI Mimo 編集画面(4)
タイトルや字幕といったテキスト、ステッカーなどを追加することも可能だ。
DJI Mimo 編集画面(5)
動画の雰囲気を変える、フィルタ機能も豊富。色味や明るさなどを細かく調整することもできる。
DJI Mimo 編集画面(6)
編集を終えた動画は、「DJI Mimo」内に保存される。SNS用の動画なら、そのまま投稿してみよう。
DJI Mimo 編集画面(7)
前の図の[その他]からは、iPhoneの共有メニューにアクセスできる。「写真」アプリに保存するのはこちらから。
テンプレートで作成した動画の一例。




“全方位”におすすめしたいOsmo Mobile 8。簡単なのにやり込み度も抜群!

実機を試して強く感じたのは、スマホジンバルの“難しさ”を取り払った「Osmo Mobile 8」の魅力だ。それでいて、スマホジンバルに求める機能や性能はすべて揃っている。

軽くて持ち歩きやすい。装着、接続方法が簡易。操作方法が明確。iPhoneの純正「カメラ」アプリでもトラッキング可能。専用アプリ「DJI Mimo」では、パノラマやタイムラプスといった多彩な撮影モードに対応し、編集までワンストップでできてしまう。

iPhoneのカメラ性能は年々向上しており、それ単体でもクオリティの高い動画が撮影できる。しかし、Osmo Mobile 8はそのさらに上を見せてくれた。しかも簡単に。スマホジンバルに興味を持ったなら、最初の1台として強くおすすめしたい。

また本記事では語りきれなかったが、パン軸を前方に傾けることでローアングルショットがより簡単に撮れるようになったほか、パン軸の回転が360度に対応し、動画の自由度が飛躍的に上がっている。初心者だけでなく、スマホジンバルユーザの買い替え先としてもイチオシできるというわけだ。

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著者プロフィール

松山茂

松山茂

東京の下町・谷中を拠点として日々カメラと猫を愛でながら暮らすフリーライター。MacやiPhone、iPadを初代モデルから使ってきたのが自慢。

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