紛失防止タグは、AppleのAirTag発売を皮切りに、形状の異なる互換製品も数多く登場している。中でもカード型の「AirCard」は財布への収まりがよく人気を博した。最新の「PhotoTag」は画面表示機能を搭載する。
カード型紛失防止タグのパイオニア「AirCard」
改めて数えてみると、筆者は10個の「AirTag」、または「探す」アプリ対応の紛失防止タグを使っていた。当初は2、3個あれば十分と思ったのだが、使い始めるとそれまで感じたことのない安心感が生まれ、バックパック、車の鍵、自転車の鍵、自宅の鍵、実家の鍵、財布、カードケースなど、次々と対象物が増えていった。
最近も六本木のAppleでのセミナーの帰りに、どこかで自転車の鍵を落としたと何時間も経ってから気づいたことがあった。しかし、「探す」アプリを頼りに紛失地点付近まで行き、サウンドを鳴らしたところ、パッと見にはわかりにくい街路樹の根本の草むらの中から見つけ出すことができ、事なきを得た。
財布にも、最初はAirTagを入れていたが、その形状からどうしても膨らみが気になってしまう。そんな折、クラウドファンディングで「探す」アプリに対応したカード型紛失防止タグの「AirCard」を見つけ、 すぐに支援して入手した。今でこそカード型のタグは何種類か販売されているが、AirCardはそのパイオニア的存在だった。
スイスのRolling Squareという会社が開発したAirCardは、クレジットカードサイズで厚さ2.2ミリメートル。アルミの切削ボディを部分的に強化ガラスでカバーし、一部をスケルトンにすることによって非常にスタイリッシュな外観を実現している。また、105dbのスピーカを搭載しており、AirTagより音で見つけやすいことも特徴だ。そして、搭載されているNFCタグや表面のQRコードを読み取ることで、デジタル名刺や紛失時の連絡先を表示できるという工夫もある。
反面、バッテリ交換や充電はできず、約2年半の電池寿命が尽きたあとは、半額で新品を購入できるというサービスが提供されている(現行のAirCard Proは、同じサイズでワイヤレス充電機能も備える)。NFCタグやQRコードは、その後も使えるので、デジタル名刺としての機能は失われない。
今ではワイヤレス充電機能付きでもっと安価な樹脂製のカード型タグも出ているが、モノとしての魅力でAirCardに勝るものはほかになく、現在も使い続けている。


E-Inkでカラー表示ができる「PhotoTag」
そんな自分の紛失防止タグのリストに加わったニューフェイスが、1.5インチのE-Inkカラーディスプレイを搭載し、その表示内容を専用アプリから書き換えられる「PhotoTag」である。

E-Inkディスプレイは、一部のタブレット製品をはじめ、大型スーパーや家電店のチェーンなどで商品名や値札の表示に使われている。特に後者の例では、本部から一斉に価格の書き換えなどを行えることで急速に普及した。また、数年前からスーツケースメーカーのRIMOWAが、本体の側面にE-Inkディスプレイを内蔵したモデルを販売している。航空会社のチェックインカウンターで、持ち手に取り付ける紙の識別タグを電子化し、便名や目的地を表示できるユニークな応用例だと感じていた。
それらに比べるとPhotoTagは、ネットワーク化されているわけでも、何らかの情報システムにつながっているわけでもない。しかし、画面を自由に描き変えて、AirTagのレーザー刻印以上に自分なりの個性を表現することができるアイテムだ。その分、サイズは約45×34・5×7.6mmと、やや大きめだが、画像や文字、QRコードによるメッセージを表示できる点で現状唯一の選択肢である。
そして、E-Inkディスプレイは書き換え時しか電力を消費しないため、AirTagと同じCR2032のボタン電池で約10カ月機能させることができる。バックライトが不要で、直射日光下でも視認性が落ちない点も、E-Inkディスプレイならではのメリットだ。
連絡先と好きな画像を登録できる
PhotoTagは、「探す」アプリに登録して管理できるほか、専用のアプリから複数ユニットの画像の入れ替えなどを行えるようになっている。アプリには、テキストを入力して連絡先を表示させるためのモード(表示データ自体は画像に変換される)と、写真アルバムからイメージを選択して画像を表示させるためのモードが用意されている。PhotoTag本体には「Contact」と書かれた赤いボタンがあり、これを押すことで、連絡先と画像が切り替わる仕組みだ。

画像は、写真やイラスト以外にQRコードでもよいが、あらかじめURLなどの情報を別アプリなどでQRコードに変換して、写真アルバムに保存しておく必要がある。QRコードを表示させたいという場合も少なくないので、PhotoTagアプリ内にその機能があれば一層便利だろう。
なお、E-Inkディスプレイの原理上、シンクロ時や表示の切り替え時には画面の完全なリフレッシュが必要で、複数回にわたって画像を消去する自動処理が行われた後に指定したイメージが現れる。
4色とディザリングの制約を楽しむ
PhotoTag本体のE-Inkディスプレイはカラー表示対応だが、フルカラーではない。白、黒、赤、黄色の4色とディザリングを組み合わせた擬似表示となっている。そのため、モノクロや赤〜オレンジ〜黄色系のイメージは表示しやすいが、青、緑系の色は再現されにくい。これは、人物の写真や絵画などの表示を主目的に、コストとのバランスも考慮した結果の仕様と考えられる。しかし、利用目的からは十分といえ、この仕様に適したイメージは何かを考える楽しさもある。
たとえば、ここでは発売されたばかりのコズミックオレンジのiPhone 17 Proや、ルノワールの「団扇を持つ少女」のイメージを表示させてみたが、近づくとディザリングが目立つものの、遠目にはグラデーションもうまく処理されているように見える。モノクロのQRコードなどは当然ながらくっきり表示され、紙に印刷されたものと同様に瞬時に読み取ることができた。



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著者プロフィール
大谷和利
1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、神保町AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。









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