ギターアンプの王者、ホームシアターに進出!
ギターアンプの世界で不動の地位を築いてきた英国ブランドの「Marshall」が、同社初のサウンドバー「HESTON 120」を発売しました。
近年、ワイヤレススピーカやヘッドフォンといった音楽リスニングアイテムでも存在感を増している同社ですが、サウンドバーはテレビと接続するホームシアター向けスピーカであり、今までとは毛色が違います。
同社が60年以上にわたる音楽への知見を、映画の世界にどのように融合させているのか。実力を検証しました。
HESTON 120
- 【発売】
- Marshall
- 【価格】
- 16万9990円
【サイズ】 1100(W)×145(D)×76(H)mm
【URL】 https://www.marshall.com/jp/ja/speakers/tv-sound
【再生周波数帯域】 40HZ〜20 KHZ
【最大出力音圧レベル】 95DB
【合計オーディオ出力】150W(ピーク時)
【対応没入オーディオフォーマット】 DOLBY ATMOS、DTS-X

レトロとロックが融合! 一目でMarshallとわかる、圧倒的デザインがかっこいい
まずHESTON 120を前に感じたのは、その明確なデザインアイデンティティ。
ブランドの象徴であるレトロ調のファブリックが筐体に施されており、多くのサウンドバーが没個性なデザインになりがちな中、本機はリビングに置いても一目でMarshall製品とわかる存在感を放ちます。

特に注目すべきは、天面に配置されたVOLUMEやTREBLE(高音)の調整にも使われる物理ノブ。
最近の製品は複雑なボタンが排除されるなか、ギターアンプさながらの音質調整をハードウェアのノブで操作でき、単なるデザイン上のアクセントに留まっていない点に感動しました。美しいだけでなく実用的なのです。

現代のAV環境に完全対応! プレミアムな音響構成で映画もゲームも楽しめる
サウンドバーとしての構成はプレミアムクラスで、5.1.2chのスピーカ構成を備え、フルレンジドライバが5基、立体音響を担うアップファイヤ配置のツイータが2基、ミッドウーファが2基、サブウーファが2基(2×5インチ)という合計11基のドライバで構成されています。
アンプはクラスDで、ピーク出力は150W。Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオの再生にも対応可能です。
テレビ接続はHDMI eARCを利用でき、音量操作もテレビ側のリモコンで連動します。また、HDMI入力端子からは4K/120Hzのパススルーもサポートしており、最新のゲーム機も問題なく接続できます。
音楽リスニング機能も充実しており、Bluetoothに加えてWi-Fiや有線LANにも対応しています。AirPlay 2やGoogle Chromecast、Spotify Connectなども網羅されており、iPhoneからの音楽再生も簡単です。


引き締まった重低音と鮮明な高域。これぞMarshallという安心感!
実際に筆者宅のリビングで検証を行い、75V型の「ハイセンス75U9R」にHESTON 120を接続してみました。接続はHDMI eARCで自動認識され、スムースに進められます。


まずは、NetflixでDolby Atmos対応の「ミッションインポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を視聴したところ、アップファイアスピーカの効果で音がやや高い位置に定位し、映画内のヘリコプターの回転音なども再現されました。
映画視聴中に感じたのは、サウンドバーとしての臨場感を求めつつも、「これはMarshallの音だ」と感じる安心感。
迫力のある重低音に偏るのではなく、引き締まった重低音と鮮明な高域が音楽的な解像度を提供しています。
特に激しいアクションシーンでも、登場人物のセリフが明瞭に聞き取れる点は、シアター用途でもMarshallの音が通用することを証明していると言えるでしょう。
躍動感あふれる音は、まさに“音楽ブランド”が作り上げたサウンドバー!
次に、本機の真価が問われる音楽再生時の音質も試してみました。iPhoneからAirPlay 2でさまざまなジャンルの楽曲を再生すると、HESTON 120のキャラクターが明確に表れました。
そのサウンドは、モニタ的なフラットさとは一線を画し、躍動感に満ちています。

たとえば、エド・シーランの「Shivers」を聴くと、再生してすぐに、HESTON 120の持つ音響特性がこの曲と極めて良好な相性であることがわかりました。楽曲の骨格を成すキックドラムは、不要に膨らむことなく「ドン」という鋭いアタック感を伴って耳に届きます。
この締まりのある低域が、曲全体のグルーヴ感を下支えしているのです。そして、エド・シーラン自身の表現力豊かなボーカルを際立たせます。
メインのボーカルトラックは常にサウンドの中央に定位し、その息遣いやニュアンスまでリアルに感じ取れます。この音楽的表現こそ本機をほかのサウンドバーから際立たせる最大の魅力と言えます。
最後にHESTON 120を評価する際、音楽ブランドが作り上げたサウンドバーであるということが重要です。
ホームシアターとしての十分な実力を備えたうえで、デザインや操作性、そして音楽への深い理解に根ざしたサウンドを提供しており、立ち位置はあくまで“音楽側”にあります。
そのため、本機はMarshallの名に期待するユーザを裏切ることはないでしょう。まさに、指名買いしたくなる究極の1台なのです。
※この記事は『Mac Fan』2025年9月号に掲載されたものです。
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著者プロフィール
折原一也
大画面テレビやスピーカ・イヤフォンなど映像と音が専門のAVライター/評論家。ITはMacとPCを併用する自称中立派。YouTube「オリチャンネル」でもレビューを発信中。







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