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“生活の困りごと”をアプリで解決! 名桜大学で広がるFileMaker開発の可能性

“生活の困りごと”をアプリで解決! 名桜大学で広がるFileMaker開発の可能性

ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」を活用し、オリジナルのカスタムAppのアイデアと技術を競う「Claris FileMaker 選手権 2025」(FileMaker選手権)。

本大会で審査員を務めるフリーアナウンサーの松澤ネキさんは今回、FileMaker キャンパスプログラムの認定校である沖縄県の名桜大学を訪問。

はじめてのアプリ開発に挑む学生たちに、制作中のアプリに込めた想いや取り組みの様子についてお話を聞きました。

前回までの記事はこちらからチェックください。

松澤ネキさん

大学卒業後、経済専門チャンネル「日経CNBC」では経済キャスターとして活動。その後「TBSニュースバード(現TBS NEWS)」にて定時ニュースから選挙中継、現地取材、事件事故の突発対応から、あらゆる報道業務を担当。2013年よりホリプロ所属。 現在は得意分野のアニメ、漫画、ゲーム等のジャンルを中心に活躍中。
[URL]https://www.horipro.co.jp/matsuzawaneki/

「Claris FileMaker 選手権 2025」とは?

Claris FileMaker選手権 2025-1

Claris FileMaker 選手権 2025」は、ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」の最新バージョンを使って開発された、オリジナルのカスタムAppのアイデアと技術を競うコンテストです。

たとえば、家族や友人の困りごとを解決するお助けアプリや、地域の課題に寄り添うアプリなど、日々の暮らしをちょっと楽しく、ちょっと便利に変えるアイデアをFileMakerでカタチにしてみませんか?

お一人でも仲間と一緒でも、どなたでもご応募は大歓迎。たくさんの挑戦をお待ちしています。

身の回りの課題を解決するプログラミング学習

沖縄県名護市にある名桜大学は、1994年、公設民営の私立大学として設立され、2010年に公立大学へと移行しました。2023年度には「国際学部」の開設と、「人間健康学部」においてデータサイエンスを学べる「健康情報学科」も開設。地域の特性に根ざした教育によって、国際感覚と専門性を備えた人材の育成に力を注いでいます。

同大学ではリベラルアーツ教育の一環として、ローコード開発プラットフォーム Claris FileMaker を提供するClaris International Inc. が教育機関向けに提供している「FileMakerキャンパスプログラム」を2022年度から導入し、学生が主体的に取り組む「PBL(課題解決型学習)」を取り入れたiPhoneアプリ開発の講座を開講しています。

この講座ではFileMakerを活用したiPhoneアプリを開発します。指導する立津慶幸 上級准教授は、FileMakerを採用した理由について次のように話します。

「FileMakerの最大の特長は、データベースとUIデザインが一体化している点です。プログラミングの知識がなくても、ロジックや画面設計を直感的に学ぶことができるため、学生たちが“身の回りの困りごとを解決するアプリ”を作るための企画力を養うことができるのです」

「身近な課題を起点にしているからこそ、“これがあると助かるかも”というアプリが生まれてきます。それが学生ならではの感性であり、私たちも気づかなかった視点も多くありました」(立津慶幸 上級准教授)

iPhoneアプリ開発に挑む学生たちに松澤ネキさんがインタビュー

誰かのため、自分のため──アイデアの原点は十人十色。でも「こういうの、あったら便利!」というひらめきには、つい笑みがこぼれてしまいます。授業を見学した松澤ネキさんは、受講している学生たちにアプリ開発の動機やアプリの構想をインタビューしました。

大学入学を機に一人暮らしを始めた木村心咲さんは、支出を見直すために家計簿アプリを開発中。日々の支出に加え、「どのお店が安いか」を記録して節約につなげる工夫や、ゲーム感覚で使える仕組み、家賃などの固定費を自動記録する機能も盛り込みたいと抱負を語ります。

当初はFileMakerの操作に戸惑いがあったものの、講座で視聴した動画を参考に作業を進め、実際に動いたときの達成感が大きな励みになったと話す木村さん。
アプリはカレンダー形式で、いつ何を買ったかを視覚的に確認できる仕様に。表やグラフへの表示切り替えにも対応予定で、アイコンや入力画面の配置にもこだわっています。さらに、写真入力やキャラクターの追加といった発展的な機能も構想中です。

経営を学ぶ4年生・仲松輪織さんは、就職活動と学生生活を両立するスケジュール管理アプリを開発中。高校時代に利用していた学習記録アプリ「Studyplus(スタディプラス)」を参考に、より自由度が高く、大学生活にも対応できるアプリを目指しています。授業・課題・就活など予定を柔軟に登録できるほか、学習時間の集計やカレンダー表示など、視覚的に情報を把握することを重視した設計が特徴です。

はじめて触れるFileMakerに苦戦しながらも、Claris公式YouTubeチャンネルの学習動画を見ながら根気強く構築を進め、カレンダーとのリレーションやスクリプトの実装も自力で行いました。今後は過去のタスクと未来の予定を統合的に扱える仕組みの完成を目指しています。

「納得できないまま人に見せたくない」という仲松さんの開発者思考が印象的です。留学や塾講師の経験で培った対話力と探究心が、ITの道へ進む原動力となっているようです。

1年生でFileMakerに初挑戦の村山遥菜さんは、「片づけが苦手な人を応援するアプリ」をテーマに開発を進めています。部屋の場所ごとに「次に何を片付けるか」を提示し、進捗を可視化することで、なかなか“片づけスイッチ”が入らない人でも自然と続けられる仕組みを目指しています。このアプリが完成したら、全国の「片づけは明日から」と言い続けている人々の救世主になるかもしれません。

講座参加のきっかけは、友人の誘いだったという村山さん。楽しみながら実用的なアイデアを形にしており、「生活に寄り添うアプリ」としての可能性を模索しています。

同じく1年生の渡邉健さんは、掃除やゴミ出し、日用品の在庫管理などを一元的に把握できるアプリを開発。渡邉さんは高校時代のWeb制作授業をきっかけにプログラミングに興味を持ちました。はじめて触れるFileMakerでのローコード開発については「テーブル設計がパズルのようで楽しい」と語り、デザイン面にも意欲的に取り組んでいます。

「自分だけでなく、多くの人の生活に役立つアプリにしたい」と語る渡邉さん。着実にスキルを高めながら、開発を進めています。

2年生の座安京奈さんは、1年次にPythonを学び、ノーコード・ローコードとコードベースの違いを体感してきました。現在はFileMakerで、ToDo管理や締切表示を備えた付箋風メモアプリを開発中。パステル調の配色や猫のイラストなど、漫画から着想を得たデザインにもこだわり、「使いたくなるUI」を大切にしています。

AI機能の導入も視野に入れているものの、現在は「中途半端に広げるより、完成度を高める」方針で開発を進行中。自作イラストの活用など、創造性と技術力のバランスが光ります。

下宿先から大学に通う香川さんは、大学が運行するスクールバス時刻表をより見やすく、使いやすくするアプリを開発中です。きっかけは、時刻表だけではバスの便数や停車位置の記載が不完全で、実際の運行状況を把握するのが難しく、不便が大きかった自身の体験でした。日常の「困りごと」に向き合い、必要とされるツールを自らの手で形にするその姿勢は、アプリ制作の本質を体現しています。

将来的には沖縄県内全体のバス乗り継ぎ対応も見据える香川さん。現在は、実習時間内での完成を優先し、「触りながら学ぶ」スタイルで開発に取り組んでいます。

Hさんは、動画配信者の友人の要望をもとにした、配信データを独自に記録・管理できるアプリを開発中。タイトル、視聴者数、ギフト(投げ銭)履歴などを一覧化し、グラフで可視化できる設計が特徴。将来的にはAIによる分析機能の実装も視野に入れ、「誰かのために使ってもらえるものをつくりたい」という想いを原動力に、丁寧な開発を続けています。

学生の自由な発想と“今”を捉える感覚に驚かされる

名桜大学で開催された短期集中講座でFileMakerの操作指導を担当した株式会社DBPowers代表取締役・有賀啓之さん(名桜大学非常勤講師)は、学生の柔軟な発想力に毎回驚かされると話します。

「ToDoアプリをカフェ風にデザインしたり、星評価を“黒星+白星”で視覚化したUIは、直感的で洗練されていました。彼らは“今”の感覚でアプリを捉えていて、旧来のUIが古く見えるほど。私たちが“当たり前”だと思っていた発想が、どんどん更新されていきます。

学生たちの感覚は常に“今”を捉えていて、昔ながらの『はい・いいえ』のダイアログボックスは、もはや古いと感じているようです。iPhoneのような直感的な操作性に慣れ親しんで育った世代は、アプリにもより洗練された使いやすさを求めています。私たちが“当たり前”と考えてきた常識が次々と更新されていく中で、教える立場であるはずの私自身が、彼らから多くの学びを得ていることに日々驚かされています」

短期集中型のアプリ開発講座では、冒頭に有賀さんがFileMaker操作のポイントを解説。その後、学生たちが実際に開発に取り組む実習スタイルで進行しました。操作に行き詰まった際には、有賀さんらがマンツーマンで丁寧にサポートしました。

「自分が欲しいもの」を形にするエネルギーに感動

FileMakerを使ったアプリ開発に取り組む名桜大学の学生たちの姿を目の当たりにした松澤さんは、自身のアプリ開発にも大きな刺激を受けたと語ります。

「学生の皆さんそれぞれが制作しているアプリから、その人らしさが自然と伝わってきました。自分のために作る人もいれば、誰かの課題を解決したいと考えている人もいて、その多様性に驚かされましたね。特に、記録やメモ、家計簿など、“人間が管理しきれないものをアプリに託したい”という想いはとても普遍的で、世代を超えて共通するニーズなのだと感じます。

また、UIの工夫にも目を見張るものがありました。思わず使ってみたくなるようなデザインや複数のシステムをひとつにまとめようとするアイデアには、それぞれの個性や課題に対する姿勢が色濃く表れていて、私自身とても刺激を受けましたね。

限られた授業時間の中で、何を削り、どこに力を注ぐか。その取捨選択は難しいはずですが、だからこそ『まっすぐな想い』に絞ることができるのかもしれません。学生の皆さんの真摯な姿勢に触れて、私も初心を思い出しました」

試行錯誤を重ねる中で、本当に伝えたいものだけが残る。そんな“ものづくり”の原点を再確認したと松澤さん。数年後、彼らのアプリがどんなふうに進化しているのか。また会いに行きたくなる学びの風景が、名桜大学には広がっていました。

写真●仲宗根誠

Claris FileMakerを使ってみよう!

Claris FileMakerは、Appleの100%子会社であるClarisが開発したローコード開発プラットフォームです。

プログラミングの専門知識がなくても直感的な操作でオリジナルのアプリを作成できるのが大きな特徴で、世界中で130万人以上が、業務効率化やアイデアの具現化に活用しています。

「こんなアプリがあったらいいな」という想いを、FileMakerなら短期間でカタチにできるのです。

FileMakerの製品ページでは、45日間使える無料評価版(Mac、Windows版)を提供中。

FileMaker選手権2025への応募は無料評価版での開発でもOKなので、こちらのページからさっそくダウンロードしてみましょう。

学生応援キャンペーンを期間限定で実施中!

「Claris FileMaker 選手権 2025」特別企画として、Claris FileMaker Pro 2025 アカデミックライセンスが15%オフになる学生応援キャンペーンを期間限定で実施中!

今回の特別割引の期間は、「Claris FileMaker 選手権 2025」の応募締め切りである2025年9月9日まで。

詳しくはキャンペーン特設ページをご確認ください。

※本記事はClaris FileMaker 選手権 2025 事務局とのタイアップです。

著者プロフィール

栗原亮(Arkhē)

栗原亮(Arkhē)

合同会社アルケー代表。1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。

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