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“着るクーラー”で夏を乗り切れ! 「REON POCKET PRO」レビュー。ソニーが放つひんやりガジェットの冷却力はいかほどか?

著者: 関口大起

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“着るクーラー”で夏を乗り切れ! 「REON POCKET PRO」レビュー。ソニーが放つひんやりガジェットの冷却力はいかほどか?

”着るクーラー”こと「REON POCKET PRO」をレビューする。

ソニーサーモテクノロジー株式会社が展開する”着るクーラー”こと「REON POCKET」シリーズ。首に引っ掛けるように着用すると、本体のサーモモジュール(ペルチェ素子)が肌にふれ、体の冷却をサポートしてくれる。

初代モデルが登場したのは2020年のこと。2024年は「REON POCKET 5」がリリースされ話題を呼んだが、登場6年目となる2025年は、上位モデル「REON POCKET PRO(単体:2万7500円前後、センシングキット:2万9700円前後)」を発売。パワー、性能、デザイン…とさまざまな面でアップグレードされている。

本記事では、メーカーから借り受けたREON POCKET PROを用いて、その実力に迫っていく。果たして、夏の暑さに完全にやられている筆者を救ってくれるのか…?

なお、「REON POCKET 5」は昨年夏にMac Fan Portalでレビュー済み。現在も併売されており、REON POCKET PROよりも1万円前後安価だ。興味がある方はレビュー記事をチェックしてほしい。

画像のクリックで、REON POCKET 5のレビュー記事にアクセス!

REON POCKET PROは、あらゆる面で“約2倍”も進化。REON POCKET 5との違いは?

毎日暑すぎて、昨年からもう堂々と白旗を振ることにした。サウナのような気温と湿度。鋭い日差し。うっかりステーキの気持ちになってしまうコンクリートの照り返し。もうダメだ。しかし、だからといって外に出ないわけにもいかないのがツラいところ。

そこでいろいろ工夫をしているのだが、何をしてもまだ足りない。REON POCKET PROが、対策の最後のピースになってくれるといいのだが。

さて、まずはREON POCKET 5との違いから見ていこう。数字で書くとかなりインパクトがある。

まず、冷却面積が2倍になった。従来、サーモモジュールは1つだったが、REON POCKET PROは独立したサーモモジュールを2つ搭載。この”独立した”というのも大きなポイントなのだが、それは後述する。

そして、新開発の放熱ファンを搭載することで風量を従来の約2倍に。それにより、サーモモジュールの冷却性能を示す「吸熱量」が従来の最大約2倍となっている。

さらに、バッテリのアップグレードによって駆動時間が約2倍に伸びた。なお、これは冷却モードでレベルを最小の1にした場合の比較である。同条件で、REON POCKET PROは約34時間連続駆動するという。

REON POCKET PROは、従来モデルから大幅な進化を遂げた。画像●ソニーサーモテクノロジー




REON POCKET PROの真価は2つのサーモモジュールにあり。肌の“慣れ”を防止する賢い設計

肝心の冷却力はかなりのもの。COOLモードで強度を最大の5に設定すると、驚くほど冷たい。もう10人以上に触ってもらったが、思わず手を引っ込める人すらいた。

これまで、ほかのメーカーのネッククーラーもいくつか試してきた筆者だが、サーモモジュールの冷感で言えば、REON POCKET PROは随一だ。しかも、冷えるまでの速度が極めて速い。

しかも、ただ冷たいだけではなく独立した2つのサーモモジュールの利点が光る。冷たいモジュールを肌に当てて冷やすという性質上、肌がその冷たさに慣れてしまうと効力を発揮できない。そのためREON POCKET PROは、2つのサーモモジュールを交互に強弱をつけながら駆動し、肌の”慣れ”を防止するのだ。

なだらかな「くの字」で、体へのフィット感を追求したデザイン。シルバーの部分がサーモモジュールだが、その上下は内部で独立している。

筆者が昨年REON POCKET 5を試用した際も、肌が冷たさに慣れてしまうことは課題に感じていた。それゆえ、時々手で持ち上げたりズラしたりしていたのだが、それが必要ないのはかなりスマートである。

新開発のファンによる効率的な排熱。ただし、装着時の排気口の位置には注意したい

本体下部(装着した際の下方向)にはスリットがあり、内部にファンが搭載されている。REON POCKET PROが駆動中はこのファンが周り、シャツの内部や冷却によって生じる熱を外に排出するわけだ。

本体下部のスリット。覗き込むとファンが見える。

実際、利用中に排気口(エアフローパーツ)に手をかざすとぬるーい風が出ているのがわかった。注意したいのは、排気口がシャツの中に潜り込んでしまうこと。うっかりこの状態になると、吹き出すぬるい風がシャツの中にこもり余計に暑くなる。気をつけよう。

ちなみにメーカーは、排気口が服の襟から5mm程度出る状態を推奨している。

装着時、襟元にくる部分に排気口がある。写真はショートバージョンで、シャツなど襟の長い服用にロングバージョンも同梱されている。上記のとおり体験に大きな差が出るので、適切に選んで付け替えたい。




正しく冷やすにはフィット感が重要。ネックバンドは自分仕様に折り曲げよう

繰り返すが、REON POCKET PROは冷却したサーモモジュールを肌に当てて使うアイテム。そのため、フィット感が非常に重要だ。実はここも、REON POCKET PROならではの工夫がある。先述した「くの字」のデザインのほか、ネックバンドをユーザに合わせて変形できるのだ。

バンドは柔軟性が高く、折り曲げて向きや角度を変えられる。購入された方は、メーカーが公開している動画を参考にフィッティングしよう。これをやるのとやらないのとでは、REON POCKET PROへの印象が大きく変わる。

公式が公開しているフィッティング動画。
REON POCKET PROを装着した様子。襟元から排熱口がニュッと顔を出す。ショルダーバッグの紐やバックパックとは干渉するので注意。

REON POCKET PROはWARM(温熱)モードも搭載。モードや強度の切り替えは本体ボタンかアプリで

ちなみにREON POCKET PROの「REON」とは、「冷」と「温」を組み合わせた造語。そのため、REON POCKETシリーズはサーモモジュールを温める「WARM」モードも搭載している。夏に活躍する”ひんやりガジェット”と思いきや、冬の強い味方でもあるわけだ。

今の季節、WARMモードを試す気にはなかなかなれないのだが、COOLモードと同じく、しっかり暖かさを感じられることを確認した。マフラーがわりに使うのもいいだろう。

なお、COOL/WARMの切り替え、SMART機能のオンオフ、冷却や温熱の強度の変更は、本体のボタンか専用アプリ「REON POCKET」で行う。

本体側面の+/−ボタンと、SMART機能のオン/オフボタン。SMART機能がオンになっている場合、ランプが点灯する。
電源ボタンとMODE切り替えボタン。ライトは、COOLモードは青色、WARMモードは赤色、SMART機能が起動時は緑色に点灯する。
「REON POCKET」アプリの画面。数値をタップ、あるいは上下にスライドすると強度を変更できる。




SMART機能で温度を自動調整。”TAG”を使えばより柔軟にコントロール!

SMART機能は、センサと独自のアルゴリズムにより、ユーザの行動と温湿度、周囲環境の温湿度を推定し、冷却および温熱の強度を自動調整するというもの。REON POCKET PRO単体だと、COOLおよびWARMモード内で強度を調整する一方、REON POCKET TAGを用いると、COOLモードとWARMモードを横断して温度を自動調整してくれる。

SMART COOLモード時の画面。自動で冷却力を調整してくれる。
REON POCKET TAGを連携すると、モードを横断したSMART機能が利用可能となる。
コンパクトなREON POCKET TAG。別売りで購入すると3850円程度だが、REON POCKET PRO本体に付属するバンドルセット(2万9700円前後)も用意されている。バンドルセットだと1000円程度お得だ。
個人的に感動しているのが、装着時に起動し、外して机などに置くと停止する「AUTO START/STOP」機能。アプリでオン/オフできるが、便利すぎてオフにする理由が見つからない。

REON POCKETが進む、”ひんやりガジェット”の独自路線。目立たないのがいいところ

REON POCKET PROは、トータルの完成度が非常に高い。冷却力もパワフルで、夏の強い味方になってくれそうだ。ほかのメーカーからもネッククーラーは数々リリースされているが、それらとコンセプトからしっかり棲み分けられているように思う。

特に、シャツの中にしまいこめる、かつここまでコンパクトというのは唯一無二だ。しかも約247gから約252gと軽量なので、肩への負担も少なめ。少なくとも筆者は、REON POCKET PROを使って肩の痛みを覚えることはなかった。

今年の夏、というより将来的にも続いていくであろう酷暑を戦い抜くために、購入をおすすめしたい一台だ。

暑い日差しの中、歩かねばならないこともある。そんなとき首元にREON POCKET PROがあれば、いくばくか救われる。




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著者プロフィール

関口大起

関口大起

『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_

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