Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

「XREAL Eye」レビュー/大人気ARグラスにカメラを追加! 写真・動画撮影と6DoF対応を実現

著者: 山本敦

本ページはアフィリエイト広告を利用しています

「XREAL Eye」レビュー/大人気ARグラスにカメラを追加! 写真・動画撮影と6DoF対応を実現

「XREAL One」専用のカメラモジュールが新登場!

ARグラスメーカー「XREAL」が2025年1月に発売したARグラス「XREAL One」に、カメラ機能を追加する専用アクセサリ「XREAL Eye」が登場した。どんなことができるのか、実機でレポートしよう。

XREAL Eye

【発売】
XREAL
【価格】
1万3980円

【URL】 https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-eye
カメラ画素数:1200万画素
重さ:1.35g
絞り(F値): f/2.25
主なアルゴリズム:EIS手ブレ補正、ノイズ低減、アンチエイリアス処理
撮影フォーマット:JPEG、MP4
対応グラス:「XREAL One」シリーズ

「XREAL Eye」と一緒に使う「XREAL One」とは?

「XREAL Eye」の解説を始める前に、まず「XREAL One」について振り返ろう。

「XREAL One」とは、OST(光学シースルー)タイプのARグラスのこと。サングラスのような見た目に反し、かけると眼前に大画面が表示されることで注目を集めた。

本製品について詳しく知りたい方は、発売時期に合わせて解説したレビュー記事を参照してほしい。

この「XREAL One」には、同社が本製品のために開発したSoC「X1チップ」が搭載されており、このチップにより「XREAL One」は、iPhoneやMacに直接つないでミラーリング/拡張ディスプレイ的に活用することができる。

従来のXREALシリーズでは、「Nebula for PC」というMac対応のアプリケーションが必要だったうえ、MacやiPhoneと「XREAL One」の間に「XREAL Beam Pro」という中継機をはさむ必要があったから、この進歩は多くのユーザに絶賛された。

また「X1チップ」は、「XREAL One」にさまざまな機能の拡張性をもたらすことも意図して開発されている。

そこで、「XREAL One」に外付けする専用アクセサリとして登場したのが、今回ご紹介するカメラモジュール「XREAL Eye」なのだ。

「XREAL Eye」は「XREAL One」専用のアクセサリ。サイズは1円玉ほどとコンパクトだ。

「XREAL Eye」は親指の爪ほどの大きさのデバイスで、「XREAL One」のブリッジ(ノーズパッドの間)のあたりに装着して使用する。

XREAL EyeはXREAL Oneのブリッジ部分に固定する。

本製品は、「XREAL One」に静止画とビデオの撮影機能を追加することが目的で、機能はそれに絞られているため、サイズは小さく、質量も約1.35グラムと極めて軽い。

電源は「XREAL One」から供給されるため、これも軽さの理由の一因だろう。

また、LEDライトを搭載しているが、これは被写体を明るく照らす用途ではなく、写真と動画を記録中であることを周囲に知らせるためのものだ。

「XREAL Eye」のセットアップはとても簡単!

「XREAL Eye」のセットアップはとてもシンプルだ。「XREAL One」をMacに接続後、XREALのサイトからARグラスのファームウェアを更新するだけである。

ファームウェアを更新した「XREAL One」に「XREAL Eye」をつなぐと、「XREAL One」のツルに搭載する「クイックボタン」と「Xボタン」のキーアサインが設定される。

「クイックボタン」には、「シングルクリックで静止画」、「長押しでビデオを撮る」という操作内容が設定される。

アプリを起動しなくても、「クイックボタン」のシングルクリックで静止画、長押しでビデオの撮影がすぐに始まる。

「Xボタン」に割り当てる操作内容は任意にカスタマイズ可能だ。ダブルクリックでメニューを呼び出したり、撮影時のボタン操作のキーアサインやビデオ記録時のフレームレートを変えたり、1回のビデオ撮影時間(15秒、30秒、60秒の固定された尺から選べる)を選んだりすることができる。

撮影したデータはどうやって確認するの?

「XREAL Eye」にはストレージがないので、撮影したビデオや写真は「XREAL One」の内蔵ストレージに記録される。記録したデータは、MacやiPhoneに「XREAL One」をUSBケーブルで接続することで確認可能だ。

ちなみに、「XREAL One」の内蔵ストレージは2GBだが、同社の「XREAL Beam Pro」を一緒に使えば、撮影したファイルを直接「XREAL Beam Pro」内に保存できる。

この製品は、128GBと256GBの2モデルが展開されており、それぞれ3万2980円(Wi-Fi 6GB+128GB)、3万9980円(Wi-Fi 8GB+256GB)、4万7980円(5G 8GB+256GB)だ。

「XREAL Beam Pro」はスマホのような見た目で、インターネットブラウジングやGoogleアプリの利用も可能。背面には50MP/3Dカメラ2台が50mmの感覚で配置されており、人間の視覚を再現した撮影を行えるのも特徴だ。

「XREAL Eye」で写真を撮ってみよう!

では、「XREAL Eye」を使って実際に写真を撮ってみよう。

静止画撮影時の解像度は最大2016×1512画素に固定されており、ファイル形式はJPEG。ノイズリダクションと電子式手ブレ補正、エッジスムージング機能などを搭載する。

「XREAL Eye」で撮影した写真の画質は、まずまずの出来映え。

「XREAL Eye」で撮影した静止画。広いアングルが撮れるものの、周辺の歪みはやや目立つ。

よく晴れた日の屋外での記録は比較的安定しているが、少しうす暗い夕方の時間帯になると、歩きながら撮った静止画はブレが目立ち始めた。

安全に歩行することも考えると、「XREAL One」を装着した状態ではいったん立ち止まってから写真を撮るほうがいい。

クイックボタンをシングルクリックすると、「XREAL One」のディスプレイには3秒のカウントダウンが表示され、そのまま中断しなければシャッターが切られる。ビデオ撮影時も同じく3カウントで撮影が始まり、記録中は撮影時間のカウントダウン表示に切り替わる仕組みだ。

「XREAL Eye」のカメラユニットは、12MPのセンサを搭載していること以外、特に多くのスペックは公開されていない。そこで検証してみたところ、手もと(10cm前後の位置)に構えたiPhoneの写真の焦点が合わなかった。

なので、被写体とは最低1m前後の距離を置く必要がありそうだ。画角はとても広いが、周辺の歪みが大きいのがやや気になる。

動画撮影の出来栄えは?

続いて、「XREAL Eye」で動画を撮影してみた。

解像度が1600×1200画素に固定されており、フォーマットはMP4。フレームレートは30fpsと60fpsから選択できる。

「XREAL Eye」で撮影したビデオから切りだしたイメージ。画質は写真のときとよく似た印象だが、記録される画角が狭い。

撮れるビデオの画質は基本的に静止画のそれと同じだが、画角が静止画撮影のときよりも狭くなった。また、スタビライザの機能がないので「XREAL One」をかけて歩きながら撮ると、映像も上下に動いてしまう。

なので、ビデオ撮影時もやはり、立ち止まったり座って腰を落ち着けたりしながら撮るほうがクオリティの高いものを撮影できるだろう。

大きなスクリーンを空間に固定できるから、立体オブジェクトの鑑賞にもピッタリ

「XREAL Eye」の特徴として、スクリーンの見え方についても解説したい。

「XREAL One」は身に着けている“ユーザの頭の回転や傾き”を検知する「3DoF対応(XYZ軸)」のARグラスだ。

動画:XREAL

そこに「XREAL Eye」を追加すると、ユーザの“身体の動き”も捉える「6DoF対応」のARグラスにアップグレードされる。

画像:XREAL

「3DoF」の時点では、「空間アンカー」の機能によりユーザの頭の動きに対してスクリーン表示を固定するところまではできた。ところが「6DoF」では、ユーザが歩いて移動するとグラスに表示されるスクリーンが付いてくる。

この機能は、ふつうに動画を見たり、スプレッドシートなどのアプリを開いて空間コンピューティングに使う場面では、特段便利に感じることもない。しかし、今後、バーチャル空間の中で立体オブジェクトを鑑賞したり、ゲームなどのエンターテインメント系アプリが登場したりすれば有用に感じられるだろう。

「XREAL Beam Pro」があればできることがもっと広がる!

さらに、「XREAL One」と「XREAL Eye」のコンビを「XREAL Beam Pro」に組み合わせると、現実世界と仮想コンテンツを一緒にキャプチャすることができる(筆者が本稿を執筆している6月初旬時点で、この機能はiPhoneやAndroidスマホでは使えない“XREAL Beam Proが必要な機能”として公開されている)。

「XREAL One」と「XREAL Eye」を「XREAL Beam Pro」に接続すると、「XREAL Eye」で捉えている現実の形式と仮想コンテンツを重ね合わせた画面をキャプチャできる。

「XREAL Eye」がない状態で「XREAL One」のユーザインターフェイスやアプリの画面をキャプチャすると、背景が真っ暗になってしまった。「XREAL Eye」のカメラを同時に動かすことで背景にリアルな景色が取り込める。

今のところこの機能を積極的に活かすようなアプリやサービスはないが、「XREAL One」を装着しているユーザが「どんな映像を視聴しているのか」を周りの人にシェアできるのは大きなメリットだ。

「XREAL One」と「XREAL Eye」による空間エンターテインメントをさらに拡大するため、XREALは外部のデベロッパに向けて開発キットの提供を始めている。

新しく“目”を獲得したことで、軽量で取り回しのよいXREALのARグラスだからこそできることがさまざまな方向に広がってほしい。

著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

この著者の記事一覧

おすすめの記事