心と体の健康に睡眠は欠かせない。若い頃は多少眠らなくてもなんとかなっていたが、50歳に近づくとそうはいかない。質の高い睡眠を取れなかった翌日は、仕事やプライベートに如実に影響が出る。睡眠時間と寿命には関連性があると言われるので、長生きもしたいしなぁ。
そんな中で目をつけたのが、「ブレインスリープコイン」(8800円)だ。本記事では、その使い勝手をレビューしていく。
「ブレインスリープ オールインワン」の愛用者が“コイン”も試す
残念なことに、年を重ねるごとによく眠れない日が増えてきた。もともと自律神経を乱しがちなので、それも関係しているかもしれない。そこで最近、『スタンフォード式 最高の睡眠』などの本を読んで知識をつけたり、寝具にこだわったりしている。しかし、その前に“自分がどのように眠っているか”をまず知ることが大切だと気づいた。
そこで、“脳まで眠る睡眠医学と、先進のテクノロジーで、人の可能性を目覚めさせる”を使命に掲げる株式会社ブレインスリープが手掛ける「ブレインスリープコイン」を借りて試すことにした。
「睡眠研究により蓄積されたデータを元に独自の計測アルゴリズムを開発。あなたの動きに合わせたよりパーソナルな分析が可能」というキャッチコピーに惹かれ、ずっと気になっていたのだ。

というのも、以前購入した、枕・マットレス・コンフォーター(掛け布団)をミニマルにまとめたスリープギア「ブレインスリープ オールインワン」がとても素晴らしかったから。
ブレインスリープコインも良かったら、ブレインスリープのマットレスやピロー、カバー&シーツ、スリープウェア、アイマスク、アロマ、サプリなどにも手を出して、全方位で最高の眠りの環境を整えるぞ!

付け心地のいいブレインスリープコイン。不快感はなく、睡眠中に外れることもない
ブレインスリープコインの使い方は非常に簡単だ。クリップ付きのカバーと一体になった本体を、おへその下に来るようズボンのウエスト部分に挟むだけ。


次に、App Storeから専用アプリ「BRAIN SLEEP COIN」を入手して本体とペアリングして、アプリのトップ画面で[計測]をタップ。そして、その日のコンディションや眠る前に行った行動を選択し、起床時間や入眠音楽/起床音楽等、いびき&環境音測定などを設定したら、最後に[スタート]ボタンをタップすれば計測が開始される(計測できるのは1日1回)。
なお、計測中はiPhoneのバッテリを消費する(公式サイトによると1晩で40〜50%)。そのため睡眠時、あるいは前に充電するのをお忘れなく。
「BRAIN SLEEP COIN」アプリの利用手順





ブレインスリープコインで計測できるのは、睡眠の深さや寝姿勢、いびきなど多彩なデータ
翌朝目覚めたあとにアプリを開くと、計測結果を確認できる。まず画面には、睡眠時間、睡眠リズムなどを多角的に評価した「スリープスコア」が表示。私の場合、1日目は75点。2日目は83点。3日目は69点…とばらつきがあった。確かに、眠りの質が悪いと感じたときは明らかに数値が低い。
そしてスリープスコアの下には、「夜中に中途覚醒しやすいようです。〜を心がけましょう」など睡眠結果に基づいたパーソナルなアドバイスも表示される。それを見て、昨日の自分の行動や日頃の習慣を振り返ることができるのだ。「いびきの回数が10回以上あります…」。確かに、昨晩ついつい日本酒を飲みすぎてしまったっけ、といった具合に。
また、詳細な計測結果にもアクセス可能だ。「睡眠リズム」欄では睡眠時間や睡眠効率、黄金の90分(眠り始めの90分の睡眠)の割合、入眠にかかった時間、中途覚醒回数/時間、寝床内温度を確認できるほか、覚醒/レム睡眠/浅い睡眠/深い睡眠のリズムもグラフで表示される。
さらに「睡眠中のノイズ」欄では、いびきの回数/時間、大きい/小さい/静かの割合、いびきの大きさと実際の音(大きい順に最大10個)、環境音を、「寝返り」欄では寝返りの回数、仰向け/横向き/うつ伏せの割合、睡眠が浅いときやいびきが多いときの睡眠姿勢がわかる。
別に知りたくもないと思うが、私のいびきの大きさは最大54db(エアコンの室外機程度だそう)。そして、いびきが多い姿勢は仰向けではなく、横向きで寝ているときだった。なお、他者とのいびきの聞き分けはできない。そのため、自分自身の音のみ記録したい場合は、iPhoneを自分自身の近くに置いて眠る必要がある。
「BRAIN SLEEP COIN」アプリで計測結果を確認する






“眠っている自分”を可視化。蓄積したデータは、セルフPDCAにも活きる!
ブレインスリープコインを使って一番驚かされたのは、データの多彩さ。そして“眠っているときの自分”のことが数値として可視化・ストックされるので、睡眠の質が悪かったときは何が原因だったかを分析して、行動につなげることができる点だ。
私の場合、一番の盲点だったのは寝床内温度。寝ているとき、掛け布団を蹴飛ばしてしまっているのだろうか。快適な寝床内温度は32~34℃と言われる中、25℃前後の時間帯が多かった。そのときに中途覚醒しやすいようだ。これは真っ先に改善しなければ。また、睡眠前に軽いストレッチをすると効果があるとわかったので、今は習慣化している。

たった1週間ブレインスリープコインを使っただけでも、収穫は非常に大きかった。もっと長く使えば確実に睡眠を改善できるはず。本当に睡眠を改善したいと考える人、そしてデータ分析やセルフPDCAを回すことが好きな人にはぜひ試してみてほしい。
Apple Watchより多彩な睡眠トラッキング。Appleの「ヘルスケア」と連係すればいうことなしだが…
なお、本記事をお読みのApple好きの方は「Apple WatchやiPhone(または各種睡眠アプリ)でも睡眠を記録できるのでは?」と思うかもしれない。しかしブレインスリープコインと違って、環境音や寝姿勢、寝返り、寝床内温度などは計測できない。
睡眠研究で使用されている技術を応用し、睡眠医学を基に独自開発したアルゴリズムを取り入れたブレインスリープコインは、今まで計測できなかった情報を得られるという点で一歩抜きん出ている。
そもそもApple Watchの場合、手首にはめて眠ること自体に不快感を覚える私のような人も多いはず。



ブレインスリープによると、東日本電信電話株式会社や電気通信大学の髙玉研究室をパートナーとして今後もアップデートに向けて取り組んでいくとのこと。願わくば、今後のアップデートでiPhoneの「ヘルスケア」アプリと連動してほしい。私からの要望はたったそれだけだ。
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著者プロフィール

水川歩
1977年生まれ。編集者として勤め上げ、2021年からフリーランスに。"IT"をメインに活動しているが、プライベートはテクノロジーから離れ、釣りやキャンプ、登山など、自然に浸るアウトドアライフを送る。